第7話 悪魔メディナナタリアの閃光

 まいの日常は、少しだけ変わってきた。


 休日は、姉さまが、メディやミレイとでかけるため、外のさまざまな景色をみる。

 その間は、修行はしないかわりに、ためこんである魔力や知識を外で、試すようになった。



 姉さまが仕事の日は、ときどき、すぐ近くに黒鉄くろがね鳥がやってくるようになった。

 姉さまには見えていないため、わたしの話し相手になってくれる。


 魔力修行の成果の話しや新魔導書のわからない部分、姉さまとのスキルの違いなどを話し、黒鉄鳥もわからないときには、黒鉄鳥は、悪魔中央図書館できいてきたり、手紙でたずねたりしているみたいだ。



 仕事の日。


「ミレイ、忙しい」

「ネネ、それは言わないの」

「ねぇ、メディ見ないね」

「担当地域が違うんでしょ」

「ミレイ、雨くるかな?」

「未来視では、こないわよ」

「未来悪魔便利ね」

「わたしのスキル、天気予報じゃないわ」

「ねえ、ミレイ」

「ねぇ、ネネ」

「なに?」

「気持ちは、大変よくわかるけど」

「けど」

「少しは、前むかない」

「やだ」

「もう」


 ネネとミレイの前には、死んでしまったあとのたくさんのエネルギー体が、渋滞していた。


 そう渋滞だ。


 まいもその様子をみているが、たしかに、これは、その、あまりにも忙しい。



 どうやら、ビルの解体中の事故らしく、たくさんのヒトが、巻き込まれたらしい。


 年齢は、高いヒトから、小学生くらいまでの子で、たくさんだ。



 ネネやミレイの他にも、いくつかのグループがつくられ、回収にきたけど、ケガしているヒトと、エネルギー体となっているヒト、救助のヒトが混ざっていて、悪魔たちが声かけをしてまわっているけど、勘違いや間違いなどがあり、みんなわたわたしている。



 それぞれ担当の黒鉄鳥たちも飛びまわり、生きている者、エネルギー体、悪魔たちと現状は、混乱としか言えない。


「もう。なんでメディいないのぉ」

「あとからくるって」

「そんなぁ」

「メディ班は、別のところから合流」


 まいは、少し前までは、死者が大勢の場所は、苦手であまり見ないようにしていた。


 けれど、少しずつ少しずつ、姉さまやミレイの仕事をみていくうちに、この忙しいなか、悪魔たちが、回収作業をしているのに、慣れてきた。


 いまは、なにもできなくても、応援している。

 わたしの黒鉄鳥もそばにきた。


「もう、この世界から、事故がすべてなくなればいいのに」

「それな」


 ネネとミレイが話しながら、作業していると、途中から、ギャルな後輩のグループも合流してきた。


「ネネせんぱーい!」

「あ、さっそくだけど、そっちのエリアね」

「はーい」



「ねぇ、ろろちゃん」

「はい」

「あの、羽が灰色や黒いかたたちは、悪魔?」

「あぁ、あのかたたちは、堕天使だね」

「堕天?」

「そう。ちょっと厄介だね」

「そうなの?」

「そう。回収のエネルギー体をもち帰ってしまったり、魔力に変換しようとしたり、天使たちは、ルールが厳しいんだけど、それを破ると、なるんだよ」


 説明をきいてるうちに、堕天使たちと悪魔の間で、険悪な感じになっている。


 そしてケンカまで、始まってしまう。


「せんぱい。放っておきましょう」

「そんなわけには」

「でも」


 ネネたちが、回収の手をとめていると、火弾や氷弾など、基礎の攻撃魔法まで、つかっている。


「きゃっ」

「よけて、よけて」


 ミレイと後輩たちが、空中に逃げたりしているなか、おくれたネネのところに、いくつか飛んでくる。


「ネネせんぱい、よけて!!」

「えっ」


 まいは、自身のスキルから、反射と吸収をつかう。


 すると、ネネの前に薄い透明な壁ができて、いくつかは反射し、ほかは吸収する。


「よかった」

「あれ、せんぱいって、魔力無効とかできました?」

「基礎は、知ってるけど、わたしのじゃ」


 まいは、ほっとする。



 おくれて、メディ班がやってくる。

 すると、メディを中心にした男の子悪魔たちは、一斉にさけぶ。


「悪魔連中はふせろ!!」

「はい!」


 悪魔メディの光粒子が拡がると、

 それが暴れていた堕天使たちにあたり、あっという間に、その場に倒れていく。


 まいも見ていて、思わず"かっこいい"と、想ってしまった。


 当然姉さまも観ていて


「メディーー! きゃー! 悪魔イエーー!!」


 叫んでいた。



 メディが連れてきた男の子悪魔たちは、またサッと動きだし、残っている回収作業を始めだす。


 テキパキと、素早い。


 黒鉄鳥のろろちゃんも感心している。


「わぁ。かっこよきですね」

「ま、まいだって」

「悪魔メディは、光属性なんですね。珍しい」

「光」


 まいは、自身の異空間から、宝石ノートを開き、メモをとる。

 そのうちに、この場所の回収作業は、ほとんどが終わっていた。


「メディたちがくると速いね」

「この分だと、すぐオフィサーだなぁ」

「うん」



 まいは、メディとネネを見比べながら、

 悪魔メディが、かっこいい理由が、少しわかってしまい、それが悔しくなる。



 "わたしだって、姉さまの役にたつんだからね!"



 後輩悪魔がやってきて、


「メディ先輩、声かけてきていいすかね」

「だ、だめ。いや、終わってから。いやその、ね」



 ミレイが、クスっと笑っていた。

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