Chapter 1. Guns and mirrors
第2話 田園都市
朝は地下鉄で移動する。地下鉄の駅までは家から歩いていく。それほど混んではいないが、流石に席に座ることは出来ない。吊り革に揺られながら行くのだ。
昨夜は酷い夢で目が覚めた。真っ赤な世界で線路の上を歩いていた。鉄塔の上に誰かいる。ライフルを持って誰かを狙っているようだ。他にもプレイヤーがいる。あちこちで銃声が聞こえる。僕は危険を感じその場を逃れようとするが、ライフル銃に狙われたところで目が覚めた。起きると冷や汗をかいていた。なんだか頭が熱を帯びているようだ。パソコンみたいに冷却器でも付けれないか。
何故こうも怖い夢を見てしまうのだろう?席が空いたので座って携帯を取った。最近流行りのPUBGをやる。正確にはPUBGもどきの外国のゲームだ。島に落とされて1人になるまで戦うタイプのゲーム。最近こういうサバゲー多いな。
そうこうしていると、在来線に乗り換えである。今日はいつもより人が少ない。電車に乗り込み吊り革を握った。数駅なので立っていよう。その時、僕の体に暖かい感触が伝わった。何だこれは暖かく、そして弾力があるぞ。隣を見ると白い太ももがちらりと見える。女子高生だ。髪がロングのストレート、スカートがやけに短いな、読モか何かだろうか、スタイルがいい。やけに密着してるな。しかし当然ながら嫌な感じはしない。電車の揺れとともに軽く接触するかしないかのドキドキ感を味わった。もっと電車揺れねーかな。
そう思ってると女子高生がこちらを見てニヤリと微笑んだ。
いい加減にして下さい。
直接喋ったかどうか分からないが確かにそう聞こえた。次の駅で女子高生は降りていった。よく見ると、女子高生以外にも乗客は誰もいない。つり革を持って立っているのは、、僕一人である。
次の瞬間、電車が轟々と大きな音を立てて走り出した。思わずつり革を握る手に力が入る。何だ、スピードが上がったのか?カーブを減速せずに走っているようだ、強烈なGが体を揺さぶる。そういえば減速せずにカーブに突っ込んで脱線した事故が昔あったな。車体が少し浮いているような気もする。景色をみると、まるで電車の外に放り出されているかのような剥き身の体感を覚える。音や風が電車と一体化したかのようにリアルに伝わってくるのだ。僕は宙に浮いているんじゃないか。足元に力が入らない。僕は膝を軽く折り曲げて体の重心を認知し、電車にそれを乗っけるような感じで自分の位置を確認する。少し落ち着いた。それにしても一駅の感覚ってこんなに長かったっけ?どうやら時間の感覚までおかしくなってしまったようだ。
窓の外を見る。遠くのビルの屋上にライフルを持った人影がいるような気がした。
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