第34話side:師走三月 負けっぱなんか

「私は戦闘狂じゃないよ!!!」


 後ろから、抗議の声が聞こえる。


「ふふ、早く認めたら良いのに」


 ふみは、昔から勝負事が好きな子だった。足の速さとか、テストの点とか、ゲームとか。






 私とふみが初めて会ったのは、5歳の頃。近所の公園で知り合った。

 ふみがいた街に引っ越して来た私は、近所との関係を作るために、と超がつくほどアウトドアな両親に連れられて、あちこちに行ってた。一週間が経って、公園で遊びましょうとお誘いされて行った公園に、たくさんの子供に紛れて、ふみがいた。

 流石に、まだ幼かった私は、知らない同年代の子達の輪に入れず、ブランコを漕ぎながら遊ぶ様子を眺めてた。

 そうやって眺めてると、気がついたら、1人の女の子を目で追うようになっていた。あっちに行ったりこっちに行ったり、男の子に話しかけて何かをしたと思ったら、すぐに女の子の集団に声をかけてまた何かする。

 何をしてるのか、離れてて声が聞こえないから分からないけど、みんな楽しそうで、『お母さんとお父さんみたい』ってのが第一印象だった。


 それから少しして、保育園に入った。

 保育園には、ふみがいた。自分で言うのもアレだけど、結構可愛らしかった私に、周りの子はどう対応すれば良いんだろう、と距離感を掴もうとしてて、直ぐには仲良くなれなかった。

 ぽつん、と座ってどうしたら良いんだろう?なんて考えてたら、ふみがトランプを持って、走ってきた。

 びっくりしてたら、『トランプで勝負しよう!』って楽しそうに笑いながら誘ってきた。とりあえず友達が欲しいって思ってた私は、すぐさま了承した。その後、ババ抜きと神経衰弱を3回ずつした。結果は、ババ抜きは二勝一敗、神経衰弱は全勝した。

 流石に勝ちすぎた!なんておもってたら、ふみは嬉しそうに笑ってた。負けたのに悔しいって感情がない、変わった子だな、ってのが第二印象だった。


 それから、毎日いろんな勝負をした。小学生になっても、中学生になっても、高校生になっても、毎日していた。ふみが、行方不明になるまでは。

 高校3年生の時に、急にいなくなった。不思議とダンジョンに関わってたら、いつかまた会えるような気がしたからそこまで悲しくはなかった。それに、何があっても大丈夫な気がしてた。まあ、まさかモンスターになってるとは思ってなかったけど。




「今はまだ、ふみには逆立ちしても勝てないけど、いつかは超えてやる」


 再開したら、ものすごく実力に差をつけられてたけど。


「そのために、まずはお前からだ、エイプ」


 だからって、諦めるのは面白くないからね!!


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どうも、作者です。今回の話、気がついたら回想になってました。次回はバトルにしたいなと思ってます。(もしかしたら一週間くらい開くかも知れない)

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