こころの心はここにあり。

「……」

 いつも人間達でにぎわっているこの町中は、やはり今日もにぎやかだった。わたし

は安心と信頼の無表情(人間達から見れば)のまま、この昼下がりの人里散歩してい

た。

 その道中、わたしは、とある1件の茶屋へ足を運び、そこの店主に向けて、好物の

花林糖饅頭をいくつかと抹茶を1杯注文した。そして、しばらくしてから、「お待た

せ致しました」と言いつつ小さめの菓子皿と湯飲みを盆に載せた店主が現れた。わたしは礼を述べながらその菓子皿と湯飲みをそっと受け取った。

「それでは、どうぞごゆっくり」

 そう言い残し、店主はまた店の中へ戻っていった。

 ――やはり、饅頭はこれに限る。

 花林糖饅頭の黒糖の甘さと苦みに加え、抹茶の渋みが互いの良さを引き立て合って

いて、とても美味い。

 わたしが店の出入り口付近に設けられてある長椅子で間食を楽しんでいると、

「――ソーナノカ〜」

「そうそう。だからあたいは――」

「もう、チルノちゃんてば〜!」

 ――あ奴らか。全く、人がせっかく落ち着いて菓子を楽しんでいるというのに。

 内心でわたしはそう思いつつ、しかし別にあ奴らのことが嫌いというわけではなく、あのやかましさが、つまりあ奴らの象徴のようなものだという意味でそう思った。という具合である。

「ん」

 ふと、チルノと視線が合った。チルノはわたしが食しているこの饅頭を目にするなり、「あたい達も何か食べていこうよ!」と言って、そ奴らも店の中へ入っていった。

 ――小娘供めが。

 わたしは、ふっ。と口元だけで笑い。ズズズ。とお茶をすすった。

「……」

「……」

「……美味い」

 どいつもこいつも好き勝手にして、誰彼に叱られ、反省し、和解する。わたしに

は、しかしそれはまだ解り得ぬ感情だった。

 ――何故なら、わたしは、

「おい、こころ!」

「……何だ⑨ (バカ) ?」

「んなっ! あたいはバカなんかじゃないやい!」

「たわけ、大声を出すな」

 わたしは少しだけこ奴をからかってみた。奴は空中で両手足をバタバタと騒がせ、わたしに向けて最大限の抗議をしてみせていた。

 ――ここは本当に愉快な場所だ。

「さて」

 今日のところはここら辺でおいとましておくとしよ

う。饅頭を食べ終わるのと同時に勘定を済ませ、わた

しは店をあとにした……。

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東方友人録 三点提督 @325130

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