第2話 最弱種族唯一のメリット

 無理じゃんよ。最弱だよ?ハイエナにならなきゃじゃん。いやハゲワシ?ハゲワシは違うか。


(えぇぇ……というかなんで不形定まらぬカタチ達は中層に近い上層とか言うところにいるの?普通上層の中でも更に上の部分でしょう?入り口付近でも厳しいだろうけどさ、こんなん蹂躙じゃん)


 プランクトン的な?ダンジョンのプランクトン的な奴だったの?生態系の最下層すぎる…


(いや、諦めるな、諦めるのはやり切った時だ)


 何ができる?今のわたしに。あ、そう言えばスキルが一つだけあった。見よう、ステータス。


—ステータス——————————————

名前 なし

種族 不形定まらぬカタチ

レベル 1

技術 《変形カタチツクリ

————————————————————


 あった。《変形カタチツクリ》?なにそれ?


—ステータス——————————————

変形カタチツクリ

自分の形を自由自在に変えられる。使用者のレベルに応じて体積を増やす事ができる。

————————————————————


 自由自在に変えられるんだ。


(とりあえず正方形になってみよ)


 なんとなくこうなろう、と考えたら体が動き出した。止まった後確認してみると、綺麗な正方形になってた。


(なるほどなるほど)


 その後も正三角錐になってみたり、ロープのように細長くなってみたり。

 色々やってわかった事は、生物を殺さないは真っ赤な嘘だって事。だって紐状になって体内入れば、肺を塞いだり、血流を止めたり。天井に張り付けられれば、上から石を勢いよくぶつける事ができる。それに、多分だけど力が弱いって言うのは押す力だとか叩く力で、締め付けだとか、掴む力は結構強い。

 ………よし、上から落ちてやろう。3匹のゴブリン達はさっきから同じところにいるから多分いける。


 音を立てずに、ゆっくり、ゆっくり登っていく。ゴブリン達の真上に辿り着いた。三角形のように集まってる。なら三角形で落ちよう。できるだけ大きくなって。


(よし、さんにーいちで行こう)


 さん…にー…いち!


(いけぇぇぇぇぇえ!)


 ゴブリン達を包み込む。1匹は運良く首の骨が折れた。生き残った2匹のうち、1匹は脳震盪で気絶した。残った1匹は運良く何も武器を持っていない。運がめちゃめちゃ良い。

 最後の1匹も、強く締め付けると窒息や圧迫で気絶した。それから少しして、わたしの中にいたゴブリン3匹は魔石になった。


(ダンジョン内で死んだら死体は残らないのはなんでなんだろうなぁ〜)


 魔石を食べられる気がしたから食べてみつつ、暇を潰すために色々と見たり、試したり、考察したりしてみる。


 10分かけて魔石を吸収して、なんとなくステータスを見てみる。


(ステータス!)


 なーんて気分で言ってみたり。


—ステータス——————————————

名前 なし

種族 不形定まらぬカタチ

レベル 11

技術 《変形カタチツクリ

————————————————————


 うわぉ!レベルが10も上がってる…


(なんでだろ?やっぱ最弱種族だから?いや、ゴブリンのレベルが高かった?だとしてもあっさり勝てたし、多分違うな。魔石を食べたから?魔力は増えた気がするけど、変化はそれだけだった。……魔石は今後も食べるとして、多分これも関係ない。うーーん、そう言えばなんかこんな感じの話を聞いた事があるな。あれだ、『経験値説』。パッと聞いてもわかんないけど、要約すると、不利であればあるほど、勝利した時のレベルの上がり値、ゲームでいう経験値が増えるって説。確かに、その例で出てた話とさっきのわたしの状況は一致してる。なら、これかな?)


 まだ確定はしてないけど、まあ何割か合ってるでしょ。要検証という事で。




 かなり進んだら、階段に当たった。下りの階段……ここに来る道中、たくさんモンスターを倒してレベルが上がったとしても、行く気にはなれないし、目的は上りの階段だからなぁ。


(ステータスと相談かなぁ…)


—ステータス——————————————

名前 なし

種族 不形定まらぬカタチ

レベル 42

技術 《変形カタチツクリ

————————————————————


 うーん、行けそうではあるかなぁ。行くかぁ…別に一階変わるだけでモンスターの強さが桁違いになるとかじゃ無いんだし。ボス部屋だったら戻ろ。

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