第18話 まかせとけぃ!

 あのダンジョンの下層にいただけあって、咲ちゃん達はすごく強かった。余裕を持てるくらいには。


《相変わらずの無双》

《強すぎ!》

《配信者の中じゃ最上位の強さあるよね》

《早く名無しさんの戦ってるところ見たい》


「どーですか名無しさん!」

「強いよ咲ちゃん!」


 もう1時間くらい戦ってるけど、疲れを感じない咲ちゃん達。そろそろ私も参加しようかな?

 なんて思いながら階段を降りてくと、扉が出てきた。


「ボス部屋だね」

「あ、そうだ。ボス、名無しさんに任せて良いですか?視聴者も戦ってるとこ見たいようだし」


 元君がそう言う。私としては良いけど、見てる人は大丈夫なのかな?


《流石高田!》

《俺らの求めてるものがわかってる!》

《1人で大丈夫なん?》

《大丈夫やろ、なんせ最強のダンジョン攻略したらしいし》


 わぁ大体期待の声だ。じゃあ、やっちゃおうかな。


「いいよ、任せんしゃい!」


 重厚って感じの扉を開く。広い部屋の真ん中には、首のない黒い鎧が立っていて、そのそばには真っ二つになったオーガが倒れていた。


「あれ?これバグモンスターじゃない?」


《ふぁ!?》

《おいこれ、どうすんだよ》

《5人でやっとなんじゃ…?》

《おいおい、名無しさんの実力はまだわかってないだろ?》

《デュラハンは無理だ!逃げろ!》


 バグモンスターって言うのは、本来その階層、またはダンジョンに居ないはずなのに出現したモンスターだ。弱い時もあれば強い時もある。

 デュラハンは、本来なら最下層でも下の方、もしくは最下層のボスモンスターだ。


「名無しさん!頑張ってください!」


 咲ちゃんが応援してくれる。すごいやる気出た!


《1人は流石に!》

《無理そうなら助けに入るだろ》

《名無しさんの実力まだ不確定だからなぁ…》

《がんばれー!》


 ボス部屋の中に入ると、デュラハンが動き出す。持ってる剣を構えて、静止する。


「ほっ」


 金属同士の衝突音が響く。デュラハンが切り掛かってきて、それを触手で防いだだけの音。


「中スッカスカなのに、重いね。必要なところだけ魔法を使ってる感じかな?」


 闇…いや深淵魔法かな?まあでも、重いだけだ。


「そいっ!………《ゼロの矢》」


 弾き飛ばして、深淵魔法《ゼロの矢》を撃つ。《ゼロの矢》っていうのは、当たったものを呑み込み塵にする魔法。


「はい、おわり」


「わぁぁぁぁ!名無しさんかっこい〜!」


《つええええぇぇぇええ!??!!?》

《一瞬で終わった!?》

《あの触手なに!?》

《深淵魔法使うモンスターってだけで驚きなのに、それを超えてくる衝撃映像》

《伝説やん》

《強すぎて草》

《あまりに早すぎる魔法、俺ですら見逃しちゃうね》


 そんなに褒めても何も出ないってぇ

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