第41話 テルースの最後の仕事
テルースは、テルースjrに転生したの。だから、テルースの魂をテルースjrは持っているの。それで、テルースの経験や知識を持っているわ。だから、魂はテルースの物だけど、肉体は、ユイカとテルースの両方を受け継いでいるの。
テルースが転生したのは、テルースjrがまだお腹の中に居た時だったの。つまり、転生したのは、テルースが死んでからなの。変な話だけど、未来のテルースを召喚して、ユイカが妊娠したということね。
魂が移動するのは、転生先が意識を持ってからだと思うの。だから、妊娠してから、暫くして転生したのね。
あまりよくはわからないけど、取り敢えず、納得することにしたわ。
暫くして、私は、テルースが最後に行っていた仕事の事を知ることが出来たわ。
それは、リンダから、教えて貰ったの。ミヤーコ王国の都市シジンで、原油関係の交渉を行っていたみたい。でも、テルースが急に死んでしまったので、その交渉が中断してしまったらしいの。それで、リンダが私に相談しに来たの。
「ユイカ、テルースが無くなってから、まだ、それほど経っていないのに、仕事の話をして、ごめんなさいね」
「いいえ、いいの。テルースjrの為にも、仕事は大事だから」
「そう言って貰えると、うれしいわ」
リンダの話では、テルースの計画は、次のようなものだったらしいの。
『ミヤーコ王国は、原油の唯一の産油国だが、販売は、原油としてではなく、灯油として販売していた。原油から、灯油を得るとその他のものは、必要の無いものとして、廃棄している。そこで、廃棄している物をすべて、買い取ることを考えた。
油田から自然に出てくる石油ガスは、そのまま燃やしたり、空気中に垂れ流している。そのため、危険防止のため冊を作って、一般の人が入らないようにしている。
テルースは、原油を取り出すときに出て来たガスを冷却して液化する装置を開発し、液化したガスを買い取ることを考えていた。
そして、油田から取り出した原油の中で、気体になりやすい物を同様の装置で、液化して、それも、買い取ることを考えていた。
最後に、残った物も、廃棄されているようだ。それもすべて買い取ることを考えていた。。
つまり、ミヤーコ王国は、これまで、邪魔でしかなかった物をすべてテルース側で、買い取るつもりだった。』
そこで、私が、リンダと共に、テルースの最後の仕事を引き継ぐことにしたの。
リンダは、テルースの秘密を知っているの。だから、私にテルースjrをつれて、交渉に立ち会って欲しいっていうのよ。実際の交渉はテルースjrが行って、通訳として私が必要って、そういう訳ね。
まあ、いいわ。私は、リンダの言う通りに行動することにしたわ。
数日後には、私はミヤーコ王国の国王の前で、テルースjrを抱いて座ることになったの。
「今回は、私どもに謁見を許して貰い、ありがとうございます」
「まあ、よい。堅苦しい話はなしで、気楽に話してくれるかな」
「はい、ありがとうございます」
私は、リンダと共に国王に、原油関係の取引を提案した。といっても、テルースjrの思念伝達をそのまま話しているだけだけど。
少し、時間は掛かったけど、国王は、私達の提案を承諾したの。これで、ミヤーコ王国の原油の独占販売権を得ることが出来たわ。ミヤーコ王国は、私達の技術力を高く評価しているし、経費はすべてこちら持ちなので、今まで以上の収益が得られることで、喜んでいたわ。
灯油は、これまで通りに、ミヤーコ王国の名前で販売したけど、実質はテルース商店が販売していたの。それによる収益は、凄い物になっていたわ。
この事業で、テルース商会は安泰ね。テルースjrは、これで満足していないみたいだけど、私は、もう、十分よ。お金より、幸せに暮らしたいだけよ。
暫くして、テルースjrも、10才になり、私の通訳なしでも、テルースjrは、仕事ができるようになったわ。それで、いまでは、私は、城でスピアと共に、のんびり生活をしているの。
テルースjrには、夕方の食事は、必ず、一緒に食べることを条件に、仕事をすることを許しているの。
3人での食事の時間が、一番の幸せな時間ね。この幸せな時間がいつまでも、続いて欲しいわ。
引きこもり令嬢の恋愛事情 多摩鍵ひさろ @m_taka56
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます