第6話 ダンジョンが出現した頃の首相官邸

1月1日、全世界で同時に地震が起こった。地震は原因は不明であった。


ここは、日本の総理官邸である。総理大臣、本堂昴は執務室にて仕事を行っていた。そんなときに、地震が起こる。地震が収まると、総理は直ぐに震源地や津波、被害状況の確認を始める。だが、震源地は分からず、しかも、地震は世界同時におきていた。こんなことは前代未聞であった。被害状況は確認する範囲が日本中であるため時間がかかったが目立った被害は見られないと報告を受け、総理はひと安心をする。


明け方より総理の元には妙な報告が上がってきていた。それは、駅構内や道路の真ん中と言った場所に今まで無かった穴が空いていたのだ。取りあえず警察に封鎖をさせているがその穴は色々なところでそれこそ日本全国で発見されていた。


「総理、ネットの掲示板ではダンジョンが出来たんじゃないかと騒いでいる連中がいますが…」


「ダンジョンとは何だ?」


「簡単には言うと中にはモンスターがおり様々な恩恵をもたらしてくれるものです。」


「そういう馬鹿は今、聞いている暇がない。」


「そうですか。では、どうしましょう?」


「警察の機動隊や自衛隊を使って中を調べさせろ。」


「分かりました。」


数時間後、とんでもない報告が総理のもとに届く。


「そっ総理、穴の中を調査させたところ、未知生命体がおり、戦闘になり、相手を倒すと体は消えてなくなり後には小さな石のようなものが残っていたとの事です。また、自分のステータスが見られるようになったらしく、そこには自分の名前、レベル、HP、MP、スキルなどが出ていたそうです。これは、ダンジョンに入った隊員全員からの報告なので間違いありません。」


「ステータス?」


「はい。自分自身の能力と言いますか現在の強さの指針のようなものです。また、スキルは有る者と無い者がおり、これは、今までどう言った生活を送って来たかで違うようですね。」


「それは、どう言うことかな?」


「例えば、剣術を習ってきていた者には剣術のスキルが、空手などをしていた者には体術が、軍で隊をまとめていた者には指揮のスキルが有ったそうです。」


「つまり、総合的に言ってどういう状況なんだ?」


「簡単に言いますと、ダンジョンが出現したと考えられます。おそらく日本中、いや、世界中に!!」


「そんなファンタジーなことが起こっていると??」


「それしか考えられないと思います。」


「どうしたらいいと思う?」


「私の意見で良いんでしょうか?」


「少なくともダンジョンのことを知らない私よりも知っている君の意見を聞きたい。」


「はい。では、モンスターから出てきた石を調べた方が良いと思います。」


「何故だ?」


「まず、何で出来ているのか判りません。それに、有効活用の手段があると思います。」


「なるほどな。他には?」


「あの石が有効活用できるようでしたら民間人にも開放して国がダンジョンから出たものを買取をした方が良いと思います。」


「開放しないと駄目か?」


「おそらくしないと国民が黙っていません。今は、そういう物語が流行ってるんですよ。総理ももし、魔法が使えるなら使ってみたくないですか?」


「使ってみたいな。」


「それに、初期投資は結構かかりますがリターンはかなり大きいものになりますよ。」


「そうか。とりあえずはあの石だな。直ぐに調べさせろ。」


「今すぐでいいですか。」


「ああっ、今すぐだ。これは一大事だ。正月休みだとか言ってるヤツは私の指示だと言え。」


「分かりました。直ぐに連絡します。」



そして、総理は執務室の椅子に持たれかかる。


「はぁ、面倒なことになったな」


そう思っていると電話が鳴り響く。その電話はアメリカ大統領直通電話であった。


「もしもし。」


「やぁ、スバル元気かい?」


アメリカ大統領の名前はスペード・スペンサーとても気さくな大統領である。


「ええ、元気ですよ。貴方は相変わらずですね。」


「誉め言葉として受け取っておくよ。」


「それで、今日はどう言った御用件で?」


「言わなくても分かってるくせに。」


「穴についてですね。」


「察しが良くて助かるよ。」


「それは、原因不明の地震の後にあんなものが出来たら他になでしょう。」


「確かに!あれは何だろうね?」


「まだ、判断しかねますね。」


「おや、その言い方だとある程度予想がついているのかな?」


「さあ!どうでしょう。」


「ここは、腹をわって話そうじゃないか。もしかしたら、世界が変わるかも知れないんだから。」


「大統領、ほとんど知ってらっしゃるじゃなあですか。その手の本は好きなんですか?」


「そうだね。最近、日本の文化にハマっていてね。でも、その辺の話は娘から薦められて読んでいたんだが意外と面白くてね。」


「そうなんですか。私はよく知らないのですが部下がその辺りに詳しいものがおりまして粗方。」


「もし、本当にあれが例のもの(ダンジョン)であったなら是非日本と同盟を結びたいのだが……」


「それは、嬉しいことですね。ですが、その前に、法律やら色々と準備が必要になってくるので少し時間を頂きたいですね。」


「それは、勿論だよ。こちらも、色々とやらなければならないことが有るからね。ただ、穴の中から採取した物の研究だけは両国で共有し合わないか?」


「そうですね。それは、今からの認識で良いですか?」


「勿論だよ。」


「分かりました。では、そうしましょう。」


「そちらの法整備等にはどの程度時間が必要かな?」


「できれば、2ヶ月は欲しいですね。」


「僕の方もそのくらいは必要だね。では、3月に改めて同盟を結ぼうか。」


「では、こちらもその方向で動くことにします。」


「じゃあ、また何かあったら連絡をしてよ。」


「分かりました。」


「じぁね。」


「はい。」


私は、受話器を置き椅子の背もたれに持たれかかり大きなため息を吐く。これからの、国内のことを考えると頭がいたくなる。


1月1日の夕方に総理大臣の執務室に男が入ってくる。


「総理、大変なことが判りました。」


「今度はなんだ?」


「今朝の石の件についてです。あの石は未知のもので出来ているみたいですが中にはエネルギーがあるみたいです。このエネルギーを利用することが出来れば一気に今あるエネルギー問題は解決するようです。」


「やはりそうなったか。至急、全大臣を総理官邸に集めろ。」


「ですが………」


「これは一刻を争う。急げ!!!」


この後、石のことを大統領に伝えるがアメリカの研究者も同じような発見をしたので日本に伝えようとしていたらしい。その後は、全大臣も早急に集まり総理から新たな庁と法整備を早急に進めていくのであった

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