第14話 ロマンは大事!

 咲ちゃんがノックする。


「ギルマスー、来ましたよー」


 返答待たずにガチャってドアを開けた。

 仲がいいのかな?結構フランクだけど。


「せめて返答は待てと何度言えば…」


「そんなことより、ギルマスが探してた人を見つけましたよ」


「まじか!?もしかして、後ろの?」


「そうです!名無しさんがあの!ダンジョンを攻略した唯一の人……人?……人です!」


 咲ちゃんがなぜか得意げに私を紹介する。

 なんでそんなに得意げなんだろ?可愛いけどさ。


「こんにちは!一応人じゃないけど、特異化イレギュラー化したモンスターでもないよ!敵じゃないから安心してね?」


 ギルドマスターさんが、痛そうにお腹を抑えてうずくまってる。どうしたのかな?悪いものでも食べたとか?


「……ダンジョンをクリアしたのは君なのか?」


「うん」


「はぁ〜〜…………敵対的じゃなく、友好的なだけまだ良いか………」


 顔がすっごい事になってる。

 ストレスすごそうだもんね、ギルドマスターって。攻略者はマナーが良い人がほとんどだけど、悪い人が起こした事ってかなり問題らしいからね。上はお国だし。


「あー、とりあえず攻略者免許を発行しようか」


 わーい!夢の攻略者だ!




 攻略者免許は何もしなくても取れたらしいんだけど、受ける事に価値があるッ!ってお願いして試験を受けさせてもらった。

 攻略者免許取得試験って筆記と実技の2つで、筆記の方はモンスターの特徴についてとダンジョンについてだった。ゴブリンは何ランクとか、オークがよく持ってるものはとか、どんなダンジョンがあるかとか、そんな感じ。私からしたら簡単だったね。ただでさえ攻略者&ダンジョン&モンスターオタクだったのに、そこにモンスターとして生まれ変わってダンジョン内に居たから余計にね。

 実技の方は、一つだけ問題があった。試験官が私の相手は死にたくないのでしたくありませんって、全員に言われた。ちなみに、実技の試験官って最低ランクAからだから、みんななんとなーく見ただけで実力がわかるよ。Aランクの人たちってすごいね!

 それで、ギルドマスターが『全員ビビってんだからやらなくても合格でええだろ』って言ったら、Bランク?の人が突っかかって来た。なんでも、私はイカサマをしたらしい。で、ギルドマスターがそこまで言うならってBランクの人を試験官として私の相手になった。

 結果は、圧勝だったよ。触手でぺちんってしたら飛んでった。


「わぁ〜!夢の免許証だぁ〜!」


「名無しさん可愛い」


「哀れ、名も知らぬB級」

「安らかに眠れ…」


 病院に運ばれたBランクの人に、合唱する2人。いや、死んでないよ?

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