第134話 VS シルビア 逃げるが勝ち
聖世紀1211年夏 アルバニ王宮内地下牢 アベル5歳
『オールド』『ハン』
アベルがハンとオールドを召喚するとアベルの影からオールドがアベルの肩に現れる。
ハンも1メートルくらいの大きさになってアベルの横に座っている。
[バエルが攻撃したらオールドとハンはあのヴァンパイアの視線を逸らすようにしてね。オールドは右側から近づいて左目を攻撃してね。ハンはヴァンパイアの気を引くようにヴァンパイアに近づいたら左側から右に掠めるようにジャンプして右目を攻撃して視界を一瞬でいいから遮ってね。そのタイミングで僕がアンブラで撃つからプルソンの指示で素早く避けてね。]
アベルが念話でハンとオールドに言う。
[コウッ][ガウッ]
オールドとハンが任せとけと返事したようだ。
バエルがアベルに念話で確認する。
[アベル、準備ではきたか?一瞬だけど俺が隙を作るからな。ムタにするなよ。]
アベルは大きく頷いて答える。
[了解]
バエルがいつも理大きな声でシルビアを挑発する。
「お待たせしたな。では俺様からとっておきのヤツ行くぞ。ちびるなよ。」
シルビアが半笑いでバエルに答える。
「お前ら下等動物達の攻撃なんていくら頑張っても同じだ。私には通用しない。」
バエルもニヤけながらシルビアに答える。
「まぁ舐めてればいいぜ。俺様からしたらお前らヴァンパイアの方が下等動物なんだよ。」
バエルが小さく呟く
『tonnerre』
バエルが悪魔魔法•雷電を建物を壊さない程度に発動させる。
「バチバチバチ、ゴロゴロゴロ」
轟音が響くと地下牢は一瞬で稲光により真っ白になって何も見えなくなる。
バエルからシルビアに向かって数本の稲妻が走る。
稲妻と同時にハンは左からオールドは右からシルビアに向かって走り出す。
その後ろでアベルが龍の眼でシルビアの眉間・心臓・両肩に狙いをつけながら
アンブラを構えている。
シルビアがバエルの稲妻を掻き消す様に黒い炎を左手から出して
ギリギリのタイミングでバエルの稲妻を相殺する。
「バカね。その程度の雷じゃ私に一生当てることなんてできないわよ。」
稲光がまだ輝いている中で稲妻攻撃を相殺したシルビアが得意げに笑う。
その瞬間に右からオールドが素早いスピードで掠めるように
鋭い3本足の爪でシルビアの左目を引っ掻いた。
[アベル君、今だ。]
バエルの合図でアベルがアンブラで銀の聖水弾を連続で4発音も無く連射する。
シルビアは反射的に鋭い右手の爪でオールドを振り払おうとするが
オールドはひらりと躱して近くの影の中に消えた。
「ぎゃあー」
シルビアはドス黒い血の流れる左目を左手で押さえてその場に跪いた。
続けてハンが左から疾風のように駆け抜けて鋭い爪でシルビアの右目を攻撃する。
シルビアかハンを右手の爪で振り払おうとするがハンもするりと躱して近くの影に消える。
シルビアが断末魔のように叫ぶ。
「ぎャー・・・おのれ・・・下等動物ども。」
その瞬間、銀の聖水弾が視界を遮られたシルビアの右目・胸の真ん中・左腕を当たる。
しかし右肩を狙った弾は大きく外れて後ろの地下牢の壁に当たる。
すると声にならない声でシルビアが叫ぶ
「オノレ・・・オボエテオケヨ・・・カナラズコノウラミハラシテヤルゾ。」
シルビアの体がスライム状になって何度も再生を試みる再生できない状態になって
蠢いている。
[大昔の知識なんで眉唾でしたが、銀の聖なる成分と聖水が邪魔してヴァンパイアはなかなか再生できないみたいですね。]
バエルが悔しそうにしている。
[チッ、殺しきれなかったぜ。]
アベルはさっきの魔導銃の扱いに関して反省をしている。
[僕、ちゃんと狙ったのに狙ったところ全部外しちゃったね。しかも一発当たってないし・・・やっぱりカカにちゃんと修行してもらわないとだめだね。]
バエルがアベルを慰めて気持ちを切り替えるように言う。
[まぁ4発中3発も当たれば上出来だが、銃に関してはもう少し修行が必要みたいだな。おい、アベル、落ち込んでないで今のうちにここから脱出するぞ。]
プルソンも気持ちを切り替えて
[そうですね。しばらく再生出来ないでしょうからね。ここは逃げるが勝ちでしょう。]
バエルがアベルの肩に飛び乗るとアベルが来た道の秘密の入り口に向かって走り出す。
するとハンがアベルの影から湧き出てそのままアベルを背中に乗せて走り出す。
中庭の隠し扉から飛び出すと姿も隠さずに王宮を最大スピードで駆け抜ける。
途中の王宮内で何人かの兵士に遭遇したが
疾風のように駆け抜けるハンのスピードに対応できる兵士は1人もいなかった。
暫く走ると王宮近くの作戦前に大賢者と星の聖女様と出会った場所まで戻ってきた。
ハンはそこで止まってアベルがハンから降りて一息ついた。
そこで黒龍と母上に状況説明の手紙をプルソンが作って
アベルがオールドに手紙を届けるよう命令した。
オールドが手紙を自分の亜空間に入れて羽ばたいて行った後に
アベルが振り返って王宮の方を見つめると王宮の兵士たちが
あちこちとバタバタしているのが見えた。
「大賢者やオババ様は大丈夫かな?」
プルソンがアベルに答える。
「アベル君、大丈夫ですよ。あの人たちなら私たちより上手くやっていると思いますよ。」
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