第21話 十文字香の手記 その十
寮での朝食が終わり、登校時間になった。新聞部の寺桜院タイムズ最新号張り出しは延期されたそうだ。せっかく印刷した新聞はお蔵入りだ。今日は土曜日なので半日授業。別に臨時休校でもいいような気がしたが、それは受験生にあるまじき発想なのだろうか。
授業前のホームルームでも学校側から新たな事件に関しての説明はなかった。だが人の口に戸は立てられない。どこから漏れたものか、ヒソヒソと小さな声でその事実は伝わり広がった。
「化学の
もちろんこれだけでは殺人事件かどうかわからない。死因も不明だ。さっき警察が到着したばかりなのだから当然と言える。学校側も永久に生徒への説明を避けようなどとはしないだろう。いずれ折を見て何らかの説明があるはずだ。我が新聞部としてはその公式発表を待って記事にすればいい。部長もそれで満足するだろう。新聞部はそれでいいのだが。
果たして私はそれでいいのだろうか。
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