第23話 良子と会わないで

4月、良子の誕生日が近づいた。

「良子と会うのをやめなさい」

母から電話があった。

「どうして?」良子ちゃんとずっと仲良しだった。これからもそうしたい」

一生懸命話したが、駄目だった。

「わかった? もう会うんじゃないわよ」

母が恐いので従うしかなかった。


5月、良子からの電話に出なかった。LINEも無視した。

10月、私の誕生日に良子からLINEがきたけど無視した。

誕生日を祝ってくれる人がいなくなった。


祖父母の家のテレビ台に、斉藤家族のビデオテープが、ぎっしり詰まっている。

部屋に飾り付けし、誕生会、クリスマス会、楽しそうな映像が残っている。

「クリスマスの飾り付けはみんなでやるけど、てっぺんの金の星はあみだくじで決めるんだ」と、子供の頃、和也が言っていた。

ウチは、パーティーはあまりない。母が、一度樅の木を注文してくれた。

母は、品のないのは嫌なのと飾り付けをひとりでやった。なんか、白っぽいツリーだった。

私は、斉藤家のカラフルでピカピカ光るツリーが羨ましかった。


義叔父と叔母は、兄と私に優しかった。入学祝い、卒業祝い、誕生日もずっと覚えていてくれた。

私の成人の日のお祝いも頂いた。現金書留の封筒の中に、手紙が入っていた。

叔母は、可奈ちゃんはいつもキラキラしていた。義叔父は、良子のお姉さんでいてくれて有難うと、書いてくれた。

私の机の引き出しに大切に仕舞ってある。

母は「来週の和也の成人祝いをしなきゃならない。面倒くさい」と、言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る