第19話 癖になったら直しずらいなぁ…

 下層から最下層に降りると、モンスターの強さがガクンと変わる。


「せいっ!」

「ナイス元!《スラッシュ》!」


 キマイラの体重を乗せた爪の攻撃を元君が盾で受け止めて、その隙に拓君が《スラッシュ》で仕留めた。

 《スラッシュ》はスキルの一つで、剣での攻撃を強める効果がある。上乗せじゃなくて乗算だから、使った人によって変わってくるスキル。


《いつ見ても綺麗な連携》

《Aランクモンスターでも厄介なのに》

《いとも簡単に仕留めるの流石》


「ナーイス拓!元!」

「流石だねぇ2人とも」


 拓君と元君の所に咲ちゃんと手を繋いだ状態で向かう。

 手を繋いでる理由は、咲ちゃんにお願いされたからだよ。美少女に上目遣いでお願いされて断れる人って居ないよね。


「お、ワイバーンだ」

「次は私の番!《風槍》!」


 咲ちゃんがワイバーンの翼に魔法を撃つ。

 すごい速さで飛んでいき、ワイバーンの翼を射抜いた。


「撃墜!」


 そこそこな高さを頭から堕ちたワイバーンは、しっかり死んでた。


《前より火力上がってんじゃん》

《もうSランクでいいだろ》

《個人だとアレだけど、パーティのランクで言うとSはあると思う》


「ナイス咲ちゃん」

「えへへ、ありがとうございます!」

「ナイスショットッ!!」

「さすが〜」


 三人とも、Sランクくらいはありそう。




 あの後、数時間配信をした後、咲ちゃん達が安全を考慮して配信を終了して帰った。同接は、初めは私目当ての人たちで20万くらい行ったけど、また今度改めてチャンネル作って配信するって伝えたら6万まで下がった。いつもよりちょっと多いらしい。咲ちゃん達のファンが増えたみたいで嬉しいよ。

 で、私はダンジョンに残ってるんだけど、何をしてるかって言うと…


「魔石が一番高く売れるんだけどなー…」


 お金を稼ぐために残ってる。今までのアイテムとかでかなりの量あったんだけど、生活をするための必需品とかいろいろ買っていると、だんだん足りなくなったんだ。と言っても、そこまで必要ってわけじゃなかったんだけど、咲ちゃん達のおかげで配信に興味が出て、そのための機材を買うために必要になったんだ。

 まあ、魔石とかアイテムとかを売ればいけるんだけど…


「癖ですぐに食べちゃうの、やめないとなぁ…」


 アイテムよりも、エネルギーとして利用できる魔石の方が基本的に何倍とか、何十倍高く売れる。でも、《第207号環境変化型ダンジョン》で長い間すぐに食べてたから、その時の癖のせいで一切集められない。


「どーしたもんか」


 飛んでくるワイバーンを魔法で撃ち落とし、走ってくるミノタウロスを触手を薙いで仕留める。で、そのまま流れで魔石を吸収する…だからだめだって!


「ぐぬぅ…」


 とりあえず、今日はアイテムだけ持って帰ろう…

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