第30話 ダンジョンって最高!

 ピピピピ、ってスマホのアラームが鳴りだした。


「あれ、もう6時か」


 昨日の夜の10時からアリスちゃんの研究の論文を古いものから全部読んでたら、気が付いたらこんな時間になってた。

 アリスちゃんは、なんでも、ダンジョンについて500年進めた天才って言われてるらしい。実際、アリスちゃんが表舞台に出て5年で数多くの発見と謎の解明をしてるから、大袈裟じゃないね。


「んー……さて、準備しよー」


 お昼に集合して、一緒にご飯を食べてからダンジョンに潜るから、ちょっと早めに出ないとね。




 魔法ってすごく便利な物だ。各属性に移動魔法があって、速さとか汎用性とか、それぞれ違うけど遅くても1時間で日本の端から端まで行ける。


「2人ともはやすぎ!」


「余裕を持って行動するのは当たり前よ」


「早く来て損はないからね」


 私とやよちゃんは同じくらいの、大体集合時間の1時間前に着いた。ゆっくり話してると、30分後にアリスちゃんがやって来て、びっくりしたみたい。


「お昼は、サンドイッチよ」


「わーい!やよちゃんの手作りだ!」


「輝いてる…えほんとに光ってるんだけど!?なんで!?」


 やよちゃんは、モンスターを使った料理が大好きなんだ。でも、お店とかにあるものは質が悪かったり、ゲテモノ系だったりと、とてもじゃないけど美味しいものではないらしい。攻略者になった理由が、自分で質の良いものを手に入れて、自分で料理して食べたいって言うから、どれだけ好きかわかるよね。


「これはね、鱗光蝶の鱗粉をふんだんに使ってるの!因みに、鱗光蝶の鱗粉は、混ぜて良し!かけて良し!舐めて良し!の調味料なのよ!」


 だから鱗粉あったらちょうだい、って、私に向かってやよちゃんが言った。


「え?鱗光蝶の鱗粉って麻痺の粉じゃないの…?」


「そのままだったらね。水で濾過したら、麻痺水と調味料に分けられるのよ」


「そ、そうだったの!?!!」


「そうよ!第一、この世に食べられないモンスターは居ないわ!!適切な処理をしたら、全部食べられるんだから!」


「な、なんだってぇー!??!!?!」


「そうなの!例えばロックドラゴンの鎧のように付いてる岩なんかは————————


 そう言って、アリスちゃんにモンスターがいかに食べられるかを熱弁するやよちゃん。私は、その隣でやよちゃんのサンドウィッチを頬張ってるよ?すんごく美味しい。




————————————————————

作者です。ロックドラゴンの岩は、世界一美味しいリンゴ味です。名無しさんとやよちゃんのお気に。



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