第2話 家庭教師

 ついにその日がやって来た。鬱陶しい。家庭教師がやってくる。


 「ユイカ、先生がいらっしゃたよ。お部屋に案内するね」


 ドアが開き、家庭教師が入って来た。


 「初めまして、私が、この度、ユイカさんの家庭教師になりましたエイコです」


 私は、黙っていた。あまり、好きになれそうにない。


 「それでは、この度出来た魔法学院について、説明しますね」


 長々と、エイコ先生が説明した。でも、それって、既に受験案内で知っていることよ。今さら、何を長々と説明してるのって感じ。無駄、無駄。


 「それでは、実技試験の練習をしますね。この魔法学院では、入学試験において、実技試験があります。それは、初級魔法と限定されているので、そんなに、心配しなくてもいいと思います」


 エイコは、席から立ちあがって、杖を持ち、魔法の詠唱を始めた。


 「さあ、今度は、ユイカさんの番ですよ。同じ様に、魔法を起動してください」


 「はい」


 仕方がないので、言われたように、魔法を見せた。


 「はい、良くできています」


 「それでは、次に行きますよ」


 エイコは、家庭教師に来るだけあって、基本の魔法を順番に実行していった。4属性持ちだった。流石に、自信満々にやって来たわけだわ。


 でも、私も、全属性持ちよ、負けていないわ。


 私は、エイコの魔法をすべて、真似て見せた。


 「ユイカさん、すごいです。すべて、完璧です。これだけ、できれば、問題ないですね」


 「それじゃ、家庭教師は、今日でおしまい?」


 「いえいえ、そんな訳にはいきませんよ」


 「これから、じっくりと、教えて行きますので」


 「えっ、魔法は、もういいのに、何を教えるっていうの?」


 「ユイカさんには、魔法以上に大事な事があります。それを、これから、じっくりと教えて行きます」


 「エイコは、魔法学院に入学させるために家庭教師として来たのじゃないの?」


 「それも、あります。でも、わたしは、将来のユイカさんの伴侶の為にも、色々と教えて欲しいと言われているのです」


 「えっ、私、そんなこと、聞いていないよ」


 「心配しなくて、いいですよ。私が、すべて、教えますから」


 エイコは、全く、引き下がろうとしない。一体、何を教えるつもりなのか。私は、不安でいっぱいだ。

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