第15話 鉄道好きにはたまらないところ。鉄ちゃんならしっかりと楽しもう!
この日は鉄の日だと、私は勝手に決定した。おそらく許されるはずだ。そうに違いない。ただ、それで祝祭日にはしてもらえないだろう。そこは耐える。耐えなければならない。
朝イチのバスに乗るため、温泉宿は早朝のチェックアウト。宿のみなさんごめんなさい。素泊まりで格安な上、夜中まで温泉に入って、さらにはトドメに、ろくにお礼も言えず、メールで御礼を送りました。なんという失礼な客だったのだろうか。でも、かなりいい宿でした……。
早起き過ぎて、バスの中でウトウトしつつ、というか寝てしまって、気づけば長野原草津口駅へ。
バスから降りる人の中にはJKもJDもいて、草津温泉から高校に通っているのか、と考え、すぐにそこに暮らす人がいればその子どももいるはずだと思い直す。
有名観光地が自身の生活の場、というのは、どういう感じなのだろうか。インタビューしてみたいが、変な人になること間違いなし。やめておきます。
長野原草津口駅から発車するとまず高崎駅で乗り換える。高崎に来ると、その車窓から見える雰囲気とか、駅の感じとかで、どうしてここが県庁所在地ではないのか、と思ってしまう。ごめんなさい前橋のみなさん。遠くに住む者の、なんとなくな感覚なのでお許しを。
気を取り直して、目指すは大宮駅。埼玉県だ。埼玉は、以前、行田の古墳に行って、九州の古墳と同じ文字が書かれているという鉄剣? なんかを見たので、今までに行ったことはあるんだが、泊まることはなかった。今回は大宮駅近くの宿に泊まる。
前日の渋川での乗換時間で、コンビニにおいてチケットは購入済み。
一度、今夜の宿に寄ってバックパックを預けると、大宮駅に戻り、乗るのは埼玉新都市交通ニューシャトル。降りるのは鉄道博物館駅。
そう。鉄道博物館。鉄分しかない。ミネラルがあるかどうかは知らない。鉄分があれば生きていけるに違いない。きっと心のミネラルが鉄分なのだ。
駅から博物館まで歩いていると、足元に時刻表があったり、SLが展示されていたりと、入場前から漏れ出る鉄分によって既に興奮状態。あやしい薬でもキメてるのか!?
そして、入場して、車両ステーションに踏み込んだらもう大興奮……鼻血が出るかと思った……。
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ブルトレ好きだからナハネフ22とか、ED75があけぼののヘッドマークで展示されてるとか、そういうものはもちろん、懐かしの0系があるとかもいいんだが、ここですごいのは……御料車……。
くっ……さすがは東日本……西日本とはまた違うぜ……。
かつて大阪に鉄道博物館(正しくは科学館?)があった少年の頃。あそこも広いと思っていたのは、自分のサイズが小さかったからなのだろうか……大阪環状線の高架下だったから、実はそんなに広くないのか……。
タブレットの画像データがひたすら増えて、クラウドの空き領域を急速に侵食していく! まるでマギが追い詰められていくかのように! 助けて! 赤〇博士! お願いリ〇コ! あなただけが頼りなの! たとえ誰の愛人だったとしても!
もういっそ、この場所全部私にください……ここに住んでもいいですか……? 泊まれる車両もちょうどそこにありますよ……?
もちろん、車両ステーション以外も堪能する。中に入れる車両は全部中も確認済み。
鉄道ジオラマも圧巻。こういうの見ると、またNゲージを買ってしまいそうだ。正月に妹が実家に連れてきて、私のNゲージを猛スピードで暴走させて壊していたのは子どもだから仕方がない……で済むわきゃねぇだろ、ごらぁぁぁぁぁっっっ!!
南てっぱくからの切符に「ほんとうの駅ではつかえません」って書いてあるのはウケた。子ども向けに基本、平仮名なのに、駅だけは漢字って……。
そんな感じでてっぱくの中をウロウロしていると、館内放送が!
なんと! 四季島イベント発生!?
てっぱくの横を『TRAIN SUITE 四季島』が徐行運転で通過していくので、それに対して来場者のみなさんで四季島の旗を振るという……。
な、なんだ、そのイベントは!? 今日、ここに来た私のために四季島を……? (そんな訳はないが、混乱しているのでお許しを。)
生・四季島……見てしまった……もちろん、動画、静止画、どちらも確保。徐行運転っていいよね。
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そんな、充実した鉄時間を過ごして、ニューシャトルで大宮駅に戻る。
だが、鉄の日はこれで終わりではない。鉄の日はまだ終わらない!
大宮駅から高崎線で高崎駅へ。なんでまた逆戻り、と思うかもしれないが、これでいいのだ。こんなマネができるのも、乗り放題の切符だから!
高崎駅で上越線に乗り換えて、水上駅へ。今回は渋川はスルーだ。そして、水上で長岡行きに乗ると、先頭車両の運転席後ろにかぶりつき、タブレットを構える。
湯檜曽と土合。何よりも、土合。土合駅。
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日本一のモグラ駅とも呼ばれるトンネル駅だ。
17時58分に到着し、撮影しまくる。ついに来た。やっと来た。ずっと来たかった。西日本に住んでると東日本はなかなか行く機会がないんですよ!?
そして、階段を上り始める。帰りは18時18分だ。
……やばい。これ、かなりきつい。
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てっぱくの館内はかなり歩いた。何度も行ったり来たりしたので、かなりの歩数と考えられる。そこにトドメを刺すかのようなこの階段……ここは鉄ちゃんの墓場なのか……。
ふとももにたまる乳酸に心をガリガリと削られながら、なんとか階段を上り切って、駅舎の中のベンチでいちゃいちゃしていたカップルはスルーして一度外へ出て、駅舎の写真も撮影し、地上のホームへたどり着くと、ちょうど帰りの水上行きが……ギリギリじゃねーか……。
土合駅は体力勝負。覚えておきたい。
行きとは逆の乗換ルートで大宮駅に戻り、今夜の宿へ。カレーが食べ放題ということで、めちゃめちゃ食べて栄養を補給した。
シャワーで汗を流して、おやすみなさい。
死んだように寝た。
……うん。鉄ちゃんって、楽しむためには体力、磨いておかないとダメだ。頑張ろう。
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