第009話 見た目の変化


「カナちゃん、愛してるよー」


 僕はソファーの隣に座っているカナちゃんに抱き着く。


「どうしました? 今日はやけに甘えてきますね」

「そんなことないよ。いつも思っていることを伝えているだけ」

「ものすごく怪しいんですけど……」


 ないない。

 そんなことない。


「ちゅーしよ」

「うーん、これはお仕置きだな」


 えー……

 なんでぇ……


「焦らすのはもういいよ」

「ダメです」


 カナちゃんはそう言うと、カバンから手錠とアイマスクを取り出した。


 えー……なにそれー?

 どうやって使うの?


「買い物に行かない?」

「行かないです。メグちゃん、こっちに来なさい」

「はーい……」


 僕は寝室に連れ込まれてしまった。




 ◆◇◆




「ニャー子、社長とチヒロっちが遅くない?」


 僕は横に座ってスマホを見ているニャー子に聞く。


「タマにゃ。今、メッセージが届いたけど、遅れるってさ。社長がチヒロっちの家に向かえに行ったらしいんだけど、迷子になったらしいにゃ」

「あのベン○で向かえにいったの?」

「多分、ベ○ツでいったにゃ」


 親御さんがびっくりするんじゃないかな?


「まあいいや。待とう」

「そうするにゃ。時間つぶしにエロミがエロ話でも話すにゃ」


 なんでやねん。


「この前、ひどい目にあったよ」

「ちゃんとネタがあるのがすごいにゃ……」


 ニャー子が振ってきたくせに引くなよ。


「いやさー、先週、君らのせいでちょっとカナちゃんに罪悪感があったわけ」

「タマ達のせいにするにゃ。お前がひどいだけにゃ」


 いや、ニャー子が変な質問をしたせい。


「それでさー、この前、愛してる攻撃をしたわけ」

「後ろめたさがありありと出てるにゃ」

「カナちゃんもそう思ったらしく、詰問してきた。いや、拷問?」


 エロ漫画で見たことある。


「えっちなやつ?」

「えっちなやつ」

「どんなのにゃ?」

「目隠し手錠で焦らしプレイ」


 すごいね、あれ。


「お前らは人生を楽しんでいるにゃ」

「違くない? 僕がカナちゃんにやる方でしょ」

「下剋上は諦めるにゃ」


 いや、諦めない。

 僕がデザートイーグルを取り戻したらカナちゃんだってエロ漫画みたいなセリフを言うはずだ。


「そういやさ、ニャー子って男が好きなんでしょ?」

「それは語弊があるにゃ。男でもいけるとは言ったけど、8対2くらいで女の方が好きにゃ」


 ほぼ女じゃん。


「好みとかあるの?」

「女の方はロリ系が好きにゃ」

「カナちゃんはあげないぞ」


 殺しちゃうぞ。


「おっぱいはない方がいいにゃ。だから見た目的にはお前がいいにゃ」

「えー……僕ー?」


 やだー。

 お前、Aじゃん。


「安心するにゃ。見た目的な話であって、お前は中身がヤバすぎてタマの心のチン○が反応しないにゃ」

「ひどいにゃ」

「真似するにゃ」

「男はどうなの?」


 男の趣味を聞くのは人生で初めてだわ。


「イケメン」

「僕じゃん!」


 やだー。

 お前、Aじゃん。


「お前のその妙な自信は何にゃ?」

「カナちゃんがモテそうだし、絶対に彼女いそうって言ってた」

「それは社交辞令にゃ。あ、いや、その後、本当に付き合ったんだったにゃ。カナちゃんの目が腐ってただけにゃ」


 おい!


「何を話しているっすか?」

「悪い、遅れた」


 社長とチヒロっちが席につく。


「僕の男の姿がイケメンって話」

「カナちゃんの目が悪いって話にゃ」


 こら!

 まだ言うか!


「あー、そういえば、お前らの元の姿がわからんな」

「写真も全部変わってますしね」


 そうなんだよねー。


「僕はイケメンね。何しろ、告白成功率が脅威の100パーセントだから」

「一分の一なだけにゃ」

「その一がカナちゃんだよ? あの子に見合うイケメンだったんだよ」


 あんなかわいい子だぞ。


「まあ、お前はいいにゃ。社長は?」

「俺は背が高かったな。180センチあった」


 高いなー。


「目付きが悪いヤクザだろうにゃ」

「黒塗りのベン○だしね……」


 怖いわ。


「まあ、目付きが悪いとは言われたな……」


 やっぱりー!


「ちなみに聞くんですけど、茶髪でした?」


 チヒロっちが社長に聞く。


「ああ、そうだ。お前は金髪か?」

「そうっすね」


 髪色が変わっていないのかな?


「ニャー子は黒?」

「そうにゃ? お前もか?」

「うん。僕も黒のまま」

「髪の色は一緒っぽいにゃ。でも、さすがに長さは違ったにゃ」


 僕の髪は肩よりも下のセミロングだ。

 さすがにこんなに長くはなかった。


「そうだな。俺も短いわけではなかったが、これができるくらいほどには長くなかった」


 社長が自慢のポニテを触る。


「俺はあんまり変わんないっすね。元がちょっと長かったですし」


 チヒロっちはショートカットだしなー。


「身長は?」

「縮んでますね。元は170センチありました」


 げっ、僕165センチだった。


「ニャー子、僕とお前って同じくらいの身長だよね?」

「そうにゃ。155センチにゃ」


 一緒だ。


「元はいくつ?」

「165センチくらいかにゃ?」

「一緒だ……皆、10センチくらい縮んでそうだね」

 社長が180センチから170センチ、チヒロっちが170センチから160センチ、それで僕とニャー子が165センチから155センチ。


「そんな感じだな」

「多分、そうです」


 社長もチヒロっちも同意する。


「そうなると、次は胸にゃ。なんでタマだけAにゃ?」

「ふふっ、それはきっとあそこのサイズが反映されているんだよ……ぷぷっ」

「…………お前とたいして変わらないにゃ。Bのくせに」

「言っておくけど、Bは結構あるからね。楽しませる分には十分」


 寄せて上げれば結構なサイズに見えるし。


「誰が楽しむにゃ」

「カナちゃん。上手すぎて勉強になるね」


 ああやればいいんだって思う。


「あっそ……」


 Aがそっぽを向く。


「もし、その考察が当たっているとしたら今、胸が大きくなれば、元に戻った時にチン○が大きくなるんすかね?」


 高校生が食い付いた。

 さすがは高校生。

 サイズを気にする。


「かもね。牛乳でも飲めば?」

「そうします」


 しかし、この子、今でもCはあるくせにまだでかくなりたいか……


「今のうちにおっぱいにシリコン入れたら戻った時に真珠に変わるのかねー?」

「お前のその発想には素直に感心するな」

「ホントにゃ」


 やっぱり僕、天才?

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