時代を眺める瞳
道幸綾真
時代を眺める瞳
あじさいが咲く戦時下の日常をとどめる歌で
空き缶でいいのでどこかに届きたいボトルメールになれないのなら
コバルトの空へ国旗を描くために賽の河原で金泥をすくう
吟行に出たいと言えばスケッチに連れて行ってと答えてくれる
男性でシスでヘテロで日本人、ではないのだね残念でした
大口のあくびを三年ぶりに見た花金はもう夏至でいいだろ
右向きの寝返りはまだ寝ないという意思表示 誰にしているのばか
塹壕を掘られ飛び立つホタルらよ黒土の下に希望はあったか
きみだけの数字じゃなくてきみだけのISBNコードを見せて
いくらでも試行錯誤ができるのにどんどん下手になってく、呼吸
宿の月に誰からもらった風邪なのか訊いて失恋するのが怖い
いまどきのヴェールをかずけど軍帽の冠こそを求むがサロメ
江ノ電にぶつかり切られるあじさいのブーケを作ろう遺影も撮ろう
祝福はあげれないけど通報器の場所を教えてとなりに座る
光滲の魚影が染める海沿いで下を向くのは処理落ち回避
しのげきの冷却水に潜りゆく時代を眺める瞳を求めて
恋人の絵を描くきみが見逃した酸素で生きた いつか返すよ
恋をするタイプでごめんでもきみと確かに同じ海で生きてる
時代を眺める瞳 道幸綾真 @kouama
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます