第12話 嫌いな授業
今日は、もう一つ、授業を受ける。それは、あのエイコの講座だ。この講座も受講生は4人だ。
私は、教室の隅に行こうとしたテルースの腕を掴み、私のことを気づかせた。。
「あっ、ユイカか」
「テルース、一緒に、座ろう」
「ユイカ、後ろに来る?」
「いいよ。テルースの横に座る」
私達は、教室の隅で、テルースとピアと私の3人で座った。
今日は、教室の先頭で、授業を受けたくなかった。あの、エイコの顔を見たくなかった。見ると、つい、思い出してしまう。あの、嫌な感触を。
私は、テルースの腕をしっかり掴み、放したくなかった。テルースは、3人の真ん中に座っている。
「ねえ、狭くない?」
テルースが私に聞いてきた。狭くてもいいの。テルースにくっ付きたいんだから。
「テルース、私は、大丈夫よ」
「そうか。ユイカがいいなら、ぼくも、いいよ」
教室に、エイコが入って来た。服装は、白魔導士そのもので、白いローブと杖、まるで、教師のような格好だ。あの悪魔が、こんな服で来るなんて、許されない。
「私が、この初級光魔法の講座を受け持つ、エイコといいます。よろしくね」
なんだか、甘えたような声をだしている。横のテルースを見ると、テルースがエイコを見つめている。だめよ。あんな女を見つめては。私は、テルースの腕をつねってやった。
「あっ、痛。
ユイカ、何するの?痛いじゃない」
「テルースが、ボーとしているから、起こしてあげたの」
「何言ってるの。起きてるよ」
「ボーとしてたよ。ちょっと、顔が赤くない?」
「そんなことないよ。さぁ、集中しよう。授業が始まるよ」
エイコは、掌の上に光の球を創りながら、話を始めた。
「光魔法の基本は、光です。今、私が光魔法の光の球を作っています。
そのままでは、単に明るい光ですが、これに、癒しの気持ちを加えると、光の球から、温かいものが伝わってきます。それでは、私と同じようにまず、光の球を作ってください」
私は、光の球を作って、テルースを癒してあげようと思った。すると、光の球は、単に明るいだけでなく、テルースを温かく包んでいくように感じた。
「それでは、2人でペアを作ってください。ちょうど、此処には、4人の受講生がいるので、2人ずつになりますね」
前の方に座っていた2人が席を移動して、隣同士に座り直していた。あの2人は、土魔法の講座も受けていた。
「準備が出来たようですね。それでは、2人で、お互いに光魔法で、癒してあげてください。お互いを見つめあいながら行うと効果的ですよ」
私は、エイコに言われなくても、テルースを見つめるわ。
突然、テルースが私から離れて、ピアの方に引っ張られていった。
「スピア、どうしたの。演習が出来ないよ」
テルースが文句を言っている。
「テルース、出来なくて、いい」
珍しく、ピアが反抗的だ。
「そんなことを言わないで」
「テルース、冷たい」
「ピアは、後で、癒してあげるから。待っていてよ」
「うん。分かった。待ってる」
「ピア、ありがとう」
ピアが、私に嫉妬しているのね。でも、私は、気にしない。テルースを癒してあげるんだから。
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