第37話 じいさんはアレに看させる

2週間経った。

「役所の手続きがもう大変。じいさんが、余計な事ばかり言う。話が長い。やっと

終わった。

でも、どうしよう。どうしたらいい? じいさんが、斎藤を怒らせた。

私は、ちゃんと考えてた。まず、斎藤一家の携帯番号を書き直した。じいさんに、良子に電話してと。良子から奈津に電話してこっちに来るようにって。

それなのに、奈津からではなくて、斎藤からじいさんに電話があったそうよ。想定外のことよ。

じいさんが、”香典がないのは常識が無いこと”とか”あんたには失望した”とか”あんたとは話をしたくない”と言ったらしくて、斉藤が”だったら、行きません”と大喧嘩したみたい。

それにしても、平日の朝早くに良子に電話するなんて思わないわよ」


「それはダメ。出勤前の良子によく電話したね。じいさん、話が長いから聞かされる方はたまらない。どうせ、葬儀のことを話しているうちに良子を怒鳴りつけたのよ。そうに決まっている」


「どうしよう。計画が狂った。じいさんの世話を奈津に、アレに看させなければならないのに・・・」

いつも自信満々の母が、動揺していた。

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