第8話 未来視悪魔ミレイの憂鬱

 「いえーー!! さいこーー!!」


 ミレイは、ヤバジャンと魔女隊の対バンにきていた。

 派手はでメイクに、髪は上でしばり、眼鏡も外してある。

 元より眼鏡は、ミレイにとって視力を抑えて、見え過ぎないようにするためにかけている。


 緑のヤバジャンに、超ミニスカートで、赤めなヒールを履いている。


「ヤバージャンプ!!」


 ジャンプしたり、頭をふってみたり、手に持っているリング状の光るものをふったりして、とにかくハイテンションだ。


 ヤバジャンの曲、"かわWE"と

 魔女隊の曲、"RPG爆ぜろ"で、最後の曲になり、舞台から、バンドメンバーがいなくなる。


「楽しかったね!」

「うんうん!」


 隣り合う知らない悪魔とも、うなずきあい、解散していく。


「あーもう、汗だく」


 そう言いながら、まだ頭のなかで、曲を響かせている。



 あとは帰って、シャワーを浴びるだけと思い、解散していく悪魔たちのなかで、公園方面に流されて、歩いていき飛べそうなところで、空中に向かおうとしたところで、偶然にネネ、メディの仕事おわりに、遭遇してしまった。


 なぜだか、後輩ギャル悪魔も一緒にいる。



 はじめ、メディは誰かわかっていなかったが、この服装を見慣れているネネが、先に発見する。


「あ! ミレイじゃん。いまライブ終わり?」

「あ、うん。メディにネネ、後輩ちゃんじゃん」


 正直、しまったと思う。


 ネネに逢えて嬉しいが、メディにこの汗だく、ミニスカ、イケイケをあまり観られたくなかった。

 メディは、ライブに以前誘ったこともあるが、そのときには、若干抑えながら、ハシャいだのだ。


 それに、後輩まで。


 仕事終わりの私服メンバーのなか、ミレイだけ、汗だくのうえに、浮かれた状態で、きまりが悪い。


「あ、じゃ、その」

「会えたんだし、少し公園よろうよ」

「あ」

「そうだね」


 メディもそういって、公園までいくことになってしまった。



 後輩悪魔が、珍しくあまりしゃべらないのは、気まずいからか、それともメディがいるからかな。



 まいは、ミレイを観察する。

 いつもとだいぶ印象が違う。

 というか、


「か、かわいい! ミレイお姉さまだ。」


 いや、でも、わたしの姉さまは、

 ネネお姉さまだけなんだ、ともだえている。


「はい」

「ありがとう」


 メディが、みんなの分の飲みものをデビ自販機で購入してくる。


「ミレイは、魅惑ミックスでよかった?」

「うん。グレープフルーツ味」


 四名の悪魔で、公園に入ったあと、ネネとミレイが、ブランコにのり、

 メディと後輩悪魔は、その周りにある手すりによりかかる。


「ミレイ先輩、スカート短いすね。パンツみえますよ」

「ふふっ。いいのよ。ライブのときくらい」


 ネネはデビいちごにして、後輩はデビクルトだ。

 メディは、ミレイと同じミックスグレープフルーツ。


 ミレイは、足がヒールのため、整備された公園でよかったらしい。

 ネネは、何度かこの公園にきたことがあるのだろう。


「ミレイ、どうだった?」

「うん。よかったよ!」

「そっかぁ。わたしもいきたいけど、ミレイとは、音楽少し違うんだよね」

「ネネは、アイドルに少しロック、ポップスでしょ」

「うん」


 ミレイとネネは、足をブラつかせながら、ブランコに揺れている。

 まだ、通りぞいは、ライブ終わりの悪魔たちが、行きっている。



 黒鉄くろがね鳥のろろちゃんが、まいの近くにきて、少し驚く。

 派手なミレイをはじめて見たからだろう。


「ろろちゃん、ミレイ、キレイだね!」

「そうだね。まいは、仕事のミレイと、いまのミレイだと、どちらかな」

「うーん。迷うけど、こっちのミレイの方が、なんかキラキラしてるね」


 みんなが、飲みものを飲んで、パックの空をもてあますと、


「あぁ。回収ボックスに、入れてくるよ」


 汗だくのなか、メディが近づくため、ミレイは少し焦る。


「はい」

「うん」


 すると、


「ミレイ先輩、今度一緒にいきましょうよ」


 後輩悪魔が、ミレイの乗っているブランコで、遊びだす。


「もう。やめて」

「ふふっ。ミレイ先輩、胸元もあいてるし、なんかいい匂いするし、エ○」


 まいも同じ感想なため、同意してしまう。


「そ、そろそろ、わたし帰るわ」

「え、いいのに」


 メディが戻ってくると、


「ミレイの髪アップした姿、きれいだね。メイクも似合ってる」

「もう!」


 少しだけ、静かな公園のなか、まいは考える。



 ネネお姉さまは、かわいいで、抱きしめたいけど、ミレイは、キレイでなんか色っぽくて、メディは、どういうのが好きなのかな。


「メディ先輩、今度みんなで、ライブいきましょうよ」

「なかなか一斉に、休みはね」

「じゃ、カラオケ」

「まぁ、カラオケなら」

「やったね!」



 解散となり、ミレイはネネと帰りながら、少しだけ気分がかわっていた。


 空中で、飛んで移動しながら、


「ふぅ」

「なに、ミレイ、見られたのショックなの?」

「ううん。ただ、なんかメディに、派手はで遊びをみられると、想ってなくて、みられたら、少しブルーなだけ」

「そう」

「それに、わたしの未来視には、こういうの、でてこなかったわ」

「少しメディは、未来に干渉してしまうのかも。帰り決めたのは、メディだったし」

「そうなの」



 まいは、ミレイの姿をみられて、意外と嬉しい。

 それに、姉さまと、ミレイの特別なところも好き。


「ろろちゃんは、どういうのが好み?」


 聴いてみると


「え、えーと」


 珍しく、いい淀むろろちゃんに、まいは直感する。


 はっ、ミレイみたいな悪魔が好みなんだ。



 ミレイが、汗をぬぐいながら、飛ぶ仕草に、ろろちゃんが、魅入る姿が、なんか楽しかった。


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