第41話 終わりが見えるから、大嫌い

 武器を交わすたび、腕を振るたび、体を動かすたび、速く、鋭く、重くなっていく。


『いいぞ!いいぞ!!いいぞ!!!』

「くふふははははははは!さいこう!!」


《果たして、何人が追えているのか》

《カメラの性能的に0人だろ》

《思ったんだけど、雷神って光魔法より凄い雷魔法を使うんでしょ?光魔法より凄い雷魔法そのものっねことは、その分速いってことだよね》

《おいおい、今更か?》

《あれだろ?やり合ってるナナちゃんが凄いって話だろ?》

《今更よ今更》


 この雷神は、マグニュードラゴさんより強い。マグニュードラゴさんはパワー型に対して、雷神は魔法こそ雷魔法で偏ってるけど、それでもあり得ないほどの多彩さを見せるこの人は、言うなら器用万能型だ。


「くふふ、これは、どう?」

『がはは!突然出して良いモノじゃないぞ!』


 どうせだし、気分もいいし、最近再現できた、マグニュードラゴさんの《極大熱砲ブレス》を撃ってみる。予備動作も無く撃ったのに、体を雷に変えて逃げられた。


『ワシでも模造すらできなかった、アレを再現するとは!やるではないか!』


「面識あるんだ?」


『このダンジョンの知性のある者は、皆交流があるぞ?』


 へー、てことは、雷神とマグニュードラゴさん以外にも、もっと居そうだな。賢いモンスター。スペックが10倍とはいえ、ポンコツだったボスよりマグニュードラゴさんと雷神の方が強いんだよね。やっぱ賢さは大事。


「まあ、そんな事はいいや。さっさと続きしよ!」

『そうだな!』


《いやいやいやいや》

《どうでもよくないよ!》

《ボマーなん?爆弾落とすの好きなん?》

《どうやってとか、なに話してんのとか、色々気になるのあるだろうがって》

《期待するだけ無駄だよこれ…だって彼女戦闘狂だもん》


 距離を取った雷神に、見せつけるように剣を三度振り、周りに氷の粒を作り出す。そして、触手を四本伸ばす。


「こっからは、手数を増やして行くよ!!」

『これは、少し本気を出すしかないの!!』


 そう言うと、雷神が放電し、それをそのまま槍の形に変えて行く。数は、四本だ。


「くふふ」

『がはははは!』


 さあ、様子見は終わった。こっからは、ラウンド1ワンだ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る