第49話 ダンジョン解禁日前日首相官邸

3月31日。ここは、日本の首相官邸である。現在ここには、総理大臣の本堂昴とダンジョン庁長官の御堂蒼真、経済産業大臣の紫藤光臣、厚生労働大臣の仙道道治、国土交通大臣の蒼井友一が円形のテーブルにそれぞれ座っており、あとは本堂の横に秘書が控えていた。まず、総理大臣の本堂が話を始める。


「さて、明日からいよいよダンジョンが解禁されるが進捗状況はどうなっている?」


「はい。それぞれのダンジョンに人員の確保は無事に終わりました。それと、ダンジョンへ行く道は何とか開通することが出来ました。これは、国土交通省が頑張ったからだと思います。」


と、本堂の秘書が言う。


「がはっはっは。苦労しましたが何とか終わらせることが出来ました。」


国土交通大臣の蒼井友一は自慢げに答える。確かにこの人はやり手であった。本堂の指示に的確に答えることが出来ていたと思う。


「あとはまだ、細かな細かな道路整備は残っているみたいですがそれは追々やっていけば問題ないでしょう。ただ、建物の方がまだ完成していないところが多く急ピッチで作業に当たっています。」


「では、それらのダンジョンは明日から解禁することは無理なのか?」


「いえ、そこは仮設の事務所を用意しますので問題ないでしょう。出来ている所も増築の申請が多々来ているらしいので、今、建設中の施設も増築が必要だと思われます。」


「はぁ~、やれやれ、頭が痛い問題だな。」


本堂の秘書が説明をして、本堂が溜め息を吐く。


「そういえば、魔石についてはどうなったんだ?」


「魔石の扱いについてはエネルギーを取り出す事が出来たので、有効活用できる段階まで来てますよ。あと、ダンジョンでドロップする物も魅力的ですよ!まさに、宝の山ですよ!」


と、本堂の問いに経済産業大臣の紫藤光臣は嬉しそうに言う。


「そんなにか?」


「はい。傷を治せるポーションを医療現場に置けば医療は劇的に変化をもたらします。しかも、ポーションの上位の物まで存在するもようです。それに、スキルの書で色々なスキルを身に付けることが出来ます。これは、探索者には売れますし、内容によっては一般市民も購入する可能性があります。」


「それは、いい情報だな。」


「あと、一般企業が進出したがっている件についてはどうしましょうか?」


と、秘書が問いかけを行い、経済産業大臣の紫藤光臣が返答をする。


「それは、させてもいいんじゃないか。そっちの方が色々と有効活用する方法が見つかるかも知れないし、企業から売り上げの何%かを税金として納めさせれば問題はないでしょう。」


「それもそうだな。私達だけよりも色々なアイディアがあるかもしれないからな。だが、他国に流出するのだけは断固阻止しなければならない。」


「外国に渡れば我が国の驚異になりかねませんからね。」


本堂の意見にダンジョン庁長官の御堂蒼真が同意をする。


「では、一般企業もダンジョン関連の市場に進出出来るようにしますが、国に申請を行って許可を得るようにする。その際、申請した企業の審査を厳しくすると言う形でいかがでしょう。」


「異論はない。」


本堂の秘書が話をまとめ、本堂が賛成すると、この会議に出席した全員が首を縦に振る。


「では、企業の件については与党内で綿密な打ち合わせをすることとしよう。今日は、これで、解散としよう。」


「「「「はい。」」」」



それぞれが席を立ち、部屋を後にする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る