第3話 エイコの本性

 家庭教師エイコの指導内容は、魔法から、将来の夫婦生活に代わってしまった。

 

 これについては、何を言われても、私には、わからない。そして、相談相手が一人もいない。エイコの話が事実かどうか、調べようがないの。


 「ユイカ、エイコ先生がいらっしゃたよ。部屋に上がって貰うからね」


 「もう、嫌よ。エイコに教えて貰いたくない」


 「何言っているの、立派な先生よ。今度の魔法学院にも上級教師として、採用される予定なのよ。そんな先生に1対1で教えて貰えるのは、貴方だけよ」


 「それでも、嫌よ。あの先生、嫌いなの」


 これだけ言っても、母親は、無理やり、部屋にエイコを招き入れて、とっとと、1階へ降りて行ってしまった。


 「さあ、2人きりになったわね」


 「もう、教えて貰うことはありません」


 「まあ、そういわずに、此処に座りなさい」


 「私は、何もしませんからね」


 「いいですね。何もしない方が、いいですね」


 エイコは、勝手に私の後ろに回って来た。私が、どこに座っていてもお構いなしだ。必ず、身体を寄せてくる。


 今日は、エイコに背を向けて、机に向かって座っていた。すると、エイコは、私の後ろに立って、耳元で、囁いた。


 「何もしないでくださいね」


 エイコは、私の両肩を掴んで、ゆっくり揉み始めた。


 「少し、緊張しているようですね。私が、ほぐしてあげますね」


 エイコの手は、肩から、少しずつ下にずれて行った。今は、私の二の腕を揉んでいる。


 「ユイカは、何もせずに、じっとしていてくださいよ」


 エイコの唇が、私の首筋に当たっている。そして、舌を出して舐め始めた。


 私は、恐怖のあまり、身体が、硬直してしまった。嫌なのに、身体が自由にならない。エイコにされるがままになってしまった。


 今度は、私の両方の胸を揉み始めた。そして、ブラウスのボタンを外していく。


 「ねえ、止めて。こんなこと、したくないの」


 「いいえ、だめです。殿方のやることを知って貰う必要があるのです」


 「私、結婚なんかしない」


 「そうは、行きません。貴族は、親が決めた相手と結婚するのです。その時に、役に立つことを私が、すべて、教えます」


 私は、蛇に睨まれたカエルのように、身動きが取れないまま、ベッドへと連れていかれた。そのまま、エイコの執拗な指導が私の身体に刻み込まれていった。


 もう、このエイコには、逆らえない。誰か、助けて。私は、心の中で、叫ぶだけだった。

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