第15話 魔法学院の見学

 昨日、急に、ゴールド学院長に呼び出されたの。ひょとして、エイコの授業の事かと思って、身構えていたわ。そして、私は、緊張しながら、学院長室に入っていったの。

 

 「コン、コン。失礼します」


 「ユイカ、よく来てくれたね」


 「はい、ゴールド学院長、何か、私しましたか?」


 「いや、説教で、呼んだのではないよ。まあ、そこに座ってくれ」


 「はい」


 私は、ゴールド学院長の前のソファに腰を掛けた。


 「この週末だが、何か、予定はあるかな?」


 「いえ、特にありません」


 「そうか、それは、良かった」


 週末に、予定がないって、友達もいないってことよね。それが、良かったって、どういうこと?失礼ね。


 「実は、折り入って、お願いしたいことがあるんだ」

 

 「はい、何でしょうか」


 「実は、この魔法学院の代表を隣国の魔法学院に見学という形で、送りたいんだ。その代表の中に、ユイカに入って欲しいんだよ」


 「私が、代表ですか?出来れば、避けたいのですが」


 「そういわずに、君は、入学生代表として、挨拶もしたじゃないか」


 「そうですが、あれも、嫌だったんですよ」


 「そうか。でも、成績上位者で、行って貰うことにしているので、ユイカははずせないよ」


 「他にも誰か行かれるのですか?」


 「そうだよ。カルとオリエとに行ってもらう予定だよ」


 って言った?そうなんだ、週末にテルースと過ごせるんだ。私は、急に嬉しくなって、つい、ゴールド学院長に返事をしてしまった。


 「わかりました。仕方ありませんね。行かせて貰います」


 「おぉ、そうか。良かった。しっかり、頼むよ」


 私は、ゴールド学院長の部屋を出て、廊下で、飛び上がってしまった。やった、週末にテルースとデートだ。残念なのは、2人きりでないことだけど、まあ、二人キリになればいいだけよ。


 後で、ゴールド学院長から、見学に関する書類が部屋に届けられた。それによると、見学先は、隣国のミナート王国のジン魔法学院になっていた。

 

 都市ジンに、ジン魔法学院がある。今回の見学は、その有名なジン魔法学院になっていた。


 参加メンバーに、ユイカの文字とテルースの文字を確認して、私は、嬉しくて、書類を放り投げた。やった、私とテルースの名前が並んでいる。


 私は、の文字だけで、浮かれてしまい。その他の文章は目に入らなかった。それほど、嬉しかった。


 もう、その日は、テルースと過ごす週末の事で、頭がいっぱい。いくらでも、頭に浮かんでくる。とめどもなく、浮かんでくる。あの優しい顔、そして、あの唇。


 あの時の抱かれた感覚がよみがえって来た。そして、下から見上げたテルースの顔、私を心配そうに見ていた。また、あの時のことも、・・・。

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