第43話 ラウンド2

『ハァッ!』


 一瞬で近づいて聖剣を薙ぐ。

 それを、上半身を後ろに逸らしながら避け、その勢いのままバク転で少し距離を取る。


「速いねぇ!」

『光と同じ速度なのだがなぁ!!』


 光神の猛攻を、いなしていく。光神の速さは、光の神って言ってるだけあって光くらい速い。結構、本気で動かなきゃいけないな。


《速すぎワロタ》

《残像も残ってないのエグ》

《あちこちにチラチラ姿が見えるだけなんだが》

《フラッシュ暗算かよ》


「ははは!そろそろ反撃しようかな!」

『もう我の魔法を扱えるか!』


 《七魔剣シチマノツルギ》の《光剣》を《聖剣》に変えて、作り直して右手の中に出す。そのまま、光神の《聖剣》を弾き返す刀で切り掛かる。


『フン!』

「くふ、すごい!」


 持ってた《聖剣》を捨てて、腕を戻しながら《聖剣》を新しく作って私の剣を受け止めた。

 判断も、速さも凄いねぇ!


『フハハ!巧くなっておるではないか!!このデタラメめ!』

「あなたのお陰だね!くふふ」

『ふはは!この埒外め!』


 言い終わりと同時、光神を中心に広範囲に円柱状のエネルギーが放たれた。


「いいねぇ!楽しいよぉ!!」

『この戦狂いめ!!』


 バックステップで避けて、収まると同時に斬り掛かる。

 光神はこう言ってるけど、私は戦狂いじゃないし、蘇ってまで戦おうとしては貴方の方が戦狂いでしょ!


「シッ!」

『ハッ!』


 右から左の逆袈裟を、袈裟懸けで受けられる。


「くふはははは!」

『やはり化け物だなァ!!』


 上から下、下から上、右から左、左から右、斬って受けて斬って受けてを繰り返す。私も光神も、どっちも引かず、互いの間合いの中で斬り合う。


「ははははははははハハハハハハハハハハハハハ!」


《楽しそうで良かった^ ^》

《速すぎて見えねぇのよ》

《カメラも捉えられてないからね、コレ》

《性能確かかなり良かったはずだよね》


 なんのセーブもせず、ひたすらにできる限りを尽くす。魔法は剣しか使ってないけど、それでも全力には違いない。

 久しぶりに全力を出して、とっても楽しい。たった数分の事なのに、何時間もしてるかのような、そんな気がするくらい満たされる。


『《圧縮レーザー》!!』

「うわっ!と」


 空中から私へ、二十本近くの光線が放たれた。光神から離れるように避けて、突撃しようと光神の方を見て、動きを止めてしまった。

 光神は、汗をかなり流し、肩で息をしていた。その姿を見て、寂しさが湧いてくる。


『フハハ!!まったくバケモノめ!楽しいなぁ!!』


 そう言って、光神は、リュミエレルは剣に魔力を込め、更に光で鎧を作ってそれを纏い始める。次が、最後の一撃だと言うように。

 それを見て、寂しさが消え、嬉しさが込み上げる。


「…うん!楽しいね!!」


 《七魔剣シチマノツルギ》の根、《聖剣》に、私も魔力を込める。そして、全属性を纏う。火、水、土、風、雷、闇、聖、火炎、氷、大地、嵐、光、深淵、神聖の十四個全てを。


 どちらも、準備が終わる。

 心地良い静寂、待ち遠しい膠着。

 何も言わない。

 ただ笑みを深めてく。


——————行くぞ行くよ!!!」』


 同時に言って、同時に踏み出す。一歩目で最高速度を出し、一刀に全てを込める。

 ただ、相手を倒す、相手に勝つ。

 その気持ちだけで体を動かす。


 交差して、通り過ぎる。


 振り抜いた形で、止まった。


『………がファっ』


 二つの剣が砕け、光神が、倒れ伏す。


「今までで一番楽しかったよ」

『……それは、よかった…ふはは!』


 そう言って、リュミエレルさんは、魔力になって還っていった。




————————————————————

気が付いたら前回から九日経ってました。申し訳ない…!

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