第79話  王都到着


聖世紀1211年夏 王都正門前 アベル5歳


ハンはアベルの影にバエルは指輪に帰った後

黒龍は御者席へドラゴム兄妹は馬車後方の外に立ち乗りして護衛をしている。

馬車の中にはイベルマとダリアスとアベルが乗っている。


それからアベルたちは二時間ほど街道を走ると

お昼前に王都の見える丘まで来た。


もちろんアベルは馬車の窓から初めて見た王都の大きさに

馬車の窓にしがみついて大興奮している。

実はドラゴム兄妹も王都は初めてで人知れず興奮していた。

イベルマがアベルに


「初めての王都でアベルは、もうちょっと外を見たいかもしれないけどカーテンを閉めますよ。」


アベルはイベルマに質問する。


「母上、どうしてカーテンを閉めるのですか?」


イベルマが優しくアベルに教える。


「今までの小さな街でカーテンを開けていても沢山の人がいる訳ではなく大丈夫でしたが、大きな街では馬車の内に何人どんな人が乗っているのか誰かが悪意を持って見ている可能性があるので、外から見てわからなくするためです。トラブルを避けるための防犯手段ですよ。」


アベルが関心をしながら返事をする。


「そうなんですか・・・はい、わかりました。母上。」


馬車は段々と王都の城壁に近づいて来た。

アベルはカーテンが閉められた馬車の中にいるので見ることはできないが

馬車外の後ろにいるドラゴム兄妹はその城壁の大きさに

馬車から落ちそうになっている。

街の入り口近くの石畳の一本道で

ジルードの2頭の武装した軍馬ソレイユとリュンヌの凛々しい獰猛な姿と

武装した漆黒の車体に金の紋章の悪魔のような馬車を見た

貴族の馬車や商人や冒険者はサッと道を開けて


「ジルード家だ。」

「ジルードが王都に来たぞ。」

「なんでジルード家が王都に来たんだ。」


などと口々に言って武装した軍馬と馬車が通りすぎるのを見つめていた。


馬車を見ていた人々の中には

カーテンの閉まった馬車の内に光の聖女が乗ってるものだと思い込んで

手を合わせて拝んでいる年寄りたちもいた。


馬車は何事もなく城壁の入場門の列のまで無事たどり着いた。


すると若い門番兵2人が馬車に向かって急いで走ってきて

紋章を見てジルード家と確認すると黒龍に手招きして

門の横にある貴族専用門を開けて馬車を通した。


その様子を見ていたダリアスは目を閉じて首を横に振った。


「おうおう、最近の王都の門番は馬車の中の者も確認もせずに、王都に無条件で入れるのは本当に大丈夫かいのう。後ろには得体の知れぬ武器を持ったドラゴニュートの兄妹がおるし、馬車の中には恐ろしい魔法を使う子供と悪魔がおるのにのう。」


と嬉しそうに冗談混じりて嘆く


「先生、それはそれだけジルード家を信頼しているのでは無いのですか?」


ダリアスが首を横に振る


「イベルマよ、わかっとらんのう。それもあるかもしれんが、これは完全に警戒を忘れた平和ボケじゃ。」


イベルマはそんなこと考えたこともなかったので驚いている。


「こんな時、ユミルバではどうしてるんじゃ。」


ダリアスがイベルマに聞くがアベルが元気よく答える。


「オババ様、僕知ってるよ。ユミルバでは馬車の人を降ろすまではしないけどちゃんと馬車の中も御者も護衛も全員調べるよ。でもよくそれで怒って門番を怒鳴りつけてる変な貴族のおじさんがいるよ。」


ダリアスがアベルの言葉に頷きながら


「そうじゃ、調べるのが当たり前じゃ。調べられて怒鳴っておるのは、他の貴族の街に入る礼儀も知らんバカ貴族じゃ。その場で説教してから叩き切ってやりたいわ。」


アベルもダリアスの言葉に納得しながら


「そうだね。そうしないと悪い人が王都に入り放題だからね。」


ダリアスがアベルの言葉に頷いて


「こんなにチョロいともうすでに沢山悪い奴が王都にはおるだろうな。」


アベルたちは、なんのチェックもなく王都に入ることができた。

大きな門をくぐり、馬車が広い中央通りを進むと

やはりジルードの馬車と後ろの護衛のドラゴニュート兄妹が目立つ。

街のみんなが立ち止まって馬車と後ろの護衛をビックリして見ている。


イベルマがすかさずアベルに釘を刺す。


「アベル、私は先に治療所に行きます。くれぐれも問題は起こさないでね。」


アベルも素直に


「はい母上、気を付けます。」


イベルマが馬車の小窓から黒龍に声をかける。


「黒龍、私と先生は先に治療院に行きます。貴方たちは元国王のガナルの屋敷に向かいなさい。」


黒龍が答える。


「了解しました。」


少し走ると馬車は治療院に着いた。

馬車が停まるとダリアスがアベルに


「アベル、それではまたな。多分、大賢者もアベルに会いたがりよると思うがタイミングが合えば逢うてやれよ。」


ダリアスがアベルの頭を撫でる。


「おばば様、いろいろありがとうございました。」


アベルが可愛く一礼をする。

治療院にてイベルマとダリアスが覇者から降りる。

治療書前には治療書のスタッフと光の聖女様を一目見ようと

野次馬が集まってきた。

治療院のスタッフが2人の聖女に


「ようこそお越しくださいました光の聖女様、星の聖女様。本日はよろしくお願いします。」


治療院の一同がイベルマとダリアスにに頭を下げる。

馬車は2人を下ろすと元国王ガナルの屋敷に向かって走り出した、






▪️あとがき


やっと王都に到着しました。

馬車で三日の距離なのになかなか辿り着けなくて

すいません。

星とか感想をもらえればモチベーション上がります。

批判は気持ちが下がるのを引きずるタイプなので

なるべく許してください。

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