第005話 過去
最近、カナちゃんは毎日のように泊まりに来ている。
というのも、いつも会社に行き、帰りにご飯を一緒に食べ、ラブホに行っていたのだが、さすがにお金がかかりすぎていたため、そういう生活を改めたのだ。
カナちゃんは毎日のようにウチに来てくれ、御飯を作ってくれる。
今日も作ってくれた。
そして、御飯を食べ終えると、ソファーでまったりと過ごす。
「カナちゃん、ありがとうね。美味しかったよ」
「良いんですよ。私は先輩が喜んでくれるのが嬉しいです」
いい子だ。
結婚しよ。
おっぱい大きいし。
「今日も泊まっていく?」
「先輩のえっち」
カナちゃんはそう言いながらも腕を絡めてくる。
「えっちなはカナちゃんだよー」
「先輩のせいですよー」
勝ち組だ。
僕は勝者だ。
デザートイーグル君よ、早く戻ってこい。
「えへへ」
「先輩はかわいいなー。ところで、あれなんです?」
カナちゃんが床に落ちている本を指差す。
「あ、あれは高校の時の卒アル」
過去はどうなっているんだろうと思い、引っ張り出したのだ。
なお、女だった。
どうなってんの?
「見てもいいです?」
「いいよ」
どちらかというと、カナちゃんの方を見たいけどね。
カナちゃんはソファーから離れると、卒アルを手に取り、読みだす。
「あ、先輩発見。セーラーだったんですね」
確かにウチの高校はセーラー服だった。
だが、当然、着た記憶はない。
「だねー」
「私はブレザーでしたよ。セーラーが良かったなー。先輩、今も持ってます?」
え!?
カナちゃんが着てくれるの!?
「探してみる!」
僕は寝室に行くと、クローゼットを漁る。
引っ越した際に自分の物は全部持ってきているはずだからあると思う。
もっとも、セーラーじゃなくて学ランだったはずだが……
クローゼットの中の段ボールを開け、漁っているとセーラー服を見つけた。
「あった!」
やったぜ。
カナちゃんに着てもらおう!
「おー! ありましたか! じゃあ、着てください」
え?
「僕?」
「先輩のでしょ」
いや、そうだけど……
「カナちゃんが着るんじゃないの?」
「今度、着てあげます。今日はメグちゃんが着るんです」
「あ、うん……」
何故かカナちゃんにメグちゃんと呼ばれると逆らえない。
僕は服を脱ぐと、セーラー服を着た。
すると、すぐにカナちゃんに腕を引っ張られ、ベッドに連れ込まれてしまった。
◆◇◆
「皆さー、昔の写真とか服とか確認した?」
今日もいつものメンバーでいつものファミレスに集まったので聞いてみる。
「昔のか?」
社長が聞き返してくる。
「そうそう。昨日、部屋を漁ったら高校の時のセーラー服が出てきたんだよね。もちろん、着た覚えはない」
「でも、昨日、着たんだにゃ。エロミ、今日は一段と首筋に痕がついてるにゃ」
うるさいニャー子だ。
カナちゃんに火が着いたんだから仕方がないじゃん。
「そんなことはどうでもいいの。それとも詳しく話そうか?」
「いやいい。お前は無駄に官能的に話すし」
「俺もいいっすわ。エロミさんの平常運転でしょ」
平常運転ってなんだよ。
「それでさー、皆どう?」
「制服は調べてなかったな。だが、写真は全部変わっていた」
社長は社長だし、写真も多そうだ。
「ニャー子は?」
「タマと呼ぶにゃ。私は正直わからないにゃ。服もジャージしかなかったし、写真もないにゃ。こういうには現役に聞くにゃ」
確かに……
僕達はチヒロっちを見る。
「見りゃわかると思うんっすけど。制服は変わっていましたね」
今日のチヒロっちはギャルらしくかなり着崩しているが、学校の制服を着ている。
「うーん、こうなると超常現象すぎるな。私服はどうだ?」
社長が聞いてくる。
「それがさ、僕の場合だけど、ユニセックスなのは残っていたけど、他は消えていた。あと、会社に着ていくスーツは女物だね」
カナちゃんとお揃いのタイトスカートだ。
「俺もだ」
社長もらしい。
「うーん、不思議だ」
「正直、俺達4人の頭が狂っている、が一番しっくりくるよ……」
社長が自虐的に笑う。
「いや、それはない」
僕は明確に否定する。
「なんでだ?」
社長が聞いてくる。
ニャー子もチヒロっちも僕を見る。
「僕は覚えているからだ。あの夜、付き合ったばかりのカナちゃんを家に連れ込み、あの巨乳を見て感じた魂の鼓動を! そして、デザートイーグルが引き金を引いた感覚を!」
あの時、確かに僕はすぐにでもカナちゃんが欲しいと思ったのだ!
「エロミは無視するとして、どう思う?」
「その説はあまり考えたくないし、考えてはいけないと思うにゃ。自分が自分でなくなる」
「俺もそう思うっす」
「そうか……」
あれー?
無視?
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