第021話 ファッション
「こんな感じでどうかにゃ?」
「へー……めっちゃ上手いじゃん。やってたの?」
「昔からたまに描いてた。でも、そんなに上手くないにゃ」
いや、まったく描けない僕からしたらプロ並みに上手いと思うんだが……
「いや、普通に上手いよ。でも、もうちょっとおっぱいを大きくしようよ。百歩譲ってロリ系はいいとしても貧乳はない。これじゃあ、抜けない」
僕はニャー子が操作しているパソコン画面を見ながら苦言を呈した。
「抜けるもんがにゃいくせに」
「お前もでしょ」
「悲しいにゃ」
「まあ、僕は問題ないけどね」
カナちゃんの匂いさえあれば、イケる。
「さすがにゃ……」
僕とニャー子はニャー子の家で例のエロ本を描こうとしている。
色々とシナリオなんかを考えたのでニャー子の家にやってきたのだ。
「でもさー、売ることを考えても巨乳がいいんじゃない?」
どちらかというと巨乳の方が需要はある気がする。
「巨乳は得意じゃないにゃ。少し膨らませる程度で許すにゃ」
まあ、これは仕方がないかもしれない。
ニャー子は巨乳が好きじゃないし、好きじゃないものは描きにくいだろう。
「じゃあ、少し膨らませる感じでいこう。つるペタはダメ」
「まあ、モデルがお前だからこのくらいにしとくにゃ」
ニャー子がヒロインの胸を少し膨らませる。
「僕、もう少しあるよ」
「なかったにゃ。むしろ、絵の方が大きいにゃ」
そういや、社長の家で見せたんだった……
覚えはまったくないが、少なくとも、起きたら全裸だったし。
「まあ、それでいいよ」
「それでどういうシナリオでいくにゃ?」
「物語とかすっとばしていいからエロを前面に出そう。どうせ素人の僕らじゃ無理だ」
シナリオを考えてきたが、話の内容というより、プレイの内容だ。
「まあ、それでいいと思うにゃ。タマは背景とか描けないし」
「それでいいよ。まず、どんなにひどくしてもいいけど、愛は忘れないでね」
愛は大事。
「どういう意味にゃ?」
「愛がなきゃ、陵辱ものになっちゃうじゃん。調教はそうじゃないの」
「お前、マジで怖いにゃ……」
「いや、僕、やられている方……」
男に戻ったらやり返すけど。
「カナちゃんに愛を感じるにゃ?」
「そりゃね。たまに変なスイッチが入るだけで基本的には優しいよ。いつもおっぱいで癒してくれるし」
「飴と鞭にゃ」
どちらかと言うと、マシュマロ。
「まあ、そんな感じで描いてねってこと」
「わかったにゃ。絵はたまに描いてたけど、漫画を描くのは久しぶりだから時間がかかるにゃ」
「別に急いでないし、描ける時でいいよ」
僕達はその後もパソコンを眺めながらプロットを練っていく。
「ローターはいる。僕、ローターで攻められるのが好き」
「聞きたくなかったにゃ。バイブは?」
「それはダメ。今回はちゃんと竿役がいるわけだからバイブは放置プレイ以外は邪魔なだけ」
「まあ、わからんでもないにゃ」
バイブで攻めるくらいなら自分で突け。
「スパンキングも好きだけど、顔は殴っちゃダメだよ」
「わかってるにゃ。あと、いちいち、エロミの性癖報告はいらないにゃ……ん?」
僕とニャー子が熱い性談義をしていると、部屋に着信音が鳴り響く。
「あ、僕だ…………チヒロっちから?」
何だろ?
明日、ファミレスで会うんだけど……
「チヒロっち? 何の用にゃ?」
「さあ? 出てもいい?」
「出るにゃ」
僕はスマホの通話ボタンを押すと、スマホを耳に当てた。
「もしもしー?」
『あ、エロミ姉さん、こんにちは』
礼儀正しいギャルだな……
ギャル語の一つでも言えばいいのに。
「はい、こんにちは」
『今、大丈夫でした?』
学生のくせに本当に律儀だわ。
「問題ないよ。ニャー子の家でエロ漫画を描いてただけだし」
『あ、例の……本当に描くんですね……』
「まあねー。それでなーに? 明日会うじゃん」
『明日ですけど、社長は少し遅れるそうです』
仕事かな?
「ふーん、まあ、仕方がないね。それをわざわざ知らせてくれたの?」
『ええ。それとちょっと明日見てもらいたいものがありまして……』
改まって、何だろ?
「別にいいけど、ちょっと早く行こうか? ニャー子は遠慮させた方がいい?」
『お願いします。あ、いや、できたらタマさんも一緒で』
ニャー子もね。
「ふーん、わかったー。じゃあ、明日、ちょっと早く行くよ」
『すみません』
「別にいいよー。じゃあ、明日ね」
『はい。エロ本、頑張ってください』
すごいセリフだ……
「はいはーい」
僕は電話を切った。
「何だって?」
電話を切ると、ニャー子が聞いてくる。
「明日、見せたいものがあるから早く来てほしいんだってさ。あと、社長は遅れる」
「ふーん、タマもにゃ?」
「ニャー子もだって」
「何だろ……?」
ニャー子が首を傾げた。
「さあ? 縦線が入ってる妊娠検査薬だったらどうしよ……」
「笑えないから面白くない冗談はやめるにゃ」
確かに……
◆◇◆
翌日、僕とニャー子はファミレスに行く前に合流し、一緒にファミレスに向かった。
すると、すでにチヒロっちが来ており、座って待っていた。
「やっほー」
「早いにゃ」
僕とニャー子は挨拶をしながらチヒロっちの対面に座る。
「こんにちは。俺もさっきです」
本当かね?
カナちゃんもだけど、皆、そう言う。
まあ、僕もだけど。
「それで見せたいものって何? Tバックでも買った? あれ、意外と楽だよね」
タイトスカートにラインが浮き出ないし。
「エロミは黙るにゃ。太ももにバンドを付けている変態はシャラップだにゃ」
いや、これ、おしゃれ……
ローターホルダーじゃない……
「あ、いや、たいしたものじゃないんですけど、どう思います?」
チヒロっちがそう言って立ち上がった。
「………………」
「………………」
僕とニャー子が無言になる。
「へ、変ですか?」
「……いや、何が?」
「……悪いんだけど、チヒロっちが何を言っているかがわからないにゃ」
何を見せたいんだ?
まさかおっぱいが大きくなった?
いや、Cのままだ……
「あ、これ……」
チヒロっちが自分の下半身を指差した。
「え? まさかチヒロっちもエロミと同じくローターを入れてるのにゃ!?」
「いや、僕も入れてないから。というか、これ、おしゃれだから。カナちゃんが買ってくれたの!」
おかげでタイツが穿けなくて寒いけど。
「いや、スカート……」
んー?
あ、確かにチヒロっちがスカート穿いてる!
制服以外では初めてだ。
「あー、それを見せたかったわけにゃ」
「買ったんだね」
なるほどー。
「へ、変じゃないです?」
すごい……
ギャルがスカートを恥ずかしがっている……
なんかこう……来るものがあるな。
「似合うと思うにゃ」
「うんうん、かわいい」
マジでかわいい。
男だけど。
「御二人は慣れているでしょうが、どうも慣れなくて」
「それで僕達に確認してほしかったわけね」
社長は穿かないしなー。
「はい。変じゃないなら良かったです。でも、やっぱり違和感があります」
「気にするにゃよ。普通、普通。エロミなんて慣れすぎてる。エロミ、立つにゃ」
ニャー子に言われたので立ってみる。
「え? 僕、変?」
「チヒロっち、見るにゃ。ゆったり目で丈の短い白のニットワンピースで生足をさらけ出し、しかも、太ももにバンドを付けているあざといロリにゃ」
ニャー子にそう言われたのでゆったり目の袖から半分だけ手を出し、胸元に持っていく。
そして、チヒロっちを見上げながら笑った。
「すごい! 完璧なロリだ! …………いや、エロミ姉さん、いくつでしたっけ?」
「今度の金曜で26歳になりますけど!?」
何か!?
「あ、おめでとうございます」
「おめとうにゃ!」
どうも!!
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