「ねー無言（むごん）、玉ねぎは大きめに切ってね」

「……」

「何よ文句ある？　玉ねぎはおっきいのが美味しいのよ‼」

「……」

「無言、ジャガイモは小さくね‼」

「――」

「そうよ！　この前作ったときはジャガイモ固くてひどかったからよ‼」

「…………」

「それとジャガイモのあとでいいからニンジンは大きく切ってね」

「――――」

「ニンジンは生でも平気よ‼」　

「――――⁉」

「あっ、無言はお肉薄いのが好きなんだよね」

「――――」

「大丈夫よお肉も玉ねぎもトロトロに柔らかく作るから、多分ニンジンも」　

「…………」

「あとジャガイモは――できてからのお楽しみね‼」

「――」

「がっかりすんな‼」

「…………」

「それジャガイモ小さすぎ‼　レトルトか‼」

「…………」

「泣きそうな顔すんな‼」

「――――」

「何？　さっきの玉ねぎが今ごろ効いてきたって？」

「…………」

「おそ‼」

　今日は無言のママと無言のパパが親戚の結婚式で夜遅く帰る。

　アタシは無言のママに胸を『ドン！』と叩いて『任せて！』と言った。

　今夜はカレーである。

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