第3話 僕の憶測
僕達は1度家の中に入り、リビングのテーブルを挟む形で座りる。ちなみに父さんは座らずにクリフ様の後ろに立っている。これが貴族社会という物なのかな・・・めんどくさいから僕は貴族になりたくないです!っと、そんなくだらないとこを考えているとクリフ様が今後について話し始めた。
「入学する前に何がなんでも突破しないと行けないのは入学試験だ!アレス君は博識だって聞いてるから大丈夫だとは思うけど・・・うちの子はなんというか・・・・・・誰に似たのか・・・多分妻に似たんだとは思うんだけど・・・あまり頭が良くないんだ・・・」
いやいやいや、頭良くないですけど!それは父さんの見栄でそうなっているだけど、本当はもの凄くおバカです。
て言うか勉強なんてこれっぽっちもしていません!だって・・・学園に入学するつもりなんて今まで無かったから。
小さい頃から学園への入学を決めている一般家庭では、入学試験を迎える2年前位から魔法の練習や勉強を始めるらしい。ラグナ家でも1度だけ学園の入学について家族会議を行った事があった。
結論から言うと「アレスには無理」という事で話しはまとまった。
もう少しさ言い方を優しくしてくれとも良くない?と当時の僕は思った。もちろん自分でも無理な事は重々承知である。魔力量はめちゃくちゃ少ないし、頭も悪い。何か奇跡が起きない限りは入学試験に合格する事なんでまず有り得ないだろう。
でもさ、「無理しなくても大丈夫だよ」とか「畑仕事頑張ろ!」とかさ言い方は色々あると思うんだ。なのにあんなにド直球で言わなくてもよくない?
僕は心の中ではもの凄く強気だけれど、現実ではそれはもぉ弱弱メンタルな訳ですよ。叩いたら割れるとかじゃなくて、軽くつついたら割れちゃったって位に脆いんですよ。家族会議が行われたその日は、悲しすぎて逆に涙なんて出てこなかったくらいだよ。
まぁそれはもう過去の事だし1度置いておいて、クリフ様さり気なく奥様の事ディスってたよね?多分無意識だと思うけど・・・一応覚えといて置こう、いつか使えるかもしないからねと、心の中で悪い笑みを浮かべる僕。
「娘さん・・・ステラ様は勉強が苦手なんですか?貴族の子は幼い頃から魔法の技術や座学など勉強するって聞きますけど?」
クリフ様みたいな貴族家ではラグナ家見たいに、学園に入学するかどうかを決める家族会議なんて行われたりはしない。どんなに魔力量が少なかっとしても、頭が悪かったとしても、貴族家は基本的に学園入学に向けて小さい頃から勉強が始まる。貴族の礼儀作法などと同時進行で進めるられるのだ。僕だったら、あまりの辛さに逃げ出す事間違いなしだけど、貴族の子は逃げもせずに頑張って居るだなんて尊敬してしまう。
そんなに事を考えていると大きなため息を吐きながら項垂れるクリフ様がステラ様について教えてくれた。
「勉強が苦手というわけではないんだ・・・毎日家庭教師の授業も真剣に受けているし、家庭教師からの評判も良いんだけどね・・・ただ、覚えが兎に角悪いんだ」
そう教えてくれたクリフ様は手を顔の前で合わせながら「ステラ〜君の事を悪く言ってごめんよぉ〜こんなダメな父様を許しておくれぇ〜」なんて呟いている。
そんなクリフ様を見て、クリフ様ってもしかしたら残念な人なのかも?と思った事は絶対に黙っておこう。
「覚えが悪いですか・・・・・・失礼とは存じますが、もしかしたらやり方が悪いのでは無いですか?」
「そうなのかぁ〜・・・ 何か他にいい方法があればいいのだけれど・・・」
先程まで頭を下げ手を合わせてステラ様に謝罪をしていたクリフ様は顔を上げ今度は腕組みをし、何か良い方法はないかと悩んでいた。
ちなみにだが、僕には幾つか思い付いた方法がある。クリフ様の今までの話を聞いて、ステラ様が覚えられないのはもしかしたらこれが原因なのでは?というものがあった。
「クリフ様、1つお聞きしたいことがあるのですが大丈夫でしょうか?」
「一つと言わずいくらでも聞いてくれたまえ!君にはこれからたくさん世話になるかもしれないからね!遠慮せず聞いてくれ!」
ありがとうございます!っとお辞儀をしてから僕は思いついた方法を質問を混ぜながらクリフ様に説明していく。
「普段ステラ様は家庭教師の方と1体1で勉強なさっているのですか?」
「そうだよ。普段僕と妻は仕事をしているから勉強の時は家庭教師と1体1で勉強すること後が多いね!それが何か問題なのかい?」
クリフ様は「それが普通なのでは?」と首をかしげ、そう言いたげな表情をしているが、僕に貴族の普通なんて分かりません。家も一応貴族だけど家庭教師なんていた事ないし、これと言って貴族がする様な事なんて一切したこと後ない。暮らしの内容的には平民の一般家庭と大差無いと思う。そして、その貴族の普通がステラ様が勉強ご覚えられない原因だと思う。
「多分ですがそれが大きな原因なのではないかと思います。先程、ステラ様は人見知りでもの静かな子だと仰っていましたが、そんな性格の子が家庭教師ましてや大人と狭い空間に2人きりで閉じ込められたら緊張で勉強が手につかないと思うんです」
するとクリフ様の顔が少し真剣な表情になり僕の顔を真っ直ぐに鋭い目付きで見つめて来る。
(あれぇ・・・もしかして僕、なんか言っちゃいけないこと言っちゃいました? めっちゃ見られるてるぅ・・・目怖!あれは子供に向ける目じゃないと思うんですけどぉ〜・・・・・・? 冷や汗と鳥肌が・・・・・・僕の心はもう既に限界です)
「でもアレス君、娘は今まで1度もそんな事言った事ないんだよ?それに、家庭教師も優秀な人を雇っているから内容的にも問題は無いと思うだけど?」
これはもしや怒ってます?いや確実に怒ってますよね・・・僕のメンタルは今終了致しました。父さん母さん今までありがとう・・・僕はもう無理です。
いや、言ってしまった事は取り消せないし、もうやけくそだ!思った事全部言ってやるぅぅ!
「言ったことないんじゃなくて、言えなかったんだと思います・・・これは僕の憶測ですけど、クリフ様と奥様は普段お仕事で忙しいから心配をかけたくなかったんじゃないかなって。クリフ様の話からステラ様が愛されて居るのはとても感じました・・・だから愛してくれる2人に心配かけないようにって頑張っていたんだと思います。
それに、僕はそこまで人見知りじゃないですけが、そんな僕でもあまり親しくない大人の方と狭い空間に2人で長い時間いたら気疲れしちゃいます。
ステラ様の性格を考えると、とても大変なことだと思います。多分ですが、勉強が覚えられないんじゃなくて、覚える余力がないんだと思います。常に気を張っているから勉強に集中出来ないんだと思います。授業を真剣に受けてるって仰っていましたが、それもご両親に心配をかけまいとそういう風に見せているだけなのかもしれませ。だから1度でいいのでステラ様と話し合って見てはいかがでしょうか?」
ふぅ言いたいことは全部言えたぁ・・・・・・でもさ、これって全部僕の憶測でしかないから、もし仮にこれが全く的外れな事を言っていた場合、僕はただただロッジ家を侮辱した愚か者ってことになるよね。
やけくそになって言わなければよかったと今更になって後悔する僕だった。
「・・・・・・・・・はぁ、確かにアルス君の言う通りかもしれないね・・・今思えが、勉強の事や家庭教師の事についてステラと話した事は1度もなかった、何も問題ないと思い込んで、ステラの気持ちを一切気にも止めようとしていなかった・・・私は父親失格だ。これに気づけたのもアルス君のおかげだよ、本当にありがとう!」
なんということでしょう、僕はてっきり怒らせてしまったと思っていたのに、なぜが感謝されてしまった。
今僕の目の前には深く頭を下げているクリフ様がいる。まさかまさかの展開に驚きを隠せず僕は口を開きぽかんとしてしまった。
そして父さんもそんなクリフ様に驚いたのか、慌てて頭を上げるように促す。
この国では上の身分のものが下の身分の者に感謝する事すら珍しいというのに、頭を下げるなんて有り得ないことなのだ。その後直ぐに頭を上げてくれたから良かったものの、本当に心臓に悪いのでそういうのはこれっきりにして欲しいですと、心の中でお願いしておいた。
「まぁ怒っているようじゃ無くて良かったよ本当に・・・僕の人生は今日で終了なのかと絶望してしまったじゃないか・・・はぁもうダメだ今すぐにでも布団にダイブして今日という日を忘れたい」
「なんかごめんねアルス君、決して怒っていたわけではないんだよ。ただ真面目な話になるとつい顔が強ばってしまうんだ!だからあまり気にしないでくれ!」
「あっ!!!!!」
やってしまった!心の中で喋っていたつもりが声に出てしまっていた。気が緩んでとんだ失敗をしてしまった。
まぁでもクリフ様も気にしないでくれと言ってくれている事だし、気にするのはやめよう。そっちの方が僕の弱弱メンタルにも優しいと思うしね!
その後は学園の事について軽く教えてもらったり、雑談などをし、クリフ様のお帰りの時間になったので本日は解散となった。ちなみに雑談の内容だが、ステラ様の話が殆どだった。ステラ様のあれが可愛い、これが可愛いとクリフ様の自慢話だけで終了した。
そして帰り際、
「本日はありがとうございました! それと先程は出過ぎた真似をしてしまい申し訳ございません!ステラ様との事、上手くいく事を心より願っております!」
「ありがとう!早速帰ってたらステラ様と話し見るよ!」
クリフ様と別れた後、僕は自室に戻りベッドへと倒れ込んだ。
(疲れた、あんなの10歳の子供には荷が重すぎるだろ!さすがに今日はなかなかの疲労が溜まってそうだからこのままぐっすり眠れそうだ、爆睡確定だよ・・・それと、どうかステラ様の事が全て的外れでは無いことを!どうか!)
そんな事を心の中で願いながら僕は深い眠りへと落ちて行った。
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