第36話side:師走三月 ちょっとあっけない、ラウンド2
私は、普段槍を使ってるけど、それとは別に三つのオーダーメイド武器が有る。滅多に使わないから、ふみも知らない奥の手。
一つは剣。伝説の鉱石なんて言われてるヒヒイロカネだけでできてるとにかくすごい剣。
一つは杖。『世界樹』なんて名前のダンジョン、《第111号自然型ダンジョン》でごく稀に手に入る魔力を生み出す木を全て使って作られた、超重い杖。
そして、最後の一つは、今着けてる籠手。ダンジョンの命であるダンジョンコアで作られた、生きてるかのように成長する籠手。
触れたものの魔力を奪うって性質を持ってて、魔力を奪えば奪うほど魔力総量があがり、しかもその魔力を使用者が自由に使えて、更に消費した魔力が自然回復するっていう、普通にバグみたいなやつ。
「よろしくね、桜」
声を掛けると、黒一色から桜色に代わり、《身体強化》を3倍に高めてくれる。
さっき、『生きてる様に』って言ったけど、多分、本当に生きてるんだと思う。意思あるっぽいし、たまに思念のような物を飛ばしてくるし。
「よっ」
地面を強く踏み、エイプに近づく。
真っ直ぐ向かう私に向けて、カウンターを仕掛けるエイプの真後ろに回り込む。
「残像だ、ってね」
攻撃を外した、好きだらけの後頭部をぶん殴る。
『ギャア!!』
「だよね」
半歩後ろに下がって、足を避ける。隙だらけの懐に、一歩前に出て腹に一発ぶち込む。
「ほ~らッ!」
腕をつかんで、そのまま背負い投げもどきをして地面に叩きつける。
地面に蜘蛛の巣状にひびが入る。動き出す前に、今度は眉間に拳をまっすぐ下す。
『ガアッ』
「よいしょ!」
拳を開いて、アイアンクローをして持ち上げる。そのまま、頭から地面に叩きつける。
「どうかな?」
頭から、胸まで埋まった状態に、蹴りをしてその反動で後ろに飛びのく。
二秒経って、抜け出した。
「硬いね」
『グゥ…』
私が拳を構えると、エイプが怯んだ様に後ろに下がった。
「どこにいくの逃がさないよ」
古い知り合いから教わった踏み込みをすると、地面が砕ける。踏み込みの勢いを利用して、全身を連続するように捻っていき、拳を前に出す。
よく言う、正拳突きだね。
『ガァ…グゥ…』
「…んー……まぁ、ヨシ!」
籠手を使ったからどうかと思ったけど、ボス戦って考えたら妥当だなぁって。
「さすがやよちゃーん!!」
「わぁっ!」
後ろから、ふみが抱きついてくる。
「槍じゃなかったんだね!奥の手?まだあるの?」
「歩きながら答えてあげるから、ちょっと落ち着きなさいって」
エイプから出た、野球ボールのふた周り大きい魔石を拾って、アリスの下に歩いてく。ふみに質問攻めされながら。
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どうも作者です。
いい感じ、かもしれない。
想定より早くできて嬉しいです。
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