第2話 最初で最後の放課後デートとお家デート
「もちろんですよ。健介」
「千紗さん。」
教室のドアが突然開いた。
「「おめでとう!!」」
「えっ!?なんで幸樹がここに。あと、浜崎さんも。」
「華蓮と剣崎さんってそんな仲良かったけ?」
「千紗、一応幸樹とは幼馴染なんだよ。言ってなかったけ?」
「言ってなかったわよ。」
「それはごめん。」
「今まで浜崎さんとどんなことしてたんだよ、幸樹。」
「えーと。確か、2年の...。」
「ちょっと黙って!」
なんか都合の悪いことでもあったのかな。でも2年のときでしょ。あのときに千砂さんと関わるような機会ってあったけ?
「まあ、今から原宿にでも行きましょうよ。」
「原宿!?それにしても突然だね。」
「放課後デートよ。まあ、最初で最後だけれどね。あと2人。ついてこないでね。」
「わかったわよ。」
「まあ、わかりましたよ。」
「本当に来ないでよね。そもそも最後の時間をそんなことに使わないでよ。楽しんでよね。」
「んー。そうね。幸樹。カラオケでも行きましょうか。」
「ったく。しゃあねえな。いいぞ。じゃあな、健介。楽しめよ。」
そして、2人は教室を出ていった。
「じゃあ、行きましょうか。」
〜〜約20分後〜〜
「人はかなりいるわね。」
「平日でこんなにいるものなのか?」
「流石にそんなことはないでしょ。」
「まあ、さすがに今日は店が空いていないところが多いわね。あと、早くしないと閉まっちゃう店も多いみたいだから早く行きましょう。」
「ああ。」
一応、今の日本には大半の人口が三大都市圏に集中している。そうなると、原宿は若者の街として残り続けたのだ。
「それにしても、この店の空き具合でこんなに人が多いなら渋谷とかの方が良かったかしら?」
「あー。まあ、移動時間もそんな変わらないことを考えたら?でも、結局はそんなに変わらないんじゃない?」
「そうね。じゃあ、いろんな店を並ぶわよ。」
「そうだな。あの店とかから並ばないか?」
「あそこね。ドリンクが可愛くて、甘くて最高なのよ。早く行きましょ。」
〜〜〜〜〜
「んー。思ったよりも並んじゃったわね。」
「そうだな。それにしても、すごい甘くて美味しい。」
「やっぱそうでしょ。だから、あんなに並ばないといけなかったんだけど。」
そういう彼女は注文するときに、カップル用のドリンクがなくて、小声で「ないか。」と落胆していた。
「まあまあ、まだ時間はってもう3時か。もう1時間半くらいで日没か。」
「じゃあさ。ホテルでも行かない?少しでも長く過ごしたいからさ。」
「開いてるかな?明日くらいから、いろんなインフラが止まるんだよ。」
「そうね。じゃあ、泊まりに行こうかしら。」
「僕はいいけど、千紗はいいの。」
そういえば。さん付けはやめて。って言われて、呼び捨てすようになった。まあ、電車で移動中のことだけど。
「別にいいのよ。一人暮らしだしね。でも、荷物とか取りに行きたいから、あとで住所教えねて。」
「もちろんだ。じゃあ、もうちょい回るか。」
「そうね。」
そうして、数軒の店を巡り、日没に近づいた頃に一旦別れた。
〜〜〜〜〜
ピンポーン
もう来たのか。まあ、部屋は十分綺麗にできたし、いい頃だったからな。
「千紗、ようこそって、私服綺麗だね。」
「そう?ありがと。」
「じゃあ、上がってね。」
「そういえば一軒家なのね。」
「まあ。ここら辺ならそんな珍しくはないけどね。近くにマンションとかはあんまりないから。」
「そういえばそうね。」
「まあ、僕の部屋に案内するから。」
「そういえば、両親はいるの?」
「いますよ。まあ、今はとこか出掛けてるんじゃないかな。良くも悪くも放任主義みたいなところはあるんで。」
「そうなの?私は一人暮らしするって言ったときは号泣して止めてこようとしてきたな。」
「それはそれですごいですね。なら、どこ出身なんですか?」
「名古屋の近く。瀬戸市ってところ。」
「愛知ですか。そっちはあんまり知らないな。豊田市くらいしか他の市町村は浮かばないし。」
「まあ、そんなもんじゃない?」
「では、この部屋です。ちょっと待っててくださいね。飲み物を持ってくるんで。」
「わかったわ。」
何持ってこようかな。まず何があったか確認しないと。
====
「かなり綺麗な部屋ね。」
いろんなものがコンパクトに収納されており、多くの人が綺麗と思える状態になっている。
「そういえば、パソコンは何に使うんだろう。」
かなりしっかりとしたパソコンがそこには置いてあった。モニターは1個だけだけれども。
「本も多いわね。でも半分くらいはラノベかしら?」
角川スニーカ文庫、電撃文庫、ファンタジア文庫、MF文庫Jがパッと目につくくらいたくさんあった。普通の本もあったのけれども。
「お待たせしました。」
「全然だわ。ありがとね。」
持ってこられた飲み物はオレンジジュースだった。
「本に興味でもある?自由に読んでいいよ。」
「いいえ。大丈夫だわ。それにしても何でオレンジジュース?」
「ダメだった?」
「そうゆうわけじゃないけど。」
「よかった。良さそうなのがそれくらいしかなくて。他は量が少なかったから買うしかなかったから。」
「どうだったのね。そういえば、パソコンで何をしてるの?」
「あー。ちょっと小説関連で使ってる。」
「ふーん。こんなにしっかりしてるのにそんなことにしか使ってないのね。」
「そうだね。パソコンいいのやるからどう使うか任せるって感じで誕生日にもらっただけだからな。ゲームもあんまりやらないし。あっ、たまにプログラミングの練習をしてて、JavaScriptは覚えたところだよ。」
「いいわね。そんなにいいパソコンあって。ノートパソコンしかないのよ。そんなにスペックは高くないけどね。」
「別にそのくらいでいいじゃない。小説系をやるときはそのくらいで全然良さそうだしね。」
「そうなの?」
「まあね。やっぱりゲームをやらないならそれでいいからね。」
「そっか。」
「そういえば、千紗とどっかで関わる機会って今まであったけ?」
「1年の前期とき委員会一緒だったでしょ。」
「あー。あれか、なぜか無駄にしっかりやりまくってた図書委員。あれずっとやっちゃうとやばいと思って委員会を変えたんだよな。覚えてるよ。」
「それで後期からいなかったのね。」
知らなかったな。そんなことがあったこと。
「どうした?」
「大丈夫よ。」
そんなことすら知らなかったのね。
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