第6話【エンドレス・ヴァイブ】エンチャンテッド・ピストン運動ワールド

「なあ、ご主人様ぁぁぁ!お腹大丈夫か?」

ついさっきまで、伊賀忍者の末裔と甲賀忍者の末裔同士で激しい攻防戦が行われていた。なんてことはない、痴女もといサービス精神旺盛な猫耳美少女の黒猫亜依とダイヤモンド紙おむつ(大人用)の装着者、自称ハマーが戦っていたのだ。ハマー自信の貞操をかけて。


ハマーは「彼女いない歴=年齢」の筋金入りの童⚪︎。控えめに言っても美少女のカテゴリーでしかもボンキュッボンの亜依はハマーにとってすぐにでも卒業の相手にしたいほどの美貌の持ち主だ。もちろん、当の亜依も「いつでもカモーン」と常にハマーをけしかけている。でも、まだ知り合って1週間も経ってない。今すぐ関係を持ってしまうのは違うのではないかと思っているのだ。というより、いざとなると怖くて行為に及べないだけである。


ハマーがハローワークに行っている間に、昼食を調理。大量のパスタ料理の中にこれでもかっていうほどに「媚薬」を入れたのだ。ハマーも忍びの端くれ。媚薬に対抗するための解毒薬を事前に服用していたのだ。


「これで大丈夫!」

そう思っていると…


約二日ぶりに腹痛との再会。嫌な再会である。


ダイヤモンド紙おむつ。まだ、謎の部分が多いが体力と体調の強化ができるらしい。ただし、それは主に体の外側を強化するもの。内側は通常のままなのである。


「痛ててててて…」

「まだ、痛いんか?ご主人様」

「うん、痛くなったり治ったりを繰り返してる。」

「そ、そうか…」


正直「媚薬を入れすぎた」と反省している亜依。いつもなら、「ご主人のあそこを私がさわさわしたらすぐ治るわ!」と押し入りそうだが、罪悪感のためできないでいる。


「う⚪︎こ出し切ったら収まりそうか?」

「うーん、この感じだったらあと3ループぐらいしたらひとまず治ると思うだけどなー」

「久しぶりにまともな食事したからなー。しかも、美少女の手料理なんか初めてだから張り切って食べすぎてしまった。」

「亜依、全部食べきれなくてごめんなさい。」

「いやいや、ウチも適切な量考えずに作ってしまった。堪忍してや!」


「(薬使うのはやばかったかな?ついこの間まで、ずっとトイレがお友達の人やったからなー。これからは薬使うのは自重しとこー。)」そう決意するのだった。


トイレにこもってから約2時間。そろそろ、おやつ前の時間になってハマーはやっとトイレから解放された。


「二日ぶりに苦しんだー。やっぱり無理するもんではないな。」


「ご主人様、ごめんな。うちやっぱりご飯作りすぎた。」


「もういいよ。亜依は俺のためにご飯作ってくれただけだよ。まあ、量はアレだったけど。」

「いやーでも…」

「はい、この話はおしまい。そんなんじゃ夫婦生活続かないよ。」

「それは嫌や。」

「だろ?」

ハマーは自責の念に駆られていた亜依の方に手を置き「大丈夫だよ」と優しく呟いた。


「それはそうと、君って呪いでこのパンツに封印されていたんだよね?」

「ああ、そうやね。」

「ということは、このパンツについてある程度知ってるってことなんだよな?」

「んー、実はあんまりこのパンツのこと知らんねん。」

「!?」

「ある日、突然な変な奴らに拉致られてん。」

「それでな、3かぐらい蔵みたいなところで監禁されてたんやけど…」

「その変な奴らな、いきなりこのパンツを取り出してきよってん。」

「変な呪文を唱え始めたと思ったら、目の前が眩しくなって気づいたらこのパンツに封印されていてん。」

「でも、封印されている間も意識はあったんだろ?」

「んー、よう分からん!」

「でも、封印中に世の中の出来事とか把握できてるんだろ?」

「把握はしてるよ。でも、なんか頭に叩き込まれたというか勝手にウチの頭の中に入ってきたというか。封印中の意識ってあるんかないんか自分でもよう分からん感じなんよ。」


なんと封印中の意識があるのかないのか自分でも分からない状態。でも、情報は取り込まれている。それは、亜依の情報に信頼度の低い情報もあるということになる。


「あーでも、私に叩き込まれた情報はある程度は信用できるみたいよ。」

「・・・・・」

「あー、ごめんな。今日ご主人様がハローワーク行ってる間にそのPCで世の中のこと調べてみたんよ。」

「なんだと!」


ハマーがドッキリした。ハマーのPCの中には誰にも知られてはいけない情報がある。それは彼の里、伊賀忍者のものしか知ってはいけない情報がたくさんあるからだ。決して彼秘蔵の「レッド隊長突撃!美少女おっぱい大作戦」とか「いけない奥さん。こんなに熱っちゃって」のいわゆる「エロ動画」があるからでは決してない。


「あー、そうそう。PC内のなんか透明になっていたファイルな。消しといたで。」


「えっ、消したのか?」

「うん。」

「なんで消したんだ?」

「いらんやろ?」

「いやいや、あれ色々法令に抵触する動画だったから入手するのに困難なやつだったんだぞ!しかも巨乳さんシリーズ。俺のお気に入りだったのに」

「ウチがいたら大丈夫やろ。見る以上のことさせたる言うてるやないか!」

「それは断る!!」

「なんでやの?こんなロリ巨乳が目の前におるんやで。しかも、猫耳やで猫耳」

「こんなん、発情せえへん方が失礼やろ?」

「女の子が『発情』言うんじゃありません。」

「いーよいーよ。ご主人様がその気になるまで待つのもメイドの務め。その気になるまで待つわ。」


食い下がってくるかと構えていると、意外にあっさり諦めた猫耳少女。意外とこの少女大物なのかもしれない。


「ファー。あぁ、眠たい。ご主人様、ちょっと寝てきていい?」


どうやら眠たかっただけのようだ。


「ごめんなご主人様。もう…目が…限界…みたい。」

「こらこら、こんなところで寝てたら風邪引くぞ。」

「しかも、呪いの話の途中で寝やがって。起きたら話してもらうぞ」

「おう!話…たるわ。ウチの…スリー…サイズから…zzz」

完全に意識を失ったようだ。


「だから、それは聞かないって」

さっきまでしてきたとは思えない。寝ている時は本当に借りてきた猫みたいだ。可愛くて、色っぽくて。亜依の寝息にハマーの右手が引き寄せられる。あと数ミリで亜依の小さくはない胸の膨らみの柔らかさを味わうところだった。

「ああ、あれに触ったらどれだけ柔らかいんだろ?」

「いやいや、そう言うことをするのはきちんと入籍してからって決めてるんだ。」

おめでた婚が普通の昨今。ハマーのような考え方はもはや「化石」といっても差し支えない。


「ずっと封印されていて、急にこの二日動きっぱなしだったからなー」

「疲れたんだろ。無理もない。」

「とりあえず、ここだと風邪ひくからソファーへと」


亜依の首とお尻をハマーの腕に乗せる。腹筋に最大限に腹筋に力を入れて持ち上げた。


「意外と重たい…。みた感じスリムなのに重たい。」


「女の子に重たいとか…失礼なやっちゃな…。むにゃむにゃ。」

「なんだ、寝言か。」

「しかし、本当に重い。」


お姫様抱っこでやっとこさソファーへ横にさせることができた。

はあはあ。と腕がちぎれそうだった。


夏とはいえ、冷房は強めに設定。そのままだとやはり風邪をひくのでタオルケットをかけた。しかし、すぐにタオルケット蹴って外れてしまう。しかも、彼女自身も動いて体位が変わってしまった。


すると、亜依の胸元から小さな袋包が出てきた。どうやら粉薬のようだ。この辺のドラッグストアや薬局では売っていない。おそらく処方薬でもない。


「ん?」


ハマーはその薬袋を拾い上げた。


「これでを実現できる!エンチャンテッド・ピストン運動ワールド。飲ませるだけで、最近元気のない旦那のあそこに24時間バイブさせられる!」


「これは男性向けの精力剤兼媚薬か。なんと、飲むだけで勝手に腰がピストン運動し続ける薬。ただし、飲み過ぎると副作用で1週間ギックリ腰になるらしい。」

ハマーは想定以上にやばい「薬」を飲まされていた。かなりの劇薬。


「そりゃあ、お腹壊すはずだ。」


実はヤバい薬だたった。

効能をさらに読み進めると…

「主成分コシフラーナであなたの腰が勝手にエンドレスで振動し始めることでしょう。おもちゃよりも刺激的で継続的な夜をお約束します。」

ハマーはこっそくりゴミ箱に捨てた。


「こんな意味不明で危険な薬どこから仕入れてきたんだよ!」

「そういえば、コイツ伊賀流忍者とか言っていたな。伊賀流の忍者の中でも薬の生成の特化した一族がいると聞いたことあるな。忍者学校で。」

「これからも、一瞬たりとも油断できない。」

「仕方なく結婚を受け入れはした。だが、完全にこの女を信用したわけではない。」

「ご飯を作ってくれたことには感謝している。でも、伊賀者は甲賀の里と敵対関係。」

「今では甲賀の里で忍者やってるのはうちぐらいだが、それでも伝統は守らなきゃいけない。伊賀者と交わるわけにはいかない。裏の掟で親父から暗殺される。だから、亜依の出自は隠さなくてはいけないな。」


出会ってまだ二日目。厚かましくて、痴女で、何考えてるのか分からない。でも、縁があって出会った亜依。流石に、自分の目の前で殺されてしまっては目覚めが悪い。少なくとも自分に好意を持ってくれた初めての少女である。大切にしたくないと思わないわけがない。


それも全ては変態紳士の穿いている「幼女パンツ」である。


「しかし、この幼女パンツ不思議だ。最初はキラキラした紙おむつにしか見えなかったが、穿くだけで体が強くなった。しかも、こんな可愛い女の子にプロポーズされるなんて。その分の揺り戻しも怖いところ。亜依はなんか知ってる風な感じだったので、起きたら尋ねなくては。多分、いろんな事情があるだろうから無理強いは禁物だ。」


時刻はまだ14時を回ったところ。今まで彼しか使ったことのない六畳一間のアパートに似つかわしくない猫耳少女が大きなイビキを立てて寝ている。


「しかし、こいつのいびきって結構うるさいな。歯軋りも半端ない。」


でも、それを苦痛には感じていない。今までトイレ生活していたハマーにとっては、美少女とは思えない大きなイビキは些細なことだった。「そういうもんだ。」と割り切れば気にならない。


「さてと、片付け始めるか」


今後の不安を整理するかのように、午前中の間に腐海の森と化した台所を掃除し始めるのだった。


「俺、あんまり片付け得意な方じゃないんだけどなー」


(第7話へ続く)


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