第010話 心のチン○を取り戻そう


 僕は就業時間が終わっても会社に残り、仕事をしていた。

 ふと、時刻を見ると、もう10時だ。


 周りを見渡しても誰もいない。

 カナちゃんも先に帰らせた。

 今頃は家で僕の帰りを待っていることだろう。


「あー、帰りたい……」


 帰ってカナちゃんのおっぱいに埋まりたい。

 でも、まだ帰れそうになかった。


 こうやって1人で仕事をしていると、自分は一体何をしているんだろうという気になる。

 期待されているのはわかった。

 でも、仕事の配分がおかしくないか?

 明らかに僕だけ多いぞ……


「お金を稼ぐって大変だなー……」


 僕はもうひと頑張りだと思い、仕事を続けると、11時には仕事を終え、帰宅した。


「ただいまー……」


 僕は自宅に戻ると、ドアを開けて、つぶやく。

 すると、奥からパジャマ姿のカナちゃんが出向かえてくれた。


「おかえりなさい。遅かったですね? やっぱり手伝ったほうが良かったです……」

「いあ、大丈夫だよ。それより、疲れたー」

「お疲れ様です。ごはんにします? お風呂にします?」

「うん。カナちゃん」


 僕はカナちゃんに抱き着く。


「もう! せっかく作ったんだからご飯を食べてくださいよー」

「それもそうだね」


 僕はこの後、ご飯もお風呂もカナちゃんもいただいた。




 ◆◇◆




「ねえ、社長、社長はなんで社長になろうと思ったの?」


 僕はいつもファミレスでオレンジジュースを飲みながら対面に座っている社長に聞いてみる。


「社長に? 起業理由か?」

「そうそう。要はなんで今の仕事を選んだかってこと。僕は適当だったからさ。それで今のままでいいのか悩んでいる。最近、忙しくてねー」

「そんなに忙しいのか?」

「僕にだけ仕事量の配分がおかしい。カナちゃんに任せるわけにはいかないし、残業しまくり。まあ、帰ったらカナちゃんがご飯を作ってくれてるし、癒してくれるんだけどね」


 最近、Sっ気がなりを潜めているし、普通に癒してくれる。


「できる奴にできる仕事を回しまくっているのかもな……それにしても、お前ら、同棲してるのか?」

「ほぼね。僕の家は会社から近いし、合鍵は渡してる。だからカナちゃんの生活用品が溜まっていく一方」


 下着まで置いてある。

 いい匂いがする。


「ふーん……あ、起業理由だったな。すまんが、たいした理由じゃない。人の下につくのが嫌だっただけだ」

「へー、ヤンキー的な思考?」

「いや、誰かにつまらないことを指示されたり、理不尽な目に合うのが嫌だったんだ。それに人と同じが嫌だった。高校の時は遊んでいる皆をバカにし、大学の時は就活している皆をバカにしていた。要は嫌な奴ってこと」


 おー、意識高い系っぽい。


「今は違うの?」

「起業は大変だったし、ここまで来るのに何回も頭を下げ、理不尽な思いをしてきた。普通に就職した方が楽だったな」


 社長も大変なんだなー。

 そりゃ、ベ○ツにも乗っていいわ。


「チヒロっちは将来どうするの?」

「あー、大学はいいっすね。高校を卒業したら働くと思います。何をするかは決めてませんけど」

「タマと一緒にアイドルをやらにゃいか?」


 ニャー子がチヒロっちを誘う。


「いやー、無理っすよ。俺、愛想とか振りまけないし」

「簡単にゃ!」


 ニャー子が満面の笑みになる。


「無理っすわー……」

「エロミ、やってみるにゃ」


 そう言われたのでニコッと笑う。


「おー、すごいっすね。めっちゃいい子そうです。中身はアレですけど……」


 アレ?


「ニャー子はなんでアイドルになったの? 金持ってんじゃん」


 7億も。


「スカウトされたにゃ。あと、お金があっても暇すぎるにゃ」


 あー、確かに暇かもしれない。


「僕もスカウトされないかな?」

「お前は見た目がいいからされるかもしれないが、おすすめしないにゃ。すぐに炎上するにゃ」


 炎上は嫌だな。


「枕とかあるの?」

「さあ? タマはそこまで売れているアイドルグループじゃないし、わかんないにゃ」

「話があったら乗る?」

「相手の顔によるにゃ」


 イケメン好きだったね……


「感想よろしく」


 ニャー子のビターな処女喪失を聞かせてくれ。


「女の身体ってすごいって聞くけど、どうなのかにゃ?」

「さあ? わからん」

「それを知っているのはエロミさんだけっすね」


 え?


「君ら、✕✕✕✕とかしないの?」

「しないな」

「アイドルはしないにゃ」

「するわけないでしょ」


 えー……


「でも、男の時はしてたでしょ?」

「毎日してたな」

「暇だからほぼ猿だったにゃ」

「まあ、するっすね」


 何が違うんだ?


「じゃあ、しなよ。僕なんかしょっちゅうやってるし、カナちゃんの前でさせられたこともあるよ」


 何回も……


「カナちゃんが完全にご主人様になってるにゃ……」

「エロミのエロミさは今さらどうでもいいが、しなよって言われてもやり方がわからん」

「そうっすね。あと、何か怖い」


 こいつらは……


「君ら、チン○と共に大事なものを失ってない? 心のチン○を取り戻そう」

「正直に言うと、やろうと思ったことはある。だが、おかずは何を選べばいい? AVを見ても女優の方に感情移入しそうなんだが……」


 社長は主観ものが好きなんだな。


「レズものでいいじゃん」

「マジか……」


 マジだ。

 僕はカナちゃんの写真とかカナちゃんの私物でやってる。


「あのー、やり方がわかんないっすけど……」

「チヒロっち、君は男の時に✕✕✕✕のやり方を誰かに教わった? 本能のままに気持ちいいように手を動かせばいいんだよ。もし、あれだったらローターでもバイブでも貸そうか?」


 ウチにはいっぱいある。

 主にお仕置き用だけど……


「エロミさんが使ったやつはいいっす……自分でやってみます」


 そうしまへ。


「ニャー子は?」

「タマはアイドルだからいいにゃ」

「どうした、猿?」

「マジで言うと、どうすればいいのか悩んでいるにゃ。男の時はどっちでも良かったけど、今は女の子になって自分の性癖が迷走しているにゃ」


 複雑なんだな。


「あー、タチの方だったわけね」


 男だろうが女だろうが、入れる方だったわけだ。

 でも、今は入れられる方の身体。

 そりゃ、悩む。


「そうにゃ。お前、詳しいにゃ……」

「どうやれば下剋上できるか調べてたから」


 なお、色々試し中だけど、全部失敗してる


「あっ……なるほどにゃ。そういうわけだからタマはいいにゃ」

「双頭✕✕✕✕いる?」

「中古はいらないにゃ」


 まあ、僕も嫌だ。

 特にカナちゃんが使ったやつだし。

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