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第39話 雷神
私は今、自分の無力さに絶望してる。
「切るって、何なんだ……？」
膝をついて、半ばからへし折れた硬い剣を見つめながら、そう呟く。
《空気を殴って折れるって何？》
《天使の明らかにヤバそうな砲撃を受けても刃毀れ一つ無かったのに》
《笑えなすぎて一周回ってわろけてきた》
《あまりにも面白い挫折》
まさか、『ブレないくらい思いっきり振ったら切る感覚掴めるかも』って思いつきでした素振りで折れるなんて………なんで空気殴るの？刃真っ直ぐにしてたじゃん。しかも、なんでそれで折れるの？
「私は………無力っ……！！」
《いや、力はあるんよ。それしか無いだけで》
《草》
《ガチ草》
《多分向いてないのよ貴方》
《剣じゃなくて触手なら行けるのでは？》
「触手はなら、できるよ…」
折れた剣を空に放って、腕から伸ばした触手で細切りにする。
《えぐw》
《それでええやんもうw》
《鋭すぎひん？》
《触手で持ってみたら？》
《人型より有能な触手さん》
「触手で、振る……その手があった！！」
思い至ったが吉日！早速（収納《ストレージ）》から同じ剣を取り出して、触手で握る。そのまま振ってみると…
「おぉ！なんか、こういい感じにできる気がする！！」
《アバウトで草》
《めっちゃ良くなってる》
《前に人型の方が力が強いって言ってたよな》
《力の人型技の触手…ッテコト！？》
《仮面でバイクに乗ってそうだな》
《収納（ストレージ）》から他の剣を九本取り出して、触手で持つ。
「うおぉぉぉぉお！十刀流だよ！これ！」
襲ってきた天使を細切れにして一瞬で消し飛ばす。
《無邪気か》
《ハイテンションかわいい》
《おい明らかにヤバそうな剣9本出てきたって！！》
《めっちゃ光ってる剣に炎と氷吐いてる剣、雷纏ってる剣とかもあるぞ！》
《解説を！解説をしてくださーい！！》
にゃははははは！剣鬼だぞー！！！
十分くらいはしゃいだ後、少し落ち着いて
「ご、ごめんなさい…」
《いいよー！》
《可愛い》
《真っ赤可愛い》
《犯罪級やな、これは》
《気にせんで大丈夫やで》
《楽しそうならそれで充分》
やさしぃ……
「えっと、多かったから解説しますね？この剣は…」
瞬間、『バチッ』って雷が弾ける音がしてそのすぐ後に、轟音を響かせながら私の目の前に豪雷が堕ちてきた。
『クワハハハハハハ！矮小な種族でありながら、底の見えぬ怪物よ！』
閃光が晴れて、出てきた巨体。3m弱ほどの、いわゆるゼウスのような風貌のナニカが佇んでいた。
『戦おう！！』
「わあシンプル」
挨拶とばかりに飛ばされた雷を、触手で払って霧散させる。
マグニュードラゴさんより強いなぁ、この❘ヒト《モンスター》……くふふっ
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