13.レベルUP
あー、疲れた。
運動後に吹き付ける風が心地よくはあるが、どうしようもなく腰が痛い。
なんとか来た道を引き返してギルドに辿り着き、依頼完了の報告をする。
持ってきた大量の落ち葉を詰めた袋が証明になり、依頼完了の印が依頼書に押される。
「もし依頼完了の嘘が発覚したら……分かってますよね?」と含む気もない忠告を受けつつ、腰の痛みと早くログアウトしたい衝動から冷や汗をかく。
「では、依頼を終了します。ありがとうございました」
「ありがとうございました……ッ!」
寝たい!今はとりあえず早く寝たい!
『レベルが上がりました。ステータス、スキル機能を解放します』
機械音声?
なんで今?
気……になるけど寝たい!
確認するのはまた今度でいいや。
そう思ってギルドを出て噴水からログアウトする。
ログアウトした後はそのまま機械の中で寝た。
だってこの機械の中の椅子、めちゃめちゃ座り心地いいんだもん……。
◇◇◇
起きて腰の状態を確認する。
……って、ゲームの中での出来事が現実に反映されるわけないか。
そう考えると心底思う、このゲーム凄い、と。
じゃあ特に体調面に問題ないな。
母さんが呼びに来る気配もないし、飯もまだだろう。
よし、やっちゃうか。
スタートボタンを押し込んで、本日二度目のログインを決め込むことにした。
ログインして最初に視界に入るのは相変わらずの噴水。
何度見ても壮観だよなぁ────い゙っ!?
いったぁ……腰いったぁ……。
何とか噴水の縁に腰掛け、事なきを得る。
とりあえず、何が起こってる?
あっ、そっか。ゲームの中での出来事だから現実では反映されないけど、ゲームの中ではそりゃ反映されるよね!
ってなるかアホぉぉお!?
そこまで忠実に再現しなくともいいじゃん!?
せめてなんかもうちょっとこう、デフォルメされた可愛らしい痛みにしよう!?
ズキズキ言っててシャレにならないんですが‼
なんでこの年で腰痛……いや、この場合筋肉痛か?
……どっちでもええわ!
はぁ、何やってんだろ、俺。
とりあえず、背もたれがあるところに移動したい。
お、ちょうどいい所にベンチが。
「イテテテ…………いて、痛っ。……ふぅ……」
何とか移動を完了して背もたれに全体重をかける。
これでだいぶ楽になった。
さて、前回の最後の方に聞いた機械音声の内容を掘り下げていくとするか。
なんだったっけ、レベル……が上がりました、ステータスとスキルがうんちゃらかんちゃらみたいな感じだった気がする。
スキルはまぁなんか技術みたいな感じなんだろうけど、ステータスってなんだ…?
何らかの偏差値みたいなやつか?
いや、このゲームのことだ、どうせ声に出したり念じたりすれば勝手に何か出てくるだろ。
考えるのはそれからでいいだろう。
そう思い、声に出す準備をする。
「【ステータス】」
──ほら、やっぱり。
予想通り、目の前の空中にはウィンドウが浮かんでいた。
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