第44話 楽しいパーティです!/side:??? 計画

「たのしかったなぁー」


 リュミエレルさんとの闘いの次の日。やよちゃんの家で、やよちゃんに後ろから抱きついてる。


「ふみ、鑑賞に浸るのはいいけど、ちょっと邪魔よ?」

「いいにおい…」

「あぁダメだ、聞いてない」


 今日は、やよちゃんの家でのんびりする予定だ。今は、やよちゃんがお昼ご飯を作ってる。


「ふみ、できたからこれ運んで?」


「はーい」


「思考がグズグズに溶けてるわね…」


 今日のお昼はオムライスだぁー!




「はい、これで私の勝ちね」

「やよちゃん強すぎだぁー」


 お昼ご飯を食べて、お皿とかを片付けた後、トランプで遊ぶことにした。


「ふみはわかりやすいからね」


「そうかなぁー?」


 ババ抜きをしてるんだけど、今のところ十戦十敗。昔から、ババ抜きでやよちゃんに勝てないんだよね。


「次はボードゲームしよっか」


「わかった」


 そうやって遊んでると、インターホンが鳴った。


「来たのかな?」


「私が行くからふみは待ってて」


「りょーかい!」


 ソファの上にある猫のクッションで遊んでると、咲ちゃんを連れてやよちゃんが帰ってきた。


「こんにちは!名無しさん!」


「こんにちは〜咲ちゃん」


 今日は、私とやよちゃんと咲ちゃんの三人で、やよちゃんのお家でお泊まりだ。明日は拓君と元君も来るよ。

 というのも明日、私とやよちゃんで咲ちゃん達スターズの皆んなに魔法とか、いろいろ教えるんだ。一週間前から計画してたことだから、もう咲ちゃんとスターズの皆んなの顔合わせは済んでるよ。


「飲み物とか、いろいろ持ってきました!」


「おお!さすが咲ちゃん!」


「ふみとは違うわね」


「えへへ」


 私が笑って誤魔化すと、呆れたようにため息を吐いて、いつもの事だからもういいけどね、といわれた。


「あれ、諦められてる?」


「ドンマイです!」


「ほら、そんなことより片付けましょう」


「「はーい」」


 いまから楽しい、女子会だー!!






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side:???


 会議室、と言う風貌の部屋。

 中心には、東西南北、各方面へ向いている約4メートル×2メートルのモニターが置いてある。

 それを囲むように机が正四角形に並べられ、三面にそれぞれに二人づつ座っている。そして、残りの、背後にデカい扉がある一面には三人座っている。

 俺は、三人、会長と副会長、序列一位が座っている机から見て右の机の奥に座っている。


「……うーん、これ無理じゃね?」


「断言は良くないですよ、会長」


「いやでも、この娘倒すの無理でしょ」


 モニターを見ながら、会長がそう言う。

 普段は仕舞われ、全員に共有する物があるときにだけ出されるモニターには、『ナナちゃん』と呼ばれている配信者のアーカイブが写されていた。

 写されているのは、ナナちゃんが207ダンジョンのある階層の主と戦闘している所だ。


「ナギサくん、彼女と同じことできる?」


「……倒すと言うのであれば、できる」


 ナギサと呼ばれた序列一位は、しかし、と続ける。


「彼女程の余裕は待てない」


「でしょ?倒すのなんて無理だぜ〜」


「その無理をなんとかする為の会議なのです」


 副会長がそう言い、会議が始まった。

 俺は会議の様子をお茶を飲みながら眺める。なんで俺ここにいるんだろ。ただ、ちょっと攻略者が嫌いなだけなのに。


「サカズキ、貴方も何か案を出しなさい」


 眼鏡をかけた、参謀の様な姿の男、副会長がそう怒ってくる。

 そう言われてもなぁ…


「自分、戦うことしかできないっす」


「その戦うことについて聞いているのですが?」


「なら尚更案は出ないなぁ…多分、主とやり合った直後の状態でさえ、この会の総戦力全部ぶつけてよくて五分だろうねぇ。それに、この娘戦闘狂っぽいし、戦いの中で成長するタイプだよ多分。追い詰めても窮地で覚醒するよこう言う存在は」


 そう言い終わると、俺の隣に座ってる陰湿ジジイが鼻を鳴らして口を開いた。


「腰抜けが。コイツには仲の良い者がいるのだろ?そいつらを人質にして自害でもさせれば良いだろう」


 会長らお三方が何かを言う前に、他のジジババどもがそれにしようと騒ぎ立て始める。


「ふん!腰抜けどもは見ておれ。ワシが仕留めてやろう!」


 そう言い終わると老害どもは歓声を上げ、勝手に出ていく筆頭老害について会議室から出て行った。


「はぁ…どうされますか?会長」


「いつでも会から除名できるようにしといて〜」


 そう言って、椅子から飛ぶように立った。

 あの老害どもは根も葉もない陰謀論を信じて攻略者を排他しようとしている愚者だが、それでも持っている金と権力は利用できる。だから入れてたのだが…まあアイツらは消えて、その子飼いどもも消えるからまた四人だけに戻るだろう。

 隠していた狐の耳と九つの尾を出した『九狐会』会長、たまは扉へ振り返る。


「老害は放置して、私達は私達の復讐やることしよっか〜」


 その言葉に、何も言わず俺とナギサと、副会長イイダが続く。


 俺たちは、殺してやりたいほど憎んでいる攻略者がいる。それぞれ人は違うが、復讐のために俺たちは集まり、組織を作った。

 老害どもとは違い、俺たちは攻略者全体に対し、特に何の感情もない。ただ、憎んでる奴のことを思い出すから、ちょっとだけ苦手意識があるだけだ。






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こんにちは、こんばんは、作者です。

色々な都合が重なり、遅くなっちゃいました。

余裕ができてきたので、また、前のような、3日に一話くらいのペースで出せるよう頑張ります。

それと、かなり前に言った記念話はあまり進んでおりません。すみません。こちらはなるべく早く出せるよう、力を尽くします。申し訳ないのですが、お待ちいただけたら幸いです。

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