第40話      延々は     

「くふっ、くふふっ」

『ハハハハハハハハ!』


《戦闘狂って感じの笑い方…良いよね》

《そんな言っとる場合か?》

《次元違いすぎて一周回って普通に思えてきた》


 かれこれ、様子見の応酬が二十分くらい。相手、雷神サントルトスと名乗ったこの層の主の鑑定結果はこれ。


—ステータス——————————————

名前 雷神サントルトス

種族 雷精

————————————————————


 雷精って雷の精霊なんだって。この上に大精霊って付いたりするらしいけど、まあそれでこそ《特異化イレギュラー》だよね。


「アビスシリーズ《虚の弾》」


 アビスシリーズってのは、触れた所の周囲を丸ごと消し飛ばす深淵魔法。その中でも《虚の弾》は、消し飛ぶ範囲こそ一番小さいけど、速射性、連射性、弾速は光魔法にも引けを取らない、小手調べ。それを、十発放つ。


『雷針!!!』


 その名の通り、雷の針。正確に言うなら、針ほどのサイズの雷槍。光魔法の進化前、劣化と言ってもいい雷魔法で、《虚の弾》と同じ速射性、速射性、弾速の《雷針》が、同じく十発放たれ、私と雷神との間で相殺し合う。


「もう、充分でしょ?」

『がはははは!性急なモノだ!』


 人型になれるようになった当初は、練度が足りなかったからか、想像力が足りなかったからか、転生する前の私のスペックだった。けど、最近は、触手と同じスペックに出来るようになった。

 結果、主との鍔迫り合いも、適う。


「ははっ!全部雷魔法だねぇ!」

『そう言うお前は、随分と多芸だなぁ!!』


 雷神は、雷の槍を創り、私は、火炎、氷、大地、嵐、光、深淵、神聖、七つの属性全てを合わせた剣を作り、近接に移った。


《衝撃波エグ!》

《地平線の先まで床の雲が波打ってる…》

《どこから現れたんやあの剣と槍》

《衝突音バケモンやん、鼓膜ないなったわ》

《一瞬で作ったにしては精巧すぎるやろ》

《服とか髪の毛が後ろに弾けるの…良いよね》


 本当に雷から作られたのかって思うくらい精巧な槍。斬り合いの度、雷が舞うところを見るに、槍の帯電がデフォルトかな。それに付随して、放電とか、魔法を使う時の媒体としても使えるかな?

 私が作った剣は、名付けるなら《七魔剣シチマノツルギ》。光魔法《光剣》をベースに、傷をつけたところを焼いて、再生妨害や遅延ダメージを与えられる火炎魔法《炎傷》、剣が通った跡に振り撒かれる、どんな事にも応用できる汎用性の高い氷魔法《粒氷りゅうひょう》、光で構成された剣に、埒外の重さを与える大地魔法《彗星》、大地魔法で与えた重さを感じさせず、鋭利さを跳ね上げる嵐魔法《風纏》、治癒の効果を剣の使用者に与え、刺した相手を癒すとこができるようにする神聖魔法《癒陣いやしのじん》、剣に対する、悪性の物を全て無に送る深淵魔法《無送》、この七つを一つにした物。

 の槍と、七魔剣が、ぶつかり合い、斬り合い、火花を衝撃波を散らしていく。体格の差なんて、得物の長さなんて関係ない、超高速、超音速の殺し合い斬り合いを愉しむ。


「くふふふふふふふっ」

『がははははははは!』


 少しずつ、少しずつ。

 慎重に、丁寧に。

 速さを、重さを。

 技術を、練度を。

 上げて、磨いて、研いで。


 ああ、ああ、永遠延々続いてならないで—————

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