第004話 エロミはマジでエロミ ~sideタマ~


 私は自宅でテレビを見ている。


「うーん、つまんないな……あ、つまんないにゃ」


 私はこのキャラ付けを身につけるために仕事以外もこの語尾を付けるようにしているのだ。


「あー、今日はあの会合の日か……」


 まったくわからないが、ある日、朝起きたら女の子になっていた。

 今日は同じような境遇の3人と会う日なのだ。


 昨日、明日会おうとメッセージアプリでやり取りをしていたのだが、エロミだけは遅れて返事が来た。

 いつもはすぐ既読がつくエロミだが、たまに1時間くらい既読が付かなくなるのが面白い。


「さて、そろそろ行くかにゃ」


 私は部屋着から外行き用の服に着替えると、例のファミレスに向かった。




 ◆◇◆




 私がファミレスに着くと、すでにエロミが待っており、スマホを弄っていた。


「エロミ、早いにゃ」


 私はそう言いながらエロミの隣に座る。

 今まで何回も会っているが、いつも私がエロミの隣で社長とチヒロっちが隣で座っている。


「あ、こんにちは。僕はちょっと早めに来たんだよ。さっきまでカナちゃんと近くで会っていたから」


 エロミは良い奴だし、人畜無害みたいな顔をしているが、ロリ巨乳の彼女ラブすぎてちょっとうざい。


「そのカナちゃんはいいのかにゃ?」

「まあ、こっちも大事だからね。元に戻れる方法を検証しないと」

「まあにゃ……」


 はたして戻れるのだろうか?


「あ、ごめん、電話だ……カナちゃんから」


 いちいち言うな。


「ほら」


 私は身体をどかし、エロミを通した。

 すると、エロミは電話に出ながら席から離れる。


「あ、もしもし、カナちゃん? …………うん、友達とファミレス…………今夜? いいよー」


 エロミは電話で彼女と話しながら外に出ていった。


「あいつは幸せそうだにゃ……ん?」


 ふとテーブルを見ると、財布が置いてあった。

 私はそれを取ると、中身を見る。


「エロミのか……あいつ、3000円しか持ってないし」


 まあ、社会人だし、カードもある。

 それに最近はスマホ決済もあるから現金はあまり持たないのかもしれない。


「しかし、あいつ、ポイントカードを持ちすぎ…………」


 私はポイントカードの束を見て固まった。


「こんちはっす。何してんです?」

「エロミは電話か?」


 声がしたので見上げると、チヒロっちと社長がやってきて、私の対面に座った。


「いとしの彼女と電話にゃ。今夜も泊まって肉欲に溺れるにゃ」

「普通に会うこともあるだろう」


 社長は苦笑しながら言う。


「ほれ」


 私は社長にポイントカードの束を渡した。


「ん? エロミのか? なんだこれ…………全部ラブホ……しかも、溜まってる」

「あいつらが付き合って4ヶ月くらいだにゃ。異常にゃ」


 溺れすぎ。


「あの人、マジでエロミなんですね……」


 さすがの高校生も呆れる。


「何してるの? って、それ僕のじゃん!」


 エロミが慌てて、社長からポイントカードを回収した。


「エロミ、お前、そんな人畜無害な顔してエロミすぎにゃ」

「エロミすぎってなんだよ!? 別に良くない!? 付き合ってる男女……男女? いや、恋人同士がエッチなことをして何が悪い!?」


 こいつ、マジでエロミにゃ。


「エロミ、正直に言うにゃ。お前ら、週何回ヤッてる?」

「週? えっと…………」 


 エロミが両手の指を折り、回数を数えているが、2週目に突入し始めた。

 つまり少なくとも10回以上。

 1週間でである。


「エロミ、よく持つな……」


 社長が呆れる。


「女の身体は男の時と違って何回でもできるしね。びっくりだよ」


 マジでエロミにゃ。


「ただれてるなー……」


 さすがの高校生も呆れている。


「普通だから」


 普通ではない。


「エロミ、お前、本当に男に戻りたいにゃ?」

「そりゃそうだよ。だって、男に戻らないとカナちゃんに✕✕✕✕してもらえないじゃん」


 こいつ、マジでクソだ。

 人畜無害でかわいい顔してとんでもないことを口にしやがった。

 エロミすぎ。


「引くわー……」

「お前な……」


 2人もドン引きしている。


「ガキ共め」


 エロミが引いている2人に悪態をつく。


「いや、俺は年上だから」


 確かにエロミより社長の方が年上だ。


「関係ないね。処女のくせに……僕の方が大人」


 エロミ……


「お前……」

「え? エロミさん、男とヤッたんすか?」


 社長が呆れ、チヒロっちが驚く。


「あ、チヒロっちは高校生だからわからないよね。実は双頭――」

「エロミ、自重するにゃ。未成年になんてことを言うにゃ」

「あ、ごめん」


 こいつはもうダメだ。

 助からない。

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