第45話 訓練ですよ!

 ダンジョンにはいろんな種類がある。《洞窟型》《自然型》《環境変化型》の三つの括りがあるけど、これの他にも、出てくるモンスターの種類とか、モンスターのランクとか、階層の形とか、他にもいろいろ。

 日本のダンジョンには、変なダンジョンが多い。私が生まれた207号ダンジョンも、モンスターの強さが通常よりワンランク上だし、101号ダンジョン『富士の樹海』はエイプ系モンスターしか出ないし、111号ダンジョン『世界樹』なんて、なんで日本にあるのって話だし、ダンジョンそのものが誰でも削れて素材にできるし。

 他にも様々あるけど、咲ちゃん達に教えるために行くのは、《第344号洞窟型ダンジョン》『修練の間』だ。ボスラッシュ形式なんだけど、何もない広い空間とボス部屋が交互に続くっていう、かなり挑む側に優しい造りをしてるんだ。そして、どんな激しい戦闘をしても壊れないから、多くの人がここにスキルとかそーいう訓練をしに集まったことで『修練の間』って言われてる。


「今日はよろしくお願いしますッ!!」

「おねがいします!」

「お願いします」


「任せない。私はあそこのふみ紙一重よりは教えるのが上手いからね」


 『修練の間』は全部で20階層ある。ここはそこの7階層目。つまり、三体のボスをスターズの皆んなは倒したということ。

 ところで…


で私より上手ってどういうこと?」


 私も教えるの上手いもん!


「ふみは、知識量が多くて、知ってることをそのまま話してるだけでしょ。言語化されてないことを教えるのは下手じゃん」


「ぐぬぬ…たしかに」


 よく言われるのは『感覚派』です…


「じゃ、あの天才ちゃんは置いといて、初めに模擬戦しよっか」


「「「はい!」」」


 そう言って、少し距離を取ってやよちゃんは槍を構える。咲ちゃんたち3人も構えた。


「じゃあ、初めの合図を出すよ?よーい……始め」


 私がそう言うと、元君と拓君が一気に走り出した。向かい打つように、軽く槍を突き出すと、拓君が衝撃を受け流しながら槍を受け止めた。


「おっも…!?」

「ハッ!!」


 軽く放たれたにしては重すぎる一突きに、思わず声が出る拓君の横から元君が飛び出して、やよちゃんの槍をかちあげて、切り掛かる。


「《風弾》!」


 元君の動きを読んでたのか、槍を跳ね上がられる時に右手を離してたやよちゃんは、元君の剣を右手で受け流した。それよりほんの少し早く咲ちゃんが魔法を放つ。


「連携は申し分ないねぇ」


 自分の仕事を十分にこなして、仲間の次に繋げるなんて、深い絆がないとできないことだ。拓君なら何がなんでも受け止めてくれる、元君なら上手く隙間を作ってくれる、咲ちゃんなら完璧なタイミングで魔法を放ってくれる、それぞれがそれぞれを信頼してる動きだね。


「まあ、相手が悪いね」


 私だったら、触手抜きじゃ当たってたかも?


 受け流した元君の剣は、咲ちゃんの《風弾》とぶつかった。衝撃でよろけた元君を右手で押し飛ばし、後ろに飛んで距離をとった。


「今まで見た中で、一番連携がとれてるわね。これなら、それぞれの能力を伸ばすだけで良いかもしれないわね」


 そう言って、やよちゃんは槍の穂先をおろした。




————————————————————

久しぶりです。作者です。結局遅くなってしまいました。描写って難しい…!!

次回こそ、早く出せる様に頑張ります。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る