第16話 斉藤家が大阪へ 兄の就職

和也が高校2年生、良子が中学3年生の時、義叔父の転勤で大阪に引っ越した。

すぐ後、斉藤さんのお母さんが、亡くなった。


私の家は、母がいつもイライラしていてウチの中が落ち着かなかった。

父と母は、会話がなかった。母は、紙に必要な事を書き、父がその紙の下に何かを書き込んでいた。

小川の祖母と父は、いつも一緒にいた。


兄は、大学の授業が終わるとバイトに行った。髪の毛を金色や茶色に染めていた。

あまり、家にいなかった。


母が、孤独なので、私は、できるだけ母の側に居るようにした。


兄は、就活の頃髪色を元に戻した。大学を卒業して大手の会社に就職した。

勤務先を東京本社に希望したが、広島支社に決まった。

母の落ち込みようは酷いものだった。食欲がなくなり部屋に閉じこもった。

そんな日が続くと、ふらっと出掛け大きな紙袋を抱えて帰ってきた。

宅配便で、バッグの入った箱が届き部屋に積み上がっていった。


小川の家で、笑い声を聞くことがなくなった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る