第5話 仕事と両親に説明
両親は居間で一緒に正月番組を見て過ごしていた。
「今日の晩飯はどうするの?」
「今日は正月だから何もしたくないの。適当に食べといて。」
「わかった。」
どうやら今日は自分で作るしかないみたいだ。かく言う俺も何もしたくない。が、腹は減っているため何かを作らなくてはならない。こうなったらこういう時に買い貯めているインスタントラーメンを作るしかない。俺の今日の気分的に塩ラーメンにしようと思う。俺は、インスタントラーメンの袋を1つとりまず、湯を沸かし始める。
「なぁ、グラム、お前も食べるか?」
『ご主人がたべるなら、グラムもほしいの!!』
「わかったよ」
俺はインスタントラーメンをもう1袋用意し湯ももう一人分入れて湯を沸かす。両親はよく、ラーメンに野菜をいれたり肉を入れたりとするが俺はあまりそういうのが好きではないため何も入れずにシンプルにつくる。入れるのは最後にネギを入れるくらいである。器を2つ用意しラーメンを入れ、自室に持っていきグラムとラーメンを食べる。
「湯で加減はちょうど良いな。グラムはどうだ?」
『ご主人、おいしいの!!』
俺は、麺は固めが好きでちょうど良い感じに茹でられていた。グラムは、体を触手のようにして上手に器を持ち食べている。なんか、凄いなこいつ。
ラーメンを食べ終わり片付けをする。それが終わればグラムと一緒に正月番組を見てグラムと一緒に就寝する。
次の日は、仕事に行かなければならないので朝早く起きる。すると、グラムも目覚め
『ご主人、どこ行くの??』
「今日は、仕事に行かないといけないんだよ。」
『しごと?』
「働いてお金を貰うんだよ。グラムには少し難しいかな?」
『よくわからないの。』
「ごめんな。今は説明してる時間がないんだ。取りあえず今日はここに居てくれるか?」
『ご主人といっしょにいくの。』
「ごめん。それは無理なんだよ。」
『いくの!!!』
「はぁ~!仕方ない一緒にいこうか。」
『わーいなの。ご主人と一緒なの。』
「グラム、但し俺のいうことはきちんと聞くんだぞ。」
『わかったの。』
本当なら連れていきたくはないんだがあんなに悲しそうにされるとついつい甘やかしてしまう。俺はグラムをバッグにいれ車に乗り仕事場に向かう。仕事場までは車で30分かかるため途中のコンビニで朝と昼御飯を買う。俺は、グラムとサンドイッチを半分づつにして食べる。因みにグラムは助手席で大人しくしている。
仕事場に着き、流石にここからは一緒に行けない。それを説明する。案の上、グラムは駄々を捏ねたがここは、心を鬼にしなければならない。
「昼休みには戻ってくるから我慢してくれ。」
『やなの。』
このままここに置いていったら絶対に俺を探しに来て大騒ぎになることは目に見えている。
「グラムのために今日は面白いものを持ってきてみた。」
『なんなの?』
「後ろにおいで。」
『わかったの。』
グラムを後ろの席に移動させ俺は一旦外に出て後ろのドアを開け車のなかに入る。車の後部座席には漫画本を大量に置いておいた。グラムは、字は読めるようなので用意してみた。
『ご主人、これはなんなの?』
「漫画本ってやつだ。」
『まんがぼん?』
「そう。グラムが俺を舞っている間に暇だろうから俺が用意してみた。俺は、今から仕事にいってくるからその間にこの漫画本を読んで待っててくれるか?」
『おもしろいの?』
「おもしろいと思うぞそこは保証する。」
『わかったの。よんでみるの。』
「よし、じゃあ、俺は行ってくるからな。あと、外には出ちゃ駄目だぞ。」
『わかったの。でも、はやくかえってきてほしいの。』
「わかってるよ。じゃあ、行ってくる。」
『いってらっしゃいなの。』
俺は、車から出てドアを締め鍵をかけて職場に向かう。午前中は、グラムの事が心配で凄く長く感じた。
「ねぇ、聞いた?何でもあの地震のあとからいろんな所で穴が見つかってるって話。」
「何よ。それ?」
「何か、その穴の中に入ると見たことない生き物が居るんですって??」
「あんた、それ、変なサイトのニュースでも見てるんじゃないの?」
「えっ、知らないの?ニュースでも穴を見つけたら入らず警察に通報してくれって言ってたわよ。」
「ごめん。私、ニュース見ないから…」
「ネットの動画でも配信している人が居るみたいだけど穴の中に入ると機械が使えなくなるみたいで何も映ってないらしいわ。」
「そうなの?」
「そうみたいよ。掲示板とかでは「ダンジョンが出来たんだ」とか言っている人も居るみたいだけどね。」
「ダンジョンなんて馬鹿らしいわね。それよりも仕事するわよ」
「そうね。」
俺は黙ってその会話を聞いていた。他の職員や患者さんも同じようなことを何度か聞いたし話をした。やっぱりいろんな所にダンジョンは出現してしたんだ。でも、魔物が出てこないだけましなのかな。と、思いながら午前中は仕事をした。
昼休みの休憩になり急いで自分の車に戻る。車のドアを開けるとグラムが体を触手のように伸ばし上手に本を持ちページを捲りながら本を読んでいた。
「グラム、ご飯食べようか?」
『ご主人っ』
グラムは俺に飛びかかってくる。
「よしよし。昼飯食べようか?」
『はいなの』
俺はグラムと一緒に昼食をとる。
「なぁ、グラム、漫画面白かったか?」
『おもしろかったの。』
「それは、よかった。じゃあ、昼からも待っててくれるか?」
『わかったの。』
「よし。良い子だ。」
『なのー!!』
休憩が終わり仕事に戻る。午後からの仕事はグラムが大人しく本を読んでいてくれると分かっているため心配することなく仕事をすることができた。午後からの仕事中も患者さんやその家族の人、お見舞いに来るひとなどがダンジョンの話をしていた。
仕事が終わり俺は車に行くとグラムはまだ本を読んでいた。ドアを開け運転席に座る。
「グラム、帰るぞ。」
『はーいなの。』
俺は寄り道をせずに自宅に戻る。今日は、両親にグラムのことを話そうと思う。夕食時にグラムには、扉の前で待機していて貰い合図をしたら入ってくるように伝える。
「親父、母さん。ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど……」
「何だ?」
「まず、この事は絶対に内緒にしてほしい。」
「あら、結婚でもするの?」
「母さん、違うから!」
「そうなの。残念ね。でも、あなたが内緒にしてほしいんなら私たちは約束を守るわよ。ねぇ、あなた?」
「そうだな。」
「ありがとう。まず、この話をする前に昨日の地震の事は知ってるよね?」
「ああっ、全世界同時におきた地震の事か?」
「そうそれ。」
「知ってるわよ。テレビで結構やってるもの。」
「じゃあ、地震後に穴が出来たことも知ってるよね?」
「ええ。何でも見たこともない生き物がいるって言うヤツよね?」
「そう。それ、多分ダンジョンだと思うんだよ。」
「ダンジョンってあれか?ゲームとかでモンスターが出てくる洞窟みたいなヤツか?」
「その認識であってると思うよ。」
「それで、もし、それがダンジョンだとして今回の話と何の関係がある?」
「実はさ、俺の部屋の物置がダンジョンになっちゃったみたいなんだ。」
2人とも食事をしながら聞いていたが俺がそれを言った瞬間、箸を落とした。
「それは、本当なのか?」
「多分、間違いない。」
「じゃあ、警察に届けなきゃ。ニュースで穴を見つけたら届けろって言ってたわよ。」
「まず、それをやめてほしいんだ。」
「何故だ?」
「俺がそのダンジョンを攻略してるからだよ。」
「「はぁ?」」
「だから、届け出はやめてほしいんだ。」
「危険はないのか?」
「今んとこないよ。」
「まぁ、それなら良いが……」
「あなた、本当にそれで良いの?」
「サイガ、今のところ危険はないんだな。」
「ないよ。」
「ならいい。母さんもそれでいいな。」
「わかったわ。でも、危険なことはしないでね。」
「わかったよ。でも、話はこれだけじゃないんだよね。」
「まだ、何かあるのか?」
「俺さ、ダンジョンに潜ってるときにテイムってスキルてにいれちゃってさ……」
「すまん。スキルって何だ?」
「日本語で言うと技能って意味だよ。テイムってのは、魔物を使役できるスキルだよ。」
「そうなのか。」
「そこで………グラム入ってこい。」
『はーいなの』
グラムが部屋に入ってくる。そして、俺の膝の上に来る。
「なぁ、それはなんだ?」
「さっき言ったテイムした魔物だよ。スライムの名前はグラム。よろしく!」
『よろしくなの』
「ねぇ、それは、大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。グラムも「よろしく」って言ってるよ。」
「そうなの。ねえ、触ってみても良いかしら?」
「いいよ。」
俺は、グラムを母さんに渡す。すると、母さんは
「まぁ、ヒンヤリしてポヨンポヨンして気持ちいいわね。」
「おい、大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ。」
「そうか。なら俺も触っていいか?」
「いいよ。」
母さんが、持ちそれを父親が触っている。
「これは癖になりそうだな。」
「ところでさ、最初の約束覚えてる?」
「ダンジョンとこのスライムの事を内緒にすることだよな?」
「うん。」
「わかった。誰にも言わない。」
「私もよ。」
「ありがとう。」
その後、グラムも加わり夕食を食べる。
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