第53話 狙撃専用銃
ーー時を戻してーーー
長距離射撃に対応すべく、まず銃身を今使っているライフルより長い30インチから36インチに伸ばすことにし、作成に取り掛かる。
弾道が安定するように少し肉厚のヘビーバレルにしたかったので、正面から見ると銃身の断面が八角形に見えるオクタゴンバレルにしてみた。
銃身を造るのももう慣れたもので、サクサク作業は進み、ライフリングもキレイに彫り終えることが出来た。
見よう見まねで親方も同じようにもう一本同様な銃身を造り上げる。
続いて機関部の作成だが、今回、石動は引き金をオリジナルのシャープスライフルにも装備されていたセットトリガーにしたかった。
これは「ダブルセットトリガー」と呼ばれるもので、引き金が前後に2本並んでおり、通常の撃発は前のフロントトリガーで行うため、通常は引き金を引く力はやや重めにして誤射を防止している。
後ろのリアトリガーは、引くとフロントトリガーが非常に軽い力で撃発できるようになる安全装置解除機能として作用するものだ。
これを調節することにより自分の好みの軽さと引き味で、引き金を落とすことが可能となり、長距離射撃でのストレスが大いに軽減される。
シャープスライフルのダブルセットトリガーの構造は割と単純だが効果的なもので、それほど苦労せずに組み上げることが出来た。
石動は自分の鍛冶スキルが上がっていることを実感する。
この機関部は細かいパーツやバネの作り方を親方に教えるには時間が足りないので、石動がもう一つ作り上げた。
サイトは銃身の先に左右調整可能のフロントサイトを組み込み、フロントサイトが何かにぶつけても狂わないようトンネル状のカバーを付ける。
リアサイトは銃身上に簡易型のリアサイトも付けるが、レシーバー後ろの銃床握り部分に折り畳み式のタング・リアサイトも装着した。
これは上下左右の
最大射程は1000メートルまで目盛を刻んであるが、実際1000メートルに設定して構えてみると、標的というより空を撃つのでは、というくらい銃口が上がる。
それだけ黒色火薬で発射された低速で大口径の弾丸は、山なりの軌道を経て標的に当たるということだ。
機関部の仕上げは前回同様にケースハードーン仕上げで行い、機関部に銃身や木製の銃床などを取り付け、作り始めて2日で完成させた。
同様にして、親方やアクィラの協力のもと、もう一丁のシャープスライフルも組み上げ、仕上げる。
こうして二丁の銃が出来た。
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