第10話 マリーワ先生の初級土魔法
今日は、上級教師のマリーワ先生の初級土魔法の講座があるの。どんな講義なのか、楽しみだわ。
土魔法は、地味なイメージがあるけど、土魔法が使える人は意外に少ないらしいの。以前、何かの書物に書いてあったのだけど、「兵士の属性を調べて事が在ったが、土魔法は、20%しか適合していなかった」と言うことらしいわ。
もし、この魔法学院の生徒も同じ比率であれば、生徒数が32人しかいないので、最大でも6人程度しか土魔法が使える人がいないって言うことになるわ。
テルースがピアを連れて、教室に入って来た。私が、手を振っているのに、無視して、いつものように、教室の隅に行こうとしている。
「テルース、おはよう!」
「あっ、ユイカ、おはよう」
私は、いつも、1番前席のの中央にいる。でも、テルースは、いつも、必ず、教室の一番後ろのの隅にピアと座っている。多分、授業中でも、ピアといちゃつくためなんだわ。四六時中一緒にいるのに、授業中まで、イチャイチャしなくてもいいよね。
私は、勇気を出して、教室の隅に居るテルースを呼んだ。
「テルース、こっちにおいでよ。私の横に来てよ」
「いいよ。ここで」
「どうして、私達友達よね」
「そうだよ。でも、僕は、ここがいいんだ」
私は、今日だけは諦めた。でも、何時か、私の横に座らせて見せるわ。
マリーワ先生が入って来られた。小柄な人で、私達と変わらない年齢の様に見える。小柄せいで、とてもかわいく見える。なぜか、最近、女の人を見る目が変わって来たように思う。つい、抱きしめたくなる。
この講座も演習が中心みたい。でも、私は、魔法を問題なく起動できるので、あの家庭教師から習っていない理論を聞いてみたかったので、少し残念。
「それでは、簡単な魔法で、土魔法の確認をしていきます。
まず、掌の上に砂を作りなさい」
これが出来ない生徒なんて、入学できないわ。なんだか、バカにされているみたい。可愛いと思っていたのに、急に嫌になった。
「皆さん、できたようね。それでは、次に、その砂を使って、好きな日用品を作るよう」
私は、ガラスのコップを作った。そして、綺麗な模様を描いた。これって、テルースに似ていないかなぁ。とても気に入っているポーズなんだ。左手の甲を上にして、顎の少し上に置いて、薬指を唇に押し当てているの。できれば、私の左手を貸してあげたい。
私は、後ろを見渡した。皆好きな物を作っている。多いのは、皿ね。といっても、教室にいる生徒は4人だけだから、皿を作ったのは、2人で、なんと、50%にもなっているわ。
私達3人は、一番前の席に居るのに、テルースだけよ。後ろに居るのは。
「さて、今作ったものは、机の上に置いておきなさい。次に、三角フラスコを2個作ってください。もし、三角フラスコが分からなければ、私の机の上の物を参考にしなさい」
これも、全員出来たわ。当然だけどね。
「さて、次に移る前に、私の机の上においてあるコップを一人1個取って、バケツの黒い砂を入れて、各自の席に戻りなさい」
皆、指示通り、黒い砂をコップにとって、席に戻った。でも、横の2人は、不安そうな顔をしている。これから、何をするのか、さっぱりわからない。特に、この黒い砂が何なのか、気になる。見たことがない。
「それでは、コップの黒い砂を2つの三角フラスコに分けてください。コップや三角フラスコには、手を触れてはいけません。それでは、始めなさい」
マリーワ先生の指示は、よく分からなかったの。ただ、単にコップの黒い砂を2つに分けて入れるだけなの?それなら、砂を移動するだけよね。これが、土魔法と何の関係があるの?
また、私は、教室の後ろの隅を見た。すると、テルースは、ニヤニヤしている。また、ピアを触っているのかしら。私が、ここにいるのに、ピアばかり。
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