第133話 VS シルビア 本当の姿
聖世紀1211年夏 アルバニ王宮内地下牢 アベル5歳
プルソンも緊張感無く笑いながら
[私にはアベル君の方がウサギに見えますけとね。]
バエルも笑っている。
[ククククッ]
床の血が全てシルビアに吸われて見えなくなるとシルビアが咆哮する。
「グギァーーーーーーー」
皮膚が薄いグリーンとなり額には3つめの赤い目が現れアベルを睨んでいる。
口には特徴的な2本の牙が生えており手には赤黒い鋭い長い爪が生えていた。
バエルが興味深く変身したシルビアを見つめながらアベルに言う。
[おいおい、随分な変わりようだな。なぁアベル、女と言う生き物はな、綺麗な見た目だけで選んではダメだぞ。可愛くても結婚した途端に本性はあんな感じかもしれないしな。よく見定めるんだぞ。]
プルソンがバエルに突っ込む
「バエル様、今それは関係ありません。]
変身の終わったシルビアが赤い目をカッと開いて長い爪をアベルに向けて
男の様な低い声で叫ぶ。
「小僧おお!!!覚悟しろよ!!さぁ遊んであげよう。死ね!」
目の前にいたシルビアが一瞬で消える。
[後ろだ!]
アベルがプルソンの念話で身を屈める。
シルビアの右手の爪がアベルの頭の上をかすめる。
シルビアが舌打ちをして次の攻撃に入る。
[次は足を狙われるぞ。そして剣を抜いて右から突きが来るよ。そして左からお腹に蹴りだ。]
アベルはジャンプして足への攻撃を躱す。
着地と同時にアベルの頭を狙ったシルビアのブラッドソードの突きを左に素早く躱して
流れる様に後ろに大きく飛んで蹴りを交わしてシルビアと距離をとる。
「うぁ、ヴァンパイアって動きが早いんだね。プルソンに教えてもらわないとやられてたね。でもね・・・黒龍先生よりは遅いんだよね。」
バエルがアベルに
[アベル、プルソンばかりじゃなくて俺にも頼っていいんだぜ。]
アベルがバエルに頷くいて悪魔2人に言う。
[ヴァンパイアが思ったより動きが早いからちょっと試してみるよね。]
そう言うとアベルが両手を広げてボソッと魔法を呟く
『earth bullet』
アベルが龍魔法・岩の弾丸を発動させると左に5個右に5個の土の弾丸が浮かぶ。
アベルが魔力を込めるとシルビアに向けて10発同時に岩の弾丸発射された。
シルビアは驚きもせずその場に立ったままゆっくり右手を横凪に払って
一瞬で「血の弾丸」を作り出しアベルの全ての土の弾丸を相殺した。
[やはり簡単に行かないね。今、アンブラで銀の聖水弾を撃ってもあいつに届く前に全て撃ち落とされるな。プルソン、バエルどうしようかな?]
プルソンも考えながら
[そうですね。いくら銀の聖水弾でも当たらないと全く意味ありませんからね。]
シルビアは余裕の表情でアベルに言う。
「ほほっ見たことのない魔法も使えるんなだな小僧、お前は一体何者なんだ。」
アベルが黙っているとバエルが横からシルビアに言う。
「こいつは通りすがりの普通の五歳児だよ。
新しい発見にシルビアが喜んでいる。
「得体の知れない魔法、そしてその肩にいる喋る猫。ますますあなたに興味が湧くね。」
バエルが急にシルビアに喋ることにより
シルビアの気をアベルから少し逸らす準備をするバエル。
『earth bullet』
そしてまたアベルが龍魔法・岩の弾丸を同じように発動させ
シルビアに向けて10発同時に発射した。
それもシルビアはその場に立ったまま同じように右手を横凪に払って
「血の弾丸」を作り出しアベルの全ての土の弾丸を相殺した。
「何度やっても同じだ。小僧。」
バエルが何かわかったように頷いた。
「次は俺様が相手だぜ。」
バエルはアベルの肩から降りてアベルの前に立つ。
「あら、仔猫ちゃんに何ができるのかしら。」
シルビアが構えを解いて腕を組んでバエルを見て笑っている。
「それはこの後のお楽しみだな。」
バエルもニヤリと笑う。
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