第48話 車で旅することもある ~鉄道が不便なところって多いから。島根とか。でも、勉強になったよ、島根県~
島根で働く友人に会いに行こうと考えたのは、カクヨムネクストに声をかけて頂いたから。
「私、小説家になりました」
「マジか……」
……って。これがやりたくて。バカですよねー。
実際はこんな感じ。
焼肉屋で肉をじゅうじゅうと焼きながら――。
「私、この度、小説家になることになったんですよねー」
「え、マジ? すごいなぁ。本になったら買うから!」
――ぐさっ。
うぅ。友人がめっちゃいいヤツだからこそ刺さるわ~。
「……実は本にはならないんだ……」
「え? そうなん? じゃあどうやって?」
「ネットでサブスクっていって……」
「ああ、マンガでやってるやつか。あれの小説版? すごいやんか!」
「あ、うん……20話までは無料だったり……」
「課金するって! 任せとけ!」
……ちょっと泣いた。いい友人なんですよ。
まあ、そんな友人に会いに行くために、鉄道ではなく、車で行ったんですよ。観光ついでに。
どっちがついでかは……もちろん観光の方がサブですよ? メインは友人。本当ですよ?
で、島根といえば世界遺産。石見銀山ですね。
あの頃のヨーロッパの地図にも書かれているという石見銀山。すげぇな。
そんな感じで行ってみました。でもね、雨だったんだな、これが。
とりあえず、博物館的な銀山センターでじっくりと見学します。いろいろと知らなかったことを知るっていいよね……。
異世界ものを書く時に、こういう、昔のやり方がよく分かる施設での見学って宝物になるんじゃないのかな? 石見銀山、推しておこう。交通の便は悪いけど。
VR眼鏡でいろいろと見学できたのはありがたい。雨だったし。交通の便は悪いけど。あ、天気もタイミングは悪かったか……。
お土産に文禄石州丁銀のレプリカとか、誰が買うんや!? 私が買ったけどな? 今、机の前に飾ってるけど、銀じゃなくてただのレプリカやから未来の子孫がお宝番組で笑われないようにしてほしい。交通の便は悪いけど。
掘り出した鉱石から銀にしていって、海まで運んで、さらに船で……しまいには海外まで広く影響を与えたってすげぇな……交通の便は悪いのに。
うん。めっちゃ勉強になりました。交通が不便でも銀ならどうにかなるんや。
それから銀山街の街並みを車で通過しつつ見学。
昔の姿ってことで……道は超せまい。すんげぇ神経使う。でも、見ごたえはあるから難しい。
古い景色が今も生きてるって本当にすごいと思う。交通の便は悪いけど。あ、交通の便が悪いから昔の状態が続いたのか……。
……自動販売機もうま~く隠してるんですよね、木組みの中とかに……苦労してんなぁ。町並み保存ってマジで大変そう。
そんなこんなで割と運転に疲れてしまいまして。
どっかでゆっくりしたいなぁ……って。ばっちりの場所を発見。
温泉津温泉! キタコレ! 温泉最高!
ラノベの異世界ものでも温泉は定番ですよね。うん。ここも取材でイケる……。
ぐーねぐーねとカーブする道をひたすら進んで、ここもかつて銀が運ばれたのか……交通の便めっちゃ悪いやんか……って思いながら。
はるばるやってきました、温泉津温泉。
……銀山街とは違った形で、昔の姿が維持されとるやないかい。
銀山街は江戸・明治って雰囲気で。
こっちの温泉津温泉は昭和の雰囲気が残るところ。
……ただし、ここは営業してないやろうなぁって、お店は多い。残念ながら。
世界遺産登録ですっげぇ観光客が増えた時期もあるらしいけど、それもずっとは続かないから。前に身延線で行った温泉街も……そう、こういうさびれた感があった。
温泉ってなかなか難しい。ネームバリューのすんげぇところは人も多いみたいだけど。大分の別府とか、群馬の草津とかね。
そういう、一部の温泉を除いて……鄙びた温泉はマジで悲鳴をあげそうなくらいひからびてるのではないでしょうかね?
……まあ、営業してる温泉さんは、きっちり商売できてるみたいやけどな。商才の差なのかもしれない。ぜひ、学んで小説に活かさないと。取材ですから!
泉質もいいし、ゆったりとできるし……お値段も妥当か、安いくらい。駐車場は不便。
開発して、この雰囲気が損なわれたら……それはそれで、失敗しそうだ。
だからといって、これをずっと維持するには、来客数が少ないんだろう。実際、営業してないところはそういう影響を受けてるはずだし。
持続可能な開発……って、マジで難しい問題がある。
温泉でゆったりと休憩して、帰りも車を運転する。
ちょっと休憩したいと思えば、最近はどこにでも道の駅がある。トイレも綺麗で、レストランとか、自動販売機も充実してる。お土産もばっちりだ。
……? マジか。うどん・ラーメン自販機、だと?
うどん自販機は知ってたけど、ラーメンもか……。カップラーメンじゃないんですよ……。
なかなか興味深いものを見た。こういうことの積み重ねで、自動販売機転生は書かれたのかもしれぬ。
私も、もっと勉強しようではないか!
そんなことを考えながら歩いていたら、島根県の観光ポスターが並んでるところにきていた。
『あのね、いまね……しまね』
……天才か。
ポスターにはとっても綺麗なお嬢さんが旅行中の姿があるんだけど、そんなことより、キャッチコピーにぐさりと刺された。
誰にでも思いつきそうで、誰も思いつかないこのシンプルさ。
言葉の魔力を見た気がする。
……キャッチコピーって、本当はこういうもんなんだよなぁ。
文字がお金になる世界の凄みを見せられた気がして、車を運転しながら、いろいろと考えさせられました。
島根、とっても勉強になります。推しておきますね!
……あ、もしよかったら旅エッセイのお仕事くださいね? 原稿料は安くてもいいから旅費はそっち持ちで!
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