第58話 SDGsに真っ向から挑む動態保存の観光列車 ~SLやまぐち号は「特急」ではなく「快速」ですよ?~



 さて。


 今回もまた鉄旅ですね。


 有名なSLの動態保存、観光列車です。大井川鉄道とともに古くから走らせてきたSLです。




 SLやまぐち号。




 実は2024年の5月が2年ぶりの復活だったんですよね。炭水車の不具合で2022年から運転を取りやめてた。


 で、2024年の5月に復活……したと思ったら、前照灯のトラブルで運休とかもあって……。


 まあ、どうにかなったんですけどね。




 ……このままだったら、そのうち乗れなくなる可能性もある。




 よく考えてみて下さい。


 SLって、もくもくと煙を吐き出しながら走りますよね?


 環境問題……ある意味では未対応……。


 もちろん、動態保存の価値はとても高いと思います。運行をやめたら、汽車だけでなく、動かすための技術そのものが消えてしまうだろうし。


 でも、今はSDGsの時代だからなぁ。


 運行は続けたとして、ものすごーく、区間を短くしたりとかも、考えられる訳だし(ターンテーブルの関係で新山口~津和野は変えられないけど……別にSLで動かす必要もないからね……釧路のノロッコなんて復路はバックで動くし)。


 まあ、きっちりと乗っておく方が、いいだろうと。そういうことですね。


 最初はよくやるパターンの、新山口~山口もしくは山口~新山口という短い区間で乗ることも考えたんですけど、せっかくならフルコースで、と。


 ただし、人気があるからなかなか切符が押さえられない……。


 実は往路の新山口~津和野は、本当に10時打ち(みどりの窓口で1カ月前の10時にやってもらうやつ)でないと厳しかったりする。特にグリーン車はそう。


 それでも復路の津和野~新山口の方はちょっとだけマシだったりする。

 土日運行の場合、土曜の往路利用で、日曜の復路利用のパターンが人気になってる。津和野で一泊するんですよね。だから、意外と抜け道的なのが土曜の復路だったりする。




 そういう訳で土曜日の復路、津和野~新山口の切符をキープ。




 とはいえ、津和野までは行かないと話にならない。


 だからまず、新山口駅で特急「スーパーおき」に乗りました。ディーゼルのキハ187ですね。休日だから3両編成だ。


 山口線と山陰本線を走り、新山口と、鳥取や米子を結ぶ特急です。「スーパー」がついてるのは振り子式になったからだったような。


 残念ながら、新山口~米子だったら新幹線を利用して岡山経由で特急「やくも」に乗った方が時間的には速かったりするんだけどね(岡山で1時間くらい乗り継ぎの待ち時間があるのにそっちの方が速いという……)。


 まあ、そんな特急です。今回は津和野までなので山口線だけだから関係ないけど。


 顔がねー、黄色い凸になってんの、特徴はそこ。「スーパーまつかぜ」なんかも同じ。なかなか見ない顔ですよ!


 山口線なんて、何回乗ったか記憶にないくらい。特急なんだけど、単線だからね……。いろいろと大変なんですよね。


 それでも津和野駅まで頑張りました。


 ここで面白いのが、津和野駅での単線の列車交換が特急「スーパーおき」同士になってるところ。いいよね、こういうの。向かい合わせのホームに同じ特急が入ってる。


 左も「スーパーおき」で、右も「スーパーおき」なんです。しかも、もうひとつ向こうの線路には「SLやまぐち号」の客車が!? いやぁ、なかなか最高の眺めですよ!


 もちろん、この段階では客車だけですね。機関車はターンテーブルの方にいるので。




 それでは津和野観光を……というほど、津和野未経験ではないんで。約1時間半くらいかな? 津和野駅周辺で復路のSLを待つ訳です。舞姫な文豪のところでお祈り(小説家になれますように……。というお祈り。)をしてもいいけど……。


 近くのお土産屋さんに行けば……当然、キーホルダーを買います。もちろん「SLやまぐち号」のやつ。


 ……こういう出費が無限に続くのである。くっ、鉄道グッズの罪深さよ!


 まあ、仕方ないですよね。ほしいんだもの。キーホルダーとか、マグネットとか、クリアファイルとか、いろいろ。


 この日はちょっと腰痛がひどくて、ターンテーブルの方まで行けなかったのは残念。タクシーで行こうかとも考えたけど、あまりにも近くて申し訳なかったし。だからお土産屋しか行けなかったというのもある。


 そして、時間になったら、SLの機関車だけが移動してきて、客車と連結して、さらにはホームへと入線してくる……。


 その様子を上から見ることができるというのはなかなか、津和野駅も考えてるよね。展望台になってる施設があるんですよ!


 当然ながら、写真は撮りまくりですわ……。

https://discordapp.com/channels/1211498324264357888/1266740734841585766/1267818261811036273


 ホームに入線したら改札にも人がいるので、中へ突入。その場で写真、跨線橋からも写真、もちろんホームでも写真、という感じ。もちろん私だけでなく、たくさんの人が、ですね。


 生SLはなかなかすごい。機関車の写真を撮ろうしたけど、2メートルくらい離れていても、その熱さが届く。熱量が違うのかもしれない。運転士さんたちって大丈夫? ヤケドしない?


 ヘッドマークはなべづるですね。山口県に一応、なべづるの越冬地があるから。


 機関車から最後尾の客車まで写真を撮影してから、中へと乗り込む。もちろん車内の写真も撮影します。


 で、指定席に座るんだけど……基本的にテーブル付なのはそういうものだとして、びっくりしたのは充電用のコンセントがあったこと。

 これは古いままの客車だったらありえないよね。高度経済成長期には国内からSLが消えたはず。その頃に充電なんて文化はなくて。


 ……ちゃんと今の時代にアジャストさせてるのか。


 もちろん、鉄旅の悩みであるタブレットの充電問題がクリアできるんだから、遠慮なく充電させて頂きました。

https://discordapp.com/channels/1211498324264357888/1266740734841585766/1267819884499308626



 さて、動き出したSLはもくもくと煙をはきまくる。マジでSDGsに逆行してる。だが、それがいい。


 窓の外、煙にさえぎられることで窓に客車の天井が鏡写しになっている。まるで2両のSLが並走しているかのような幻想的な感じ。

https://discordapp.com/channels/1211498324264357888/1266740734841585766/1267818710626865216


 それと、最後尾の展望スペースがおもしろい。特にトンネルで動画を撮影すると遠ざかる入口以外は暗黒の空間になっていく。展望タイプの車両ならどれでも出来そうだけど、窓なしで撮影できるのは大きい。


 あとは、SLを撮影する撮り鉄の人たちと、沿線で手を振っている住人たち。


 考えてみたら、大井川鉄道と並んでSLの動態保存の期間が長い「SLやまぐち号」は地域の人にとってはもう日常の一部だろう。


 ……愛されている、ということなのかもしれない。


 汽笛とともに走り去るSLに手を振る子どもを見ていると、とにかく和む。


 ……うむ。乗ってよかった。


 終着の新山口駅で「もう小郡駅じゃないんだな」なんてことも思いながら、切り離される機関車を見送る。


 機関車が切り離されると、残された客車に隠されていたヘッドマークが見えるようになる。こっちは五重塔のヘッドマークだ。山口の瑠璃光寺五重塔は……国宝だったよな?

https://discordapp.com/channels/1211498324264357888/1266740734841585766/1267820760152543282


 なべづるも山口、五重塔も山口、でも津和野は実は島根県。ちょっと笑った。


 ちなみに機関車はD51でした。


 今年(2024)の「SLやまぐち号」の運行は11/24までだったはず。


 みなさんも機会があるなら乗ってみてはどうですか?





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