第21話 母と良子と私

2,015年11月、母から、突然電話があった。

「良子に電話して。『おばあちゃんが、認知症そうとう酷くなっているから叔母さんひとりで来て』とね」

私は、訳も分からず良子に電話した。

「両親に電話して、また可奈ちゃんに電話するね」

良子から返事があった。

「両親が、6月に伺った時、とてもお元気だった。私は2週間前にお邪魔したけど、お元気で、おばあちゃんといっぱい喋ったよ。両親は、すぐに行けないけど12月に行きますだって」

「わかりました。有難う」

良子に、それだけ言った。


「可奈ちゃん、クリスマスどうする?」

12月、良子から電話があった。

「今年は、やめようか」

「あっ。そうなんだ。両親と話したんだけど、おじいちゃん、おばあちゃん、とってもお元気だった、って。お母さんが、何処かの国の大統領の話をしてみんなで笑ったって。お父さんが、『認知症なんかじゃないよ。炊事や洗濯、掃除、なんだってできるじゃない。何より、奈っちゃんと楽しく笑っているのが一番嬉しいね』って言ってた」

「ありがとう」

良子にお礼を言った。良子からの話を、母に電話で伝えた。

「ふん、良子って小賢しい子ね」

母が、冷たく言った。

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