第2話 あめのひ現代文
//SE 雨音 窓に当たる音と、水たまりに水滴が落ちてぽちゃぽちゃいう音
//振り返る
「あ、おはよ。雨凄くない?ここでこんなに降ってるの初めて見たかも」
「どうしたの?なんか元気なくない?声がしょんぼりしてる。嫌なことあった?......うん、いいよ無理に言わなくても。そういうときもあるよね」
「さーて、課題やりますか」//あえて明るい声を出して
「うん?ああ、今日も先生来ないって。運動会で頑張りすぎて熱出ちゃったんだって。お大事にってスタンプ送っとこ」
//SE スタンプを送る音
//SE 机の上でプリントを滑らせる音
「はい、アンタのプリント」
//SE ペンを走らせる音
「......」//好調
「ふっふーん。もうできちゃった。現代文は得意なんだよねー」
//SE ペンを置く音
「眉間にしわ寄ってる」//手を伸ばす
「むにむにー」//驚いてのけぞる音
「あはっ顔赤くなった。もしかしてさ、現代文苦手?」
「へぇ、意外。全科目得意なのかと思ってた」
「問題文読んで、登場人物がどうしてそう動いたのか考えなさい、っていうのが苦手なんだ?」
「あー。話に入り込めたらノリで分かるようになるんだけど、共感できない話だとむずいよね」
「よーし、じゃあ今回は私が教えてあげる。て言っても、アドバイス位にしかならないと思うけど」//苦笑交じり
//SE 髪を耳にかける音
「共感できない話のときは、話の流れを掴むのが大事なの。そのためには接続詞に注目。こうやって丸で囲って目立つようにして」
//SE 丸をかく音
「そうそう。次に登場人物が心情を言ってるとことか、表情を変えたとこに線引いていって。もう問題文なんて使い倒すつもりで書き込みしちゃっていいから」
「こうやって文の中でヒントになるところを目立たせたら......あとはノリ!」
「そんな反応しないでよー!基本ノリで答えてるんだもん。ちゃんと先生みたいに教えるとか無理すぎ」
「私から言えることはただ一つ。自分の気持ちに従ってノリで回答すべし」わざとらしい真面目な声色で
「まあ、筆者の考えとか求められてる答えとか、考え過ぎるとドツボにはまるから、気楽に考えた方が良いよってこと」//軽い感じで
「あはは、眉間のしわ深くなっちゃった。またむにむにしてあげようか?」
//SE 体を引く音
「冗談だよ~」//笑いながら
「あ」
//立ち上がる 畳の擦れる音
「もっちり鳥だ!こっちのエリアにも来るんだ。ほら、ベランダにとまってる」
「私このキャラデザ好きなんだ~。白くて小さくってめちゃ可愛い」
//SE 窓の鍵を回す音
//SE 窓を開ける音 わずかに羽ばたく音
「あっ、待って行かないで。雨宿りに来たんでしょ?よーしよしよし。怖くないよー」
「確保ぉ!」
//SE 窓を閉める音
「捕まえちゃった。意外と大人しい。違う?寒くて動けないんじゃないかって?確かに雨で濡れてる......」
「ハンカチ無いからな......スカートでいいか。膝の上に乗っけて、と。なんで後ろ向いてんの?システム的に見えないじゃん」
「そういう問題じゃないって?紳士だなぁ」
「はい、もうこっち向いていいよ。羽毛がぺったりしちゃって寒そう。暖めてあげたいけど、バーチャルの人肌ってぬるいからなぁ。アンタの手も貸して」
//SE 手を掴む音
「こうやって、手を重ねればじんわりあったかくなってくるでしょ?」
「あ、今鳴いた。ほらもっと寄って......聞こえた?鳴くの初めて聞いたんだけど」//興奮した様子
「ラッキー。今日補習サボんなくてよかった」
「雨止んだね。ベランダに戻してあげようか」
//SE 窓を開ける音
//SE 座布団に腰を下ろす音
「ふう、なんか緊張したらお腹すいちゃった。なんで緊張したか?だって、アンタの手、思ったより男子って感じだったから......。い、今のなし。忘れてよ?あーお昼ご飯何食べよっかなー」//ごまかすように
「アンタもちゃんとご飯食べて休んでよ。それで好きなことやって、たくさん寝ること!じゃあね、また明日!」
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